映画『夫婦フーフー日記』が、5月30日(土)より新宿ピカデリー他にて全国公開いたします。

原作は、38歳という若さでこの世を去ったヨメと、彼女を支え続けたダンナこと清水浩司さんの闘病ブログから生まれた「がんフーフー日記」(小学館刊)。作家志望の「ダンナ」が、長年友人だった「ヨメ」と出会って17年目にして結婚、1ヶ月後に妊娠発覚。その5ヶ月後にはヨメに悪性腫瘍が発覚し、怒涛の育児と闘病生活を送っていく。夫婦が駆け抜けた493日の記録は、闘病ブログとして人気を博し、2011年に書籍化されました。映画化にあたっては、<死んだはずのヨメと残されたダンナが、一緒に生きた夫婦の日々を振り返る>という設定が加えられ、ブログには書かれなかった夫婦の想い、そして家族の愛を浮き立たせ、笑いながら涙が溢れる、かつて無いストーリーが誕生しました。 本作で主演を務めるのは佐々木蔵之介と永作博美。10年ぶりに夫婦役として再共演を果たしました。夫婦を支える友人・家族役には、杉本哲太、佐藤仁美、高橋周平、という演技派俳優陣らが脇を固め、個性あふれるキャラクターを創り上げました。

この度、公開を記念し、トークショー付き夫婦試写会を実施しました。本作が闘病・育児の様子を「ブログ」によって共有していた夫婦の物語であることから、子育てを家族でシェアするアプリ開発の株式会社Lifull FaM (ライフル ファム)、〝より良い夫婦関係″を提唱するNPO法人ファザーリング・ジャパンに賛同頂き、〝映画を通して夫婦間のコミュニケーションを考える″ことをテーマにした、トークショー付き試写会が実現しました。トークゲストは、本作の原作者であり「ダンナ」のモデル・清水浩司氏、Lifull FaM代表取締役・秋庭麻衣氏、そしてファザーリング・ジャパン理事・林田香織氏です。アプリ「Lifull FaM」で募集したお子さんのいる30組のご夫婦に映画をご覧頂き、映画のエピソードや清水氏の実体験を通してよりよい夫婦間コミュニケーションや子育てについて語りました。

■日時:5月10日(日)15:10〜15:30 ※試写会後イベント
■場所:Lifull FaM オフィス内(港区港南2-3-13 品川フロントビル3F JR山の手線品川駅港南口徒歩7分)
■登壇者:清水浩司氏(原作者)、秋庭麻衣氏(㈱Lifull FaM代表取締役)、
林田香織(NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)

【イベントの様子】

Q:秋庭さんは、母親の立場から映画をご覧になっていかがでしたか?
秋庭:すごくぐっとくるものがありました。もし自分が奥様の立場だったら、と重ね合わせて涙しました。私には10歳の娘がいますが、自分がいなくなったら娘はどうなるんだろうと考えたりもしました。

Q:清水さんは、同世代で子育て中の方々に映画をご覧いただいていかがでしたか?
清水:映画に描かれた時期の僕にとっては夫婦、育児、親子など全てが初めてのことばかりで無我夢中でしたが、今日ご覧いただいた皆さんは、経験済みだと思うので、そういう点ではこの後お話ししやすいなと思いました。

Q:映画に描かれていたヨメの闘病中、ダンナである清水さんはどんなことが大変でしたか?
清水:育児は実際始めてみたらとっても大変だったんです。育児と仕事を両立していても、「仕事より育児の方が全然大変じゃん」と思ってしまったんです。今までの人生で培ったノウハウが全然通用しませんし、新しいピンチにどう対応していけばよいかもわかりませんでした。身近にがんにかかった人間がいなくてヨメの病気がどんなものなのかわからなくて、病気の知識から医療費のことまで一から対応していかなければならなかったんです。とにかく必死でしたね。

Q:そんな大変な中で奥様とのコミュニケーションツールとして「ブログ」を選んだのはどうしてですか?
清水:ヨメには故郷の福島県に友達が沢山いました。ですが当時僕ら夫婦は神奈川県川崎市に住んでおり、福島県にいる友達に、近況を一人ひとり親身に伝えることが難しいなと思っていたんです。そこで文章を書く仕事をしていた僕は、ブログだったら夜中でも更新できますし、読み手は最初から遡って読むこともできるので、これは便利なメディアじゃないかなと思い立ち上げてみました。

Q:電話だと、もらった方もなんて返していいのか言いづらいとか、言葉に困るんじゃないかなとか、周りの方々への配慮も感じられたのですがいかがですか?
清水:そうですね。電話で「うちの奥さんはがんです」って言っても(相手は)答えづらいし、こちらもなかなか伝えづらいなと思ったこともあります。ブログという形だと冷静に状況を確認できるし、読む方も落ち着いて読めてクッションになってくれるかなという思いがありましたね。

Q:秋庭さんが携われている「アプリ」も夫婦のコミュニケーションがきっかけとなって開発されていますが、清水さんのブログの利用についてはいかがでしょうか?
秋庭:ブログという形で周りの方々へ情報を伝えられて、それを後も見返すことができるというのは良いなと思いました。

Q:ブログを通しての奥様とのコミュニケーションで良かった面や大変だった面はありますか?
清水:妻は入院していることが多かったので、面会時間が限られていてなかなか本音を言える機会が少なかったんです。入院中に話したことで、あの時ああ言えば良かったな、と後から思うこともありました。なので、彼女が読んでいることを想定してその日のブログを更新したりしていました。ブログは彼女に面と向かって言えないことを間接的に言える場ではありましたね。

Q:映画の中で、ヨメがブログを読んでダンナの文章に思いを返す、というやりとりがありました。そのシーンを観て、亡くなられている今でも奥様と清水さんのコミュニケーションがずっと続いているような気がしました。
清水:17年間友達として続けてきた関係なので、彼女の亡くなった今でもこういう時こう感じているだろうな、彼女ならこういうだろうな、と分かるし、今でも思いますね。映画では永作博美さんが演じてくださって実際に亡くなった後も出てきますが、ヨメが亡くなった今でも自分のそばにいる感じがします。

秋庭:この映画を見て思ったのが、ダンナとヨメはちゃんと夫婦の意志疎通ができているなと思いました。夫婦ってだんだん連絡事項ばかりが多くなっていくものですが、お互いの人生についてもコミュニケーションがとれているってことが素晴らしいなと思いました。

Q:清水さんの息子さんにとって亡き母親を知るということはどういうことですか?
清水:僕らのブログは闘病記に加えて、育児日記にもなっているんです。息子がどういう状況の中で生まれてきたという記録を残しておきたいなと思っていました。それが一冊の本になり映画にもなったんです。いつか息子が知りたいと思った時に、ブログ、本、映画を通してお母さんってこういう人だったんだよっていうことを伝えたいなと思っています。

〜会場のご夫婦からの質問〜
Q:今となりにいる私の妻も大腸がんを患ったので、他人事ではないような気がして映画を観ていました。
清水さんは今息子さんをどのように育てられて、亡くなった母親のことを伝えられているんですか?
清水:息子は今5歳で、(清水さんの地元の)広島ですくすく育っております。(ヨメが亡くなった後)4歳くらいまで息子に母親の愛情を与えられないまま育ててきまして、なんとか与えてあげたいなという気持ちがあり、私は昨年再婚しました。それと同時に、生みの母親であるヨメの周りの方達との関係性も残しておきたいなと思っています。息子が大きくなった時に、直接生みの母親のことを聞きに行くことがあるかもしれないですし、彼が知りたくなった時に開けるドアをおいておいてあげたいなと思っています。

Q:最後に夫婦のコミュニケーションについてアドバイスをお願いします。
秋庭:夫婦の間では、面と向かって言うのが難しいこともあると思いますので、アプリ「Lifull FaM」も使っていただいて、夫婦のコミュニケーションをとっていただきたいなと思います。
清水:映画では美しく描かれていますが、実際は夫婦だとなかなか言えないことも多いと思うんです。今日のように映画を見ることで気持ちを伝えたり、共通の友人を交えて感謝の気持ち伝えたり、夫婦の間に何かを交えて伝えるのも1つのテクニックなんじゃないかなと思います。