巨匠テリー・ギリアム監督作の中でも伝説的作品と名高い、『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』に続く近未来映画『ゼロの未来』が、本年春に開業することで話題のYEBISU GARDEN CINEMAにて、そして新宿武蔵野館にて、5月16(土)より全国公開の運びとなりました。

熱狂的なファンをもつイギリスのコメディグループ“モンティ・パイソン”のメンバーであり、『未来世紀ブラジル』、『12モンキーズ』という伝説の傑作から、『ブラザーズ・グリム』、『Dr.パルナサスの鏡』というエンターテインメント超大作まで多数の映画を手掛けてきた名匠テリー・ギリアム監督。これまで、マット・デイモン、ヒース・レジャー、ジョニー・デップ、ブラッド・ピットなどの大スターたちを虜にしてきた監督が、本作では2度のアカデミー賞に輝く名優クリストフ・ヴァルツを主役に迎え、抑圧された世界に生きる男が変化していく様を力強く描き出す。

そしてこの度、巨匠テリー・ギリアム監督が故ヒース・レジャーの遺作となった2010年の『Dr.パルナサスの鏡』以来、実に5年ぶりに来日し、監督の大ファンでもあるお笑いコンビ「爆笑問題」との再会と共に登壇イベントが、3月28日より新たに開業する映画館、YEBISU GARDEN CINEMAで開催されました事をご報告致します。また、イベント後にはYEBISU GARDEN CINEMAの開業を記念し、爆笑問題も含め、ギリアム監督より劇場へフォトフレームの寄贈式も行われました。

日時:3月27日(金)
会場:YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区恵比寿4丁目20番2 恵比寿ガーデンプレイス内)
登壇者:(写真左から)太田光(爆笑問題)、テリー・ギリアム監督&田中裕二(爆笑問題)

会場:YEBISU GARDEN CINEMA
登壇者:テリー・ギリアム監督&爆笑問題

映画『ゼロの未来』PRのために約5年ぶり5回目の来日を果たした鬼才テリー・ギリアム監督が3月27日(金)、ギリアム監督の大ファンを公言しているお笑いコンビ・爆笑問題(太田光・田中裕二)と、東京・YEBISU GARDEN CINEMAで来日記者会見&特別オープニングセレモニーを行った。

同作は、ヒース・レジャー、ジョニー・デップら名優たちを虜にしてきたギリアム監督が、2度のオスカーに輝いたドイツ人俳優クリストフ・ヴァルツを主演に招いた意欲作。コンピューターに支配された近未来を舞台に、荒廃した教会で謎めいた数式「ゼロ」の解明に挑む天才プログラマーのコーエン(ヴァルツ)が、魅力的な美女や「ゼロ」の秘密を知る青年との出会いを通して、人生を大きく変動させていく様を描く。

サイケな広告で煌びやかに満ちた冒頭シーンの元ネタは「東京の秋葉原」というギリアム監督は「初めて日本に来たときにリアルな東京が見たくて、秋葉原に案内された。しかし電車を降りた私を襲ったのは、ネオンや広告の洪水。その中に自分が理解できる言葉が一つもなくて、その大洪水の中にいたら急に汗が出てきた。慌てて電車に乗って宿泊先の帝国ホテルに戻って、数時間寝てしまった。その時感じたショックが冒頭シーンに活かされている」とそのルーツを明かした。

またギリアム監督は、本作を通して自身の代表作であり最大の問題作でもある『未来世紀ブラジル』(85)を意識したという。「我々は今という“繋がっている時代”に生きているけれど、私たちはその繋がりから逃げて、一人になる事は出来るのか?もし一人になった時に自分は誰なのかを知ることが出来るのだろうか?そんな事を考えながらパット・ルーシンの脚本を自分なりに掘り下げ、まさに集大成的な作品を作ろうと思った」と本作に対する並々ならぬ熱意を伺わせた。

そんな知的な表情を浮かべる一方、ステージ上で爆笑問題と約5年ぶりの再会を果たしたギリアム監督は、満面の笑みを浮かべて大暴走。この日の衣裳の作務衣は爆笑の太田から教わったそうで「今では作務衣コレクターだよ」と上機嫌に自慢するものの「前に会った時に太田さんは僕に『日本でスティーヴン・スピルバーグ監督よりも有名にしてやる』と約束してくれたよね?」などと詰め寄る一幕も。すると太田も「俺もどうやって宣伝していいのかわからない。アカデミー賞をとってから来てくれよ!そういう事が大事。日本アカデミー賞を狙うか?」と親しいが故の舌戦を繰り広げていた。

さらにステージ上では御年74歳のギリアム監督と爆笑問題が、ゼロの目盛を目指す前屈対決、ゼロカロリーを当てるテイスティング対決、ゼロで止めるストップウォッチ対決の「“ゼロ”三番勝負」を実施。最終的にギリアム監督が勝利し、爆笑問題の2人から頬に熱いキスのプレゼントがあったのだが、その対決の中身は“モンティ・パイソン”並の大混乱となった。

前屈対決では、スタートと共に太田とギリアム監督が目盛の描かれたパネルを蹴り合い、太田いわく「モンティ・パイソンをやっているようで嬉しい」。田中とのテイスティングでは、答え合わせの瞬間にギリアム監督が答えのパネルを明かしてしまい「芸風が太田と同じ!」と田中もタジタジに。最後のストップウォッチ対決では、太田と抱きあたり、互いの下半身を掴み合ったりと大騒ぎ。ピンマイクを手に喋るギリアム監督の姿に田中は「若手芸人か!」と突っ込むしかなかった。

作品について太田は「哲学と数学と精神と、難しいところが凝縮されている。ギリアム監督は“生きる意味”を色々なアプローチで探っているけれど、まだ答えは出ていない。だからこそこの先も楽しみ」と絶賛。田中も「監督の優しさが溢れている映画。最終的には人間の深い心理がわかってきて感動する」と感想を述べていた。

太田は「君の映画の企画はどうしたの?」とギリアム監督に聞かれると「書いても、書いても企画が通らない。アメリカの映画会社に紹介してよ」とおねだり。するとギリアム監督からは「映画ビジネスはワンチャンスだけ。一度失敗したらダメだよ」と厳しい言葉が飛び出したものの、太田は「お前は何度も失敗しているだろ!」とツッコミ。映画製作において過去に様々なトラブルに見舞われてきたギリアム監督は、的を射た太田の言葉に爆笑するしかなかった。

また3月28日(土)に新たに開業するYEBISU GARDEN CINEMAが本作の公開メイン館になるに伴い、特別オープニングセレモニーも実施。ギリアム監督のポートレートを3人で仲良く壁に飾るのだが、ここでもギリアム監督は好奇心旺盛なパワーを発揮。爆笑問題をタジタジにさせていた。

映画『ゼロの未来』は5月16日より全国公開