昨年6月から7月にかけて北海道・小樽にてオールロケを行った映画『きみはいい子』(6月、テアトル新宿ほか全国ロードショー)の完成披露試写が、本日3月7日(土)イオンシネマ小樽にて行われ、呉美保監督、主演の高良健吾が舞台挨拶をいたしました。

本作『きみはいい子』は、大人も子どもも共有できる優れた作品に送られる文学賞「第28回坪田譲治文学賞」を受賞した小説「きみはいい子」(著:中脇初枝〈ポプラ社刊〉)を、『そこのみにて光輝く』でモントリオール世界映画祭最優秀監督賞はじめ2014年度の日本映画賞を総なめにした呉美保監督が映画化したもの。現在放映中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で高杉晋作を演じ、数多くの日本映画に出演するキャリアを誇る高良健吾にとって、教師役はこの『きみはいい子』が初めて。高良演じる岡野匡が担任を受けもつ4年2組の児童を演じたのは、ほぼ全員が地元・北海道の小学生で、この日は参加した児童36名が出席し、約9か月ぶりとなる「高良先生」との再会を喜んだ。映画上映後には、サプライズで、4年2組を代表して2人の男子児童が高良と呉監督への感謝の手紙を朗読。高良&呉監督が感激していると、呉監督にさらなるサプライズが! 一週間後の3月14日は呉監督38回目の誕生日ということで、2人の女子児童がバースデーケーキを持って登場し、クラス全員でバースデーソングを合唱。呉監督は「自分の誕生日忘れてました(笑)。38歳になります。皆、身長伸びたね。ありがとう。」と語り、大感激の様子だった。

以下はイベントの内容となります。
——高良さんは本当にたくさんの映画に出演されていますが、教師役は初めてだったんですね?

高良:そうなんです。生徒との関係が映画にも写るはずなので、最初はちゃんと自分が先生として生徒のみんなと接することが出来るのかなと不安だった。みんなとすごい仲良くなれたし、みんなが好きにさせてくれたから、とにかく感謝しています。楽しかったね?(生徒たち皆笑顔)

——呉監督もデビュー作以来、これだけたくさんの子どもを起用することは無かったと思いますが?

呉:クラスメイト38名全員をオーディションしました。一般の方がほとんどで、なかには劇団に入っていても映画は初めてという子もいたり、ひとりひとりと話して相応しい役を考えました。この子の隣はこの子がいいよねと、席順も助監督と一緒に考えました。その作業がすごく楽しかった。でも現場に入ったら高良さんに丸投げです。

——原作のある作品ですが、映画化しようとしたのは何故?

呉:いま常にニュースで取り沙汰されている社会問題が原作にはたくさん入っています。それを初めて読んで、すごく苦しかったんです。でも、この本には救いがあるなと思いました。わたしは、映画には救いとか希望がないとやる気にならないんです。すごくハッピーになるとか大げさな救いではないんだけど、この救いが明日の一歩になれるような気がして、ぜひ映画化したいと思いました。いろいろな事件がニュースになっていますね。人は、その人が生きてきた環境が行動に表れると思うんです。尾野真千子さん演ずる雅美も、子どもを愛したい、でもどう愛したらいいかわからない。それってちゃんと自分が愛されたという実感が無いからだと思うんです。誰か見ていてくれる人がいる、という救いを大事にしたいですね。

——マスコミの皆さんありがとうございました。今日はお二人に素敵なプレゼントが用意されています。4年2組を代表して生徒の皆さんお願い致します。

4年2組を代表・大熊渉役の下村恭平:岡野先生へ。初めて会ったときはイケメンすぎてドキドキしました。近くでみるとかっこ良すぎて、反抗する役を演じるのが申し訳なくてうまくできなったけど、演技のことを教えてくれて本当の先生みたいでした。ありがとうございました。4年2組の皆でメッセージを書きました。岡野先生大好きです!

高良:めちゃくちゃ嬉しいです。僕が演じた岡野は教師という仕事がうまくいかない役です。生徒役の皆はこれから経験することかもしれないけど、この映画が皆の勇気になってもらえたらいいです。僕はこの映画に勇気や希望をこめました。

——実は呉監督にもう一つ素敵なプレゼントがあります。清水宇宙役の真鍋和愛さん、星まどか役の仁木翔鈴さんお願いします。

真鍋・星・4年2組生徒役全員:「ハッピーバースデートゥーユー」歌と共に、バースデーケーキがステージに運ばれる。

監督:わー!ありがとうございます。

——実は来週3月14日が監督のお誕生日なんですね。

監督:ありがとうございます。自分の誕生日忘れてました(笑)。38歳になります。皆、身長伸びたね。ありがとう。

——ケーキは桜の花びらをイメージして作ったものです。おめでとうございます。最後に高良さん、監督からメッセージをお願い致します。

高良:僕が演じた岡野の感情の動きは誰もが通ってきたものかもしれないです。何かをあきらめた瞬間に一歩踏み出すという。社会問題を扱っていますが、そこに救いと希望を見出してもらえたらと思います。僕は岡野先生を演じたから生徒の皆への思いは特別です。皆には映画に参加した期間が特別になってくれたらと思います。忘れないでほしいです。僕も絶対に忘れないです。ロケ地である小樽でスタートできて嬉しく思います。皆さんお世話になりました。ありがとうございます。

監督:今日は観に来て頂いてありがとうございます。自分自身、すごく楽しみでした。今後の具体的な予定がないこともあって個人的にも特別な作品です。今日は『きみはいい子』を世の中に送り出す活動のスタートの日です。しかも誕生日のお祝いもして頂けて・・・ありがとうございます。
心を救われながらも現実を見据えていく・・この映画にとって大事なテーマです。6月の公開までいろんな人に知ってもらいたいです。今日は本当にありがとうございました。