映画『うみやまあひだ 伊勢神宮の森から響くメッセージ』東京公開初日スペシャルトークショー(1/2)
この度、日本の古来より今に脈々と引き継がれる“うみ”と“やま”と“ひと”の在り方に迫るドキュメンタリー映画『うみやまあひだ 伊勢神宮の森から響くメッセージ』が、4月24日(金)〜109シネマズ二子玉川のオープニング上映作品として東京公開初日を迎えました。
本日は本作のスペシャル応援隊長として参加してくださっている、作家の阿川佐和子さんをお迎えしまして、本作の監督を務めました、写真家・宮澤正明監督との舞台上スペシャル対談を行いました。
またスペシャルサプライズとして、長野県の木曽よりお越し頂きました、木遣り衆による生唄と、本作のエンディングテーマ曲を作曲・演奏いただいている「AUN Jクラシック・オーケストラ」石垣秀基さんによる尺八演奏も披露されました。
【日時】 4月24日(金)12:20〜
【場所】 109シネマズ二子玉川 シアター1
【登壇者】 阿川佐和子(作家)、宮澤正明監督
【MC】鎌田雄介プロデューサー
【LIVE】石垣秀基氏 “尺八演奏”(AUN J クラシック・オーケストラ)
木曽木遣り衆による生唄
◆イベント内容
‐上映後に石垣秀樹氏による尺八演奏を披露。
映画の続きのような演出に観客が
阿川佐和子さん、宮澤正明監督が登壇
MC:挨拶をお願いします
監督:本日はこんなに沢山の方々にお越しいただいて大変嬉しいです。
阿川:この映画には直接関係はなく、宮澤監督とはゴルフ友達でありまして
監督から映画を作ったので観て欲しいと言われて拝見しましたら、すごく感動しました。
これは全国津々浦々の日本人のみなさんに観ていただいて、日本人についてもう一度考え直そうよ。という機会を持たせて頂いたと思いまして、自主的に広報部長を務めております。よろしくお願い致します。
MC:阿川さん1回目は試写会でご覧いただき、今回2回目をスクリーンでご覧いただきましたが、
改めましていかがでしたでしょうか?
阿川:これだけ大きなスクリーンで4Kを観たのは初めてで、大変な迫力と映像の美しさと音も素晴らしく、
出演している12人の賢者の言葉が、改めて身に沁みこんできました。
<フリートーク開始>
阿川:監督は元々スチールカメラマンで有名な方で数々の美女を脱がせて撮影してきた方で(笑)伊勢神宮を10年、去年の式年遷宮に至るまで特別なスチールカメラマンとして雇われて撮ったという経緯があって、これはこれで面白いんですよ。また伊勢神宮というのはそう簡単にフラッシュをたくことが出来ないし、脚立も立ててはいけない場所なんですけど、どうやって工夫して撮影したのでしょうか?
監督:はい、制限も多いです。基本的に夜のお祭りが多く、でもストロボもたてられない。詳細を残したいというのは伊勢神宮側も思っていて、学生時代に赤外線写真をメインにやっていたのでその技術には長けていました。そういう技術をレクチャーしてくれないかと言われて、平成5年の第61回の式年遷宮(20年前)にレクチャーしに行ったのがきっかけです。そして次回の第62回の式年遷宮の撮影依頼を受け、平成17年から足掛け10年撮り続けてきました。
阿川:様々な苦労をして撮影をしてきた10年間があって、映画の撮影へと。
監督:はい、式年遷宮がある前年平成12年に映画を撮る話を頂きました。
写真は一瞬の時間を切り取るもの、映画は時間の流れの中で表現していくもの。全く違うんですけれども、
映画を撮れるかな?という不安は一瞬だけで、写真だけでは表現できないものというのが伊勢神宮にはあったので
映画というのも面白いかなと思って引き受けました。
阿川:最初は、伊勢神宮のドキュメンタリー映画を作りましたと聞いて、式年遷宮というある意味、信仰のいきさつみたいなものを物語にしたドキュメンタリーなんだなと思っていました。拝見したら、そういうものじゃないものが、ものすごく要素として沢山入っていて、この気持ちは何なんだろうと。宮澤さんの頭の中で、構想としてあったのでしょうか?
監督:10年間神話をテーマに撮ってきたんですが、10年間で200回ぐらい伊勢神宮に通っていると、衣食住を通して森と共に生きてきたという伊勢神宮の智慧とか森に対しての畏敬の念というのがすごく伝わってきました。人と森が共存することにより、我々の衣食住が成り立っているんだなと。日本人独特の信仰心というのが伝わってきたので、もしかしたら日本国中、現代では少なくなってきましたが鎮守の森というのが沢山ありますよね。そういうものを、森と一緒に生きている伊勢神宮の気持ちと同じようなDNAを持った人たちがあちこちに点在していて、森を再生したりなど。そんな色んな人達の話を聞いてみたいな。ということからその点と点を結ぶような旅をしてみたいと。それが映画の原点です。
阿川:12人のコメンテイターをどう選んだんですか?
監督:一つだけ気をつけたのは、伊勢神宮に実際に関わっている方ばかりじゃない方がいいかなと、伊勢神宮の関係の方は2人だけで他10人は全然関係のない方、例えば宮大工の方も伊勢神宮の宮大工の方を出した方が話は分かりやすいかと思いましたが、全く真逆な法隆寺の小川さん。伊勢神宮は新しく建て替える方ですが、法隆寺は修復する方の宮大工さんを選びました。伊勢の話を批判しても面白いと思いますし、だから色んな方の意見を聞きました。
阿川:北野武さんにもお話を聞いていらっしゃいますね。
監督:北野武さんは、伊勢神宮に対して、色んなそして独特な考えを持っていらっしゃいまして。ああいう方に伊勢を語ってもらうと、別の宇宙観とか量子力学の話もされていましたが、宗教的なものと科学的なものって近いんだよ
という話をされていたので、そういう話をじっくり聞いてみたいなと思いました。
阿川:私、お仕事も一緒にしていて、こんなに武さんのそばにいるのに、映画でお話されていた話は聞いてこともなかったです。オリジナリティというのはどこから生まれるかというと、まっさらなオリジナリティなんてないんだと。
その中で、伊勢神宮というのは、まず森ありき、その森ありきのところにどう共生するかという人間の智慧が、あのような建築物とか、橋とか川の利用の仕方とか、一つ一つが、小さな動機が大きな作品になっていくっていう。
監督:僕も流れでこれを撮ってきましたので、非常に悩んだことが1つありまして、12人の賢人の声を生で聞いて欲しかったので、ナレーションはいれていません。制作人が水先案内人のようなことをしてはいけないかなと思って、
ナレーションを辞めました。その代わりに、僕のスチール写真150枚と一番重要な音楽でつなごうと。
立川直樹音楽監督にも、とてもご尽力いただき、話し合ってきました。ただ一つ僕がリクエストしたのが、
映画の中で、木曽の木遣りが出ていましたよね。映画を撮る前からどうしても構想の中に木遣りの唄の画がありました。