謎の指揮者と負け組楽団員が巻き起こす笑いと涙の本格的音楽エンタテインメント、『マエストロ!』(配給:松竹、アスミック・エース)の全国公開が今月31日に迫り、本日20日(火)、よみうり大手町ホールにて豪華キャスト陣を迎えての公開直前イベントが行なわれた。

イベントには本作で主演を飾る松坂桃李、名優・西田敏行、映画初主演となる大人気シンガー・miwa、小林聖太郎監督が登壇した。本作で指揮指導・指揮演技監修を務めた世界的指揮者・佐渡裕さんの熱血指導について聞かれると、松坂さんは「佐渡さんがいらっしゃるだけで、一瞬にして森になるんですよね。情熱が一瞬にして伝わるので、それを直に体感できたのは非常に貴重でした」と振り返り、実際に熱い指導を受けた西田さんは「情熱を人間にすると、ああいう形になるんですね。本当に表情が豊か(ゆたか)、佐渡裕(ゆたか)です」と西田節炸裂で会場は笑いに包まれた。天才フルート奏者を演じたmiwaさんは「佐渡さんは、実は大学でフルート科を卒業されていたのですが、フルートをやっていたんだよね?と言われて。実際やったことはなかったので、最高の褒め言葉だなと思いました」と撮影当時のエピソードを語った。

また、撮影にあたり佐渡さんによる熱血指導を受け、謎の指揮者“天道”を演じきった西田さんが、劇中演奏曲であるベートーヴェン「運命」の指揮を会場で生披露することに!撮影とは違い、お客さんを前にするという緊張感に包まれる中「プレッシャーですけど、頑張ってみたいと思います」と意気込む西田さん。松坂さんが劇中のセリフを用いて「あなたの棒です」と隠し持っていた指揮棒を手渡すと、会場の期待と緊張感は最高潮に!張り詰める空気が漂う中、弦楽四重奏(ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ)を前にした西田さんが両手を振り上げ見事なマエストロ姿を披露し、誰もが知る出だし<ジャジャジャジャーン!>を成功させると、会場からは歓喜の拍手が巻き起こった。松坂さんは「思わず自分が(ヴァイオリンを)弾きそうになりました」と興奮気味に語り、miwaさんは「背筋がピンとなりますね。(撮影時の)あの緊張感を思い出しました。フルートを構えたくなりましたね」と、久しぶりに目にした西田さんの指揮姿に感激の様子だった。

さらにスペシャルゲストとして、エンディングテーマ「マエストロ!」を手掛けたピアニストの辻井伸行さんがサプライズ登場すると、会場は驚きと期待で大盛り上がり。四重奏と重なった素晴らしい演奏の中、会場全体が感動に包まれ、演奏後もなかなか拍手が鳴りやまず、客席からはすすり泣く声も。感想を聞かれると辻井さんは「この作品に関われたことに本当に感謝していますし、誇りに思っています。西田さんは涙を浮かべながら、「感動しちゃって涙がでてきちゃって。素晴らしかった」と言葉にならない様子。miwaさんは「色々なことを思い出します。この先もこの曲を聴くときっと鮮明に戻ってくるんだと思います」と感動をにじませた。辻井さんは、撮影現場を訪ねた時の感想を聞かれると「こんなに皆さんが演奏できるとは思っていなかったので、びっくりしました。豪華なメンバーがここまで熱心に練習されて感動しました。素晴らしいです」とキャスト陣の取り組む姿を大絶賛。すると辻井さんと同い年の松坂さんは「辻井さんにこのような言葉をかけられるとは!同い年で違う畑の人たちとこのようにして関われるとは、この映画で音楽というものに引き寄せられたんだなとつくづく実感しています」と感慨深い様子で語った。

最後に松坂さんは「本作は色々な境遇の皆さんにも様々なシーンで置き換えられるところがあると思います。コンサートシーンを、身体で、目で、耳で実感して頂ければと思います。最後までどうぞお楽しみください」と演じたコンサートマスターらしく、力強く締めくくった。