5/1(金)より全国順次公開中の映画『私の少女』の公開を記念して、『かぞくのくに』『ディア・ピョンヤン』のヤン ヨンヒ監督と『フラッシュバックメモリーズ3D』、ドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」が話題の松江哲明監督でトークショーを開催いたしました。
女優二人の演技について、本作でデビューを飾ったチョン・ジュリ監督について、そして韓国映画の力強さについて、熱く語って頂き、充実した時間となりました。

■日程:5月2日(土)  
■会場:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS3F )
■登壇者:ヤン・ヨンヒ監督  松江哲明監督

ハリウッド作品『クラウド アトラス』や日本映画『空気人形』のぺ・ドゥナと、『アジョシ』『冬の小鳥』のキム・セロンが主演、『オアシス』『ポエトリー アグネスの詩』のイ・チャンドン監督がプロデューサーを務め、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、東京フィルメックスのコンペティション部門で上映され、観客やマスコミから絶賛され話題となった『私の少女』。

フィルメックスのたまたま同じ回で観ていたというヤン監督と松江監督は、「(松江監督)姿勢が正されるような志の高い作品。現場の制約やプロデューサーの都合が入らない、映画って色んな人が関わるから、最大公約数的になりがちなところを、まったく聞いていないのが凄いと思った。この映画をどうしても作らなければならないということが伝わる“魂の1作”だと思う。」、「(ヤン監督)そこがイ・チャンドン監督のプロデューサーとしての凄いところ。チョン・ジュリ監督の脚本に惚れ込んで、語りたいことをくんでくれて、自由にさせた。記号として同姓愛者に見せようとか、そういう安易なシナリオでは一切ない。キャスティングの1人1人にも無駄がないし、監督の無駄のない演出力も素晴らしい。」と大絶賛。

ストーリーについては、「(松江監督)おもしろい映画には、お客さんにある程度ストーリーを読み込ませておきながら、それを裏切る気持ち良さがある。一度じゃ消化しきれないというか、消化できちゃうと、説明過剰になったり、お客さんに親切すぎる作品になってしまう。『私の少女』にはその気持ちのいいモヤモヤがあったんです。」、「(ヤン監督)虐待とか育児放棄とかそういう話って沢山ありますが、酷さを見せるところで終わってしまっているものが多い。でも本作は違って、最後まで「助けて」と言うし、ずるいことをしてでも生き残ろうとするし、逃げないで戦っているんですよ。そこまでの強い勇気が貫かれている作品はあんまりなかった。」と熱弁をふるった。

また、「(松江監督)韓国には、韓国ならではの男社会が見えるような作品が多い。特に抑圧されている女性の描き方ってすごく上手いなって、そういう映画って世界中探してもなかなかないんですよね。ひとつ韓国映画の特色だと思う。」、「(ヤン・ヨンヒ監督)幹になるストーリーがあったとしたら、枝にもね、バックグラウンドとか、周りにいる人たちをどう描くかとかすごい大事だと思うんですけど、本当にこの村は韓国の世間そのもので、そういうところも凄くしっかり描かれていて関心しましたね。」と韓国映画ならではの特色についても触れた。

2年ぶりの韓国映画復帰となったぺ・ドゥナについては、「(松江監督)活動がすごく面白いですよね。日本映画に出たりハリウッド映画に出たり。『私の少女』は多分、予算も低かったと思うんですけど、すごくやりたい脚本だな、他の人がやったら悔しいなって、僕の勝手な想像ですけど思ったんじゃないかなって思うんですよね。」、「(ヤン監督)すごく素敵な年のとりかたをしていますよね。韓国の女優で貴重な存在。」と魅力を語るなど、大盛り上がりのトークイベントとなりました。