‐ここで木曽木遣り衆による生唄披露・・・
唄が終わり、映画にも出演している木遣り衆の池田さんが残りご挨拶。

監督:木遣りの由来を一言お願いします。
池田:木遣り唄は、木曽では第47回から第62回の遷宮まで計16回320年ご神木と幼木をお伊勢さんに出しています。300年の中で山仕事をしながら、こっちの谷からあっちの谷へ掛け合いをしていました。
阿川:あっちの谷へ掛け合うんだ。
池田:それと「大山の神〜」というのは御杣始祭のご神木を寝かす、僕らは木を切り倒すとは言いません。木を寝かす時にかける掛け声です。山の神様に対して、木を寝かしますよと。それは1本1本切る前の、これから1本寝ますと危険防止のためにもなります。
阿川:なるほど。
池田:あとは山の神様に対してお祈りをするという意味もあります。
伊勢の人はこの唄を聞くと心が洗われるという人もいます。
阿川:私は映画の中で、池田さん達の唄を聴いて泣きました。いい男たちがいるんだったら早く言ってよ!と思いながら(笑)どうもありがとうございました。
‐池田さん退場・・・場内拍手‐

阿川:先ほどの話に戻りますが、12人の賢者の方達がただ伊勢神宮について語るだけではない、日本人がこれからどういう事を心して生きていけばいいのかというヒントを沢山語ってくださっていますよね。
監督:出演している宮大工の小川さんが、テレビやラジオ、新聞なども見ずに一切情報入れず、ただ道具だけを磨き上げる。そういう精神が自分のものになる。ということは、いい加減なことはしない。きちんと仕事をするというのは日本人のモノづくりの精神を脈々と、伊勢神宮も20年に一度作り変えて、それを1300年続けてきたけれど、それは人と人へと繫いでいく技術の継承でもあるんですよね。そういうことを色んな方が色んな角度で話をされるので、
この映画を観て1人1人、答えが違っていいと思います。
阿川:何に一番関心をもったか。それぞれが別でいいと思うんですよね。監督はこの映画を撮って気づきはありましたか?
監督:森と生きていく意義というものが撮れたと思います。この映画を通じて森への啓もう活動や何かを気づいてくれることを、この映画を映画館で観るだけでなく、その先に何かがあると思うので、そういうことを色んな方に観ていただき、知ってもらうことが僕の役割だと思っています。

MC:(鎌田プロデューサー)この作品を作るうえで、尺をなるべく短くしたいと監督と話しました。
ドキュメンタリー映画なので、素材は大量にあります。そのなかで、泣く泣く切ったシーンが多くあります。
その中のひとつが、劇中で伊勢の森には脳を活性化する「ハイパーソニック・エフェクト」が存在しているという話もありましたが、あの部分ももうちょっと説明をしないといけないんですけど、カットしています。
上映後に石垣さんによる尺八の演奏がありましたが、尺八からもハイパーソニックが出ているそうなんです。
それをこの映画では説明は出来てないんです。
そこで、本日は、初日から劇場にお越しいただいたみなさまに、
この映画のシステムでは耳に聞こえない音(ハイパーソニック)を出すことが出来ない音を体感いただきたく、実際に尺八でハイパーソニックを感じていただきました。
阿川:お客さまは生演奏を聴いて、ハイパーソニックのシャワーを浴びているということですね。
監督:癒されていると思います。

尺八奏者の石垣秀基氏(AUN J クラシック・オーケストラ)が再度登壇

阿川:若くてイケメンなのに、なんで尺八なんか吹こうと思ったんですか?(笑)
石垣:父が尺八の奏者で、母がお琴で、気づいたら吹いていました。
阿川:簡単に音って出ないですよね。
石垣:ハイパーソニックというのは、この映画に携わって初めて概念として知りました。
なるほどなと思う部分はすごくあります。尺八の音色ですごく心が落ち着いたり、吹いている自分もそうですし、
聴いていただいている皆様に心が安らいだと言われることがあったので、それは何かしらハイパーソニックが関係あったんだろうなと。
阿川:そうなんですね。
石垣:もともとは、木魚とかといっしょに吹いていた法器と呼ばれていたものなので、精神統一させる効果は非常に高いのではないかなと思います。

監督:どうしても、大橋先生のハイパーソニックのインタビューが終わった後に、森の中で尺八を演奏している画面を入れてみたくて、ドキュメンタリーなのに唯一演出したんですよね。
阿川:木曽の森の中で演奏する気分はいかがでしたか?
石垣:すごく気持ちよかったです。
まずテーマ曲を作る前に、宮澤監督の撮影した写真を沢山見せて頂きました。切株の上に自然と根付いた種子の様だったり。写真では見ていたんですが、実際の現場で吹いたときに森の声とか土地の声を感じられるんじゃないかなと思いながら吹いていました。鳥もすごく反応してくれましたし。

阿川:せっかくなので最後に一声演奏お願いします。
‐石垣さん、再度演奏〜
阿川:ありがとうございました。
-石垣さん退場-

MC:最後にメッセージをお願いします。
阿川:伊勢神宮のドキュメンタリー映画と思われがちではあるんですけれども、伊勢神宮と伊勢の森と伊勢の川と、そこに繋がる海の関係というものは、実は全国各地に同じものがあると。それが、お宮さんと、鎮守の森と里山とその周辺の川と海との関係であって、それが全部自分達のためにやろうということではなくて、連携プレイをしているということ。日本人の精神というのは自然を征服しようではなくて、自然の間にお邪魔させて頂いて、自分達も恵みを頂くけれども、お世話になりますのでよろしく。というような精神が実は全国各地にあったものを、文明が発達するにつれて少しずつ壊していったということそ、もう少し考え直すと復活できるんじゃないかというヒントがこの映画の中に沢山隠れているんじゃないかと思うので、感じ方は自由と言いましたが、そこらへんを私はみなさんに受け止めていただいたらなと思いました。

監督:素晴らしい発言で私は何も申し上げることはありませんが、最後になりましたら
伊勢神宮からもう一つ教わったことがあります。
自然だけではなくて色んな方々に対する感謝、伊勢へのご神官、町への方々、この映画に関わっている製作スタッフの方々、
10年間の中で最後の1年は半年くらし伊勢に住みました。4人の子供を僕のいない間に守ってくれた妻に感謝しております。本日はありがとうございました。