長編コンペティション部門以外の各賞の受賞作は以下の通り。


☆短編コンペティション部門:パルムドール

『レイデイ』シモン・メサ・ソト監督(コロンビア)

☆短編コンペティション部門:特別表彰

『エイサ』クレモン・トルアン=ララン監督(フランス)
『イエス・ウィー・ラヴ』ハルヴァー・ウイゾ監督(ノルウェー)


☆シネフォンダシヨン部門:第1席/賞金15000ユーロ

『スカンク』アニー・シルヴァースタイン監督(アメリカ)

☆シネフォンダシヨン部門:第2席/賞金11250ユーロ

『オー・ルーシー!』平柳敦子監督(日本)

☆シネフォンダシヨン部門:第3席/賞金7500ユーロ

『サワー種』フルヴィオ・リズレオ監督(イタリア)
『ザ・ビッガー・ピクチャー』デイジー・ジェイコブス監督(イギリス)

 短編コンペティション部門およびシネフォンダシヨン部門の審査員を務めたのは、イランのアッバス・キアロスタミ監督(委員長)、フランスのノエミ・ルヴォフスキー監督、ブラジルのダニエラ・トーマス監督、チャドのマハマット=サレー・ハルーン監督、ノルウェーのヨアキム・トリアー監督の総勢5名。
 『レイデイ』で短編コンペティション部門のパルムドールに輝いたシモン・メサ・ソト監督は、受賞者会見で「たった4ヶ月前にはコロンビアで撮影してたのに、今日この場にいるなんて嘘みたいです。コロンビアのような国で暮らしていると毎日、何かが起こります。この作品にはコロンビア、大雑把に言えばラテンアメリカの様々な側面をつめこみました」とコメントした。ちなみに1枚目にアップされている写真は、受賞者会見に登壇した短編コンペティション部門の3人で、左からシモン・メサ・ソト監督、クレモン・トルアン=ララン監督、ハルヴァー・ウイゾ監督。
 なお、一足早く22日(木)の夕方に授賞式が行われたシネフォンダシオン部門においては、平柳敦子監督の『オー・ルーシー!』が第2席を獲得! 新しい才能を発掘するために1998年に創設されたこの部門で、日本人が受賞するのは初めてだ。

 また、高等技術院(CST)が技術者を対象にして選出する“ヴァルカン賞”は、イギリスのマイク・リー監督のコンペ作『ミスター・ターナー』のディック・ポープ(撮影監督)が受賞した。この他にも全キリスト教協会が選ぶエキュメニック賞なども選出された。また、併行部門の“批評家週間”と“監督週間”でも、それぞれ各賞を与えている。


●カメラドール(新人監督賞)は“ある視点”部門で上映された『パーティー・ガール』が受賞!

 オフィシャル部門、併行部門の垣根を越えて、監督処女作を対象とする“カメラドール”の審査員は、フランスの女優&監督のニコール・ガルシア(委員長)以下の総勢6名。受賞作の『パーティー・ガール』は、“ある視点”部門のアンサンブル賞にも輝いた女性映画で、監督はマリー・アマシュケリ&クレール・バーガー&サミュエル・ティスというフランスの3人組。
 実の母親を本作の主人公のモデルにしたというマリー・アマシュケリ監督は、「母はパーティー・ガールそのものです。今日、彼女の物語を語ることができ、彼女と家族、そして俳優の皆さんを誇りに思います」と謝意を述べた。そしてサミュエル・ティス監督は「これは僕たちの長い友情物語です。3人で全部やってみました。何かを決断する際は、その度に相談し、真のヒューマン・アドベンチャーを経験すべく3人で歩んだわけです」と結束の固さを語った。


◆コンペに限らず、実在の人物や事件にスポットを当てた作品が多かった今年のカンヌ!

 授賞式から一夜明け、街中には祭りの後の気怠いムードが漂う25日(日)。怒濤の日々も過ぎてしまえば、あっという間だ。一昨年と昨年はひどい悪天候に見舞われて肌寒い日ばかりが続いたが、天気に恵まれた今年は、雨が降ったのは僅か2日だけで、本日も涼しいながらも晴れ。例年だと、映画祭最終日となる日曜日には“長編コンペティション”部門出品作のみがリピート上映されていたのだが、欧州議会選挙のため授賞式が1日繰り上がった今年は、コンペ全作に加え、“ある視点”部門&“招待”部門からセレクトした作品を「ベスト・オブ・フィルムズ カンヌ2014」と銘打ち、昨日と本日の両日に振り分けて5会場で上映。また、映画祭終盤まではマルシェ(見本市)用の上映&プロモーション会場にシフトしていた市内の一般映画館も通常モードに戻っていた。ちなみに4枚目にアップした写真の映画館Starではハリウッド大作の『GODZILLA ゴジラ』『X-MEN:フューチャー&パスト』を上映中!

 今年は、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』を皮切りに、実在の人物や事件にスポットを当てた作品がとても多かったのだが、25日の21時から中規模会場“ブニュエル”で鑑賞した筆者の今年の見納め作品『イン・ザ・ネーム・オブ・マイ・ドーター』も1976年に起きて世間を騒がせた実際の未解決事件(南仏ニースのカジノ経営者の娘の失踪事件)を題材にしたフランス映画だった。これは“特別上映”部門に出品された名匠アンドレ・テシネ監督の見応えのある人間ドラマで、出演もカトリーヌ・ドヌーヴ、ギヨーム・カネ、アデル・エネルという豪華な布陣だった。
(記事構成:Y. KIKKA)