『アナと雪の女王』のウォルト・ディズニー・スタジオが、日本カルチャーへの憧れと愛情を注ぎ込んで作り上げた映画『ベイマックス』が、世界に先駆けて日本で行われた東京国際映画祭でのワールドプレミア上映を経て、11月7日の全米公開を三日後に控えた日本時間5日(現地4日)、アメリカ・ロサンゼルスのエル・キャピタン劇場前にて凱旋LAプレミアが盛大に行われた。会場には、映画の舞台となる日本とサンフランシスコを融合して作られた架空都市“サンフランソウキョウ”の一部が再現され、日本のテイストを盛り込んだゴールデンゲートブリッジを模した橋の装飾をはじめとする日本を感じる演出が施されていたほか、レッドカーペットの枠には屋台も設置されていた。また、東京国際映画祭で初お披露目となったベイマックスも会場に登場し、ひときわ観衆の注目を集めていた。

日本でのワールドプレミア上映以来、ディズニーに新たなる名作が誕生したと、非常に高い評価を得ての“凱旋”プレミア。来日時に「この映画は日本へのラブレターだ。」と日本への熱い思いを語っていたドン・ホール監督とクリス・ウィリアムズ監督だったが、「日本の観客や取材陣の方々に映画を受け入れていただき、日本の要素を強く感じていただけたことはとても誇りに思っています。」と感慨深そうにクリス監督。ドン監督も「架空の世界でありながらも、日本らしさが忠実に描かれていたというコメントを多く受け取り、本物らしさを追求するために努力したスタッフ達にそのことを伝えました。」と帰国後のエピソードを語った。全米公開を前にクリス監督は、「待ちきれないですね!何年もこの作品に費やし、遂にこの日が実現しました。この作品を観客に捧げ、分かち合うことになるので、もう落ち着いて眠れないですよ。」と興奮気味。ドン監督も「本当にワクワクしています。観客の皆さんに映画を受け入れてもらい、大いに笑い、スリル感を味わってほしいです。そして何よりも大切なことですが、心から感動していただければと思います。」と笑顔で語っていた。また、2014年のアカデミー賞での『アナと雪の女王』の受賞に続く作品ということで、日本のファンの間でも連覇に期待がかかっていることを伝えると、クリス監督は「それが皆さんの望みであれば、私達もそう願います!」と意欲を見せ、ドン監督も「是非日本の皆さんに(賞を)お届けできればいいですね。」と期待感を募らせていた。

同じく来日したプロデューサーのロイ・コンリも日本での滞在について「一番嬉しく思ったのが、映画を観た観客やプレスの方々が私のところへやってきて、サンフランソウキョウに真実味があり、まるで東京にいるみたいだったとコメントしてくれたことです。私にとって、それは本当に意味のあることでした。」と感激した様子で、全米公開を前に「この映画で私が特に気に入っているところは、ドラマチックな場面が多い中、笑いや楽しさに溢れているところです。観客の皆さんには是非楽しんで観ていただきたいですし、(この作品を)私たちからの贈り物として受け取ってもらえればと思います。とても美しいストーリーですので、早く皆さんに観ていただきたいです。」と満足気な様子で語った。ディズニー作品では恒例ともなっている隠れキャラクターの出演があるのかについて聞かれると、「至るところで見つかりますよ!たくさんの隠れミッキーやイースターエッグと呼ばれる隠れキャラがいます。」と断言。『アナと雪の女王』のキャラクターはいるのか聞かれると、「もちろん、いくつかいますよ。」とマル秘情報を明かした。

ディズニーのアニメーション作品のすべてを統括するジョン・ラセターも、日本の羽織風の紺色の服と、日本のディズニーからプレゼントされたというお気に入りのベイマックス柄のアロハ姿で登場し、満面の笑みで取材陣の質問に答え、映画の舞台であるサンフランソウキョウについて、「私が立てた目標は、とてもクールで、住んでみたい!または休暇で行ってみたい!と思える場所にすることでした。そしてとても美しく、楽しく、リアルさを持ち合わせた場所に仕上がりました。この複雑で全く新しい都市は、ディズニー・アニメーション・スタジオのスタッフが一から作り上げたのです。」と出来栄えに自信を見せ、東京国際映画祭でのワールドプレミア上映については「東京は映画にとって非常に重要であり、インスピレーションを得た都市でもあります。それは場所としてだけでなく、人々やテクノロジーも含まれます。世界の都市としてユニークな点は伝統と新しいテクノロジーが共存している点です。」と日本を称賛した。

また、ヒロのアメリカ版の声を担当するライアン・ポッターは、「ヨロシクオネガイシマース!」と流暢な日本語でカメラの前に登場。父親が日本人で、東京の用賀で保育園に通ったよと笑顔で話す彼は、アメリカに帰国後はサンフランシスコで育ち、まさにヒロ役にぴったりな好青年。最後はインタビュアーに言葉を確認しながら、「『ベイマックス』をミニキテネー!」と日本語ととびきりの笑顔でメッセージを送った。

この映画は、幼くして両親を亡くし、最愛の存在であった兄タダシをも謎の事故で亡くしてしまったひとりぼっちの天才少年ヒロと、心とカラダを守るために作られたケア・ロボットの“ベイマックス”の絆を描いた感動のアドベンチャー。傷ついたヒロに限りない優しさで寄り添い、そして守るベイマックスの献身的な姿と、ベイマックスを通して誰かのために優しくなるという強さに目覚めていくヒロの繊細な心模様の変遷に、思わず胸が熱くなる映画となっている。2015年のアカデミー賞にむけて早くもオスカー候補として海外メディアが有力視しており、今後の動向にますます目が離せない。映画『ベイマックス』は12月20日より全国公開。