この度、映画『紙の月』のプレミア試写会を開催いたしました。
本イベントには豪華キャストが一堂に会し、りえさん演じる梨花を写したお札が舞う中、レッドカーペットセレモニーを行い、その後舞台あいさつを実施いたしました。

映画『紙の月』 プレミア試写会 概要

日程:11月2日(日)
場所:新宿ピカデリー(新宿区新宿三丁目15-15)
登壇者:宮沢りえ 池松壮亮 大島優子/田辺誠一 近藤芳正 石橋蓮司/小林聡美/吉田大八監督

新宿ピカデリーの大階段にひかれたレッドカーペットに、宮沢りえさんほか、豪華キャストのみなさんがシックな黒で統一された衣装で登場!全員が揃ったところで、宮沢りえさん演じる梨花が写された100万ドルりえ札が舞い落ちるという演出に、キャスト・マスコミから歓声が沸き起こりました。
また先日の東京国際映画祭で受賞した最優秀女優賞および観客賞のトロフィーを宮沢さん、吉田監督がそれぞれ手に持ち、豪華フォトセッションが行われました。

その後、劇場に移動し、舞台あいさつを行いました。本試写会はここ新宿のほか、大阪、名古屋、札幌、福岡、仙台、金沢という全7都市で同時刻に開催。
舞台あいさつの模様も各都市へ生中継配信され、全国2000人がその様子を見守りました。

またイタリアのトリノで開催される、第32回トリノ国際映画祭に、本作が出品されることも発表され、国際的な注目も集まり、公開までますます盛り上がりを見せています。

【舞台あいさつ】

MC:一言ずつご挨拶をお願いいたします。

宮沢さん:こんばんは!(大きな拍手) 会場のみなさん、画面の向こうのみなさん、ありがとうございます。
7年ぶりの主演ということで緊張と不安がありましたが、撮影が始まってからは吉田監督の演出のもと、濃密で集中力のある毎日で、惜しみなく演じることが出来ました。15日公開を前に興奮に包まれています。

池松さん:この映画、今、乗りに乗っているので、よろしくお願いいたします(笑)。

大島さん:みんな元気ー?(会場から「元気ー!」)と、宮沢さんにやれと言われました(笑)
国際映画祭で賞を獲るような作品に携われてうれしいです。
梨花を破滅へと加速させるキーパーソンということで、小悪魔的なシースルーの衣裳にしました(笑)
疾走感のある映画を駆け抜けるように観てください!

田辺さん:この場、この映画に参加でき、役者としてとてもうれしいです。
原作を読んで価値観が崩され、脚本をもらってさらにその考えが大きくなりました。
いろんなものを受け取ってもらえる映画になったと思います。

近藤さん:今回、銀行員ということで、お金に困っている役です。今までお父さん、
刑事、学校の先生など演じてきましたが、すべてに共通しているのがお金に困っている役
ということです(笑)。なので、今回はとてもやりやすかったです。
感想が分かれる映画だと思います。それを話し合うのも観終わったあとの楽しみにしてください。

石橋さん:吉田監督とは初めてでしたので、デビュー作と思うくらい真面目にやりました。
その真面目さを見てください(笑)

小林さん:公開前に宮沢さんと作品ともに賞をいただいて、勢いづいてよかったです。
最後まで楽しんでください。

吉田監督:池松くんが「乗りに乗ってる」と暗い声で言っていましたが(笑)、
この上映がスタートだと僕ら引き締めて臨んでいます。
楽しんでとは言いにくいですが、覚悟して臨んでいただければ報いる映画になっています。
よろしくお願いいたします。

MC:今回、最優秀女優賞を受賞した宮沢りえさんは、なんと審査員満場一致での受賞だと聞いています。
授賞式では、審査員のイ・ジェハン監督から、「意味深さと奥深さ、繊細さと脆さを表現し、目で全てを語り、
真の自由を求めていた。彼女の芸術貢献に感謝します。そして言葉に表せないほど美しい方」と大絶賛を受けられました。
宮沢さん、授賞式から2日ほど経ちましたが、改めて、今のお気持ちをお聞かせいただけますでしょうか?

宮沢さん:授賞式でも申し上げましたが、とてもとても難しい役を演じるのを上手く引き出してくださった監督に、
このトロフィーを半分にちょん切ってあげたいくらい感謝しています。

MC:監督、授賞式では宮沢さんとハグして喜んでいらっしゃいましたが、この最優秀女優賞受賞について、
どのように感じていらっしゃいますか?

吉田監督:すごく欲しかった賞です。女優賞と作品賞は重みも意味も同等だと思っています。
宮沢さんが代表して評価を受け取ってくれたと思っています。

MC:そしてまた観客賞受賞という、“観客に最も支持を得た映画“としてこの作品が選ばれたことについて、どのようなお気持ちでしょうか?

吉田監督:映画祭が初お披露目ということで、観たあとにこの映画が好きだと意思表示してくれた重みを感じ、勇気が出ました。
この映画とこれから歩んでいく上で励みになりました。

MC:さて、ここからは、そんな本作の裏側について少し伺ってまいりたいと思います。
先日の授賞式でも、宮沢さんが「粘り強い、厳しい、愛のこもった演出」と表現されていましたが、
そんな吉田監督率いる吉田組の現場について、皆さんいかがでしたでしょうか?
撮影中の印象深いエピソードをお一人ずつお聞かせいただきたいと思います。

宮沢さん:カメラマンは普段CMを撮っている方だったり、スタッフ皆がみんな、映画を作ってきた人ではなく、
異物同士が集まっていて、一体感にたどり着いていないスタートでした。
撮影が始まり濃密な時間が重なって、異物が密集してパズルのピースが合うように一体感を得られたこと、
その変化が、梨花が心の変化を遂げていくのと相まってうれしかったです。

大島さん:吉田監督は的確で繊細に指示してくださる方なんですが、そこまで?マジで?と思ったのは、
札勘するシーンでした(笑)。「お札の高さが違う」って言われまして、「もうちょっとお札を上げて」という指示で
私の顔が見えなくなっちゃうと思ったら、今度は「大島さんを上げてー」って!私の椅子も上げられて(笑)。
本当にディテールにこだわる方でした。

田辺さん:知らずに傷つける旦那ということだったんですが、ただこの旦那だからこうなったんだと、
やりすぎないようにと監督から言われましたね。また、その温度のずれを宮沢さんが受けで演じてくださいました。
それと、確か大雪の日がありました。

宮沢さん:そうでした。雪で現場に車で行けなくて、電車で行きましたね。
撮影休みになると思ったら、当然やるって!作品を作る人たちの執着がすごいと思いました(笑)。

近藤さん:褒め言葉なんですけど、監督にオーラがないんです(笑)。
細かく言われても嫌な感じがしないんです。安心感がありました。

石橋さん:初めてご一緒する監督なので緊張しました。
化石みたいな演技と言われるのですが、化石なりに頑張りました(笑)

小林さん:勤続25年のベテラン銀行員の役だったので、お札を数える練習を随分したんですが、
映画を見たら、そのシーン全部カットされていました!見えないところで努力したということで、
監督ありがとうございました(笑)。

池松さん:印象的だったのは、ラブホテルのシーン。ベッドでりえさんが飛び跳ねていました(笑)。

宮沢さん:めったに行かないのでテンションあがっちゃったんです!
お部屋のデコレーションのすばらしさに感動しちゃいました(笑)。

MC:この皆さんのお話を受けて、監督いかがですか?

吉田監督:半分クレームだったような…(笑)。
ここにいる誰一人欠けても僕の作りたかった『紙の月』ではなくなります。
皆さんを誘って集まっていただけて、自慢できるとすれば、これだけの人たちを集めて
映画の中で素晴らしい演技をしていただくだけの場所を用意できたこと。
オーラがないなりに仕事をしました(笑)。

MC:最後に代表して宮沢さんから、これから映画をご覧になる皆さまに一言メッセージをいただけますでしょうか。

宮沢さん:主人公の梨花があることをきっかけに、常識や理性を捨て去って、本能に従って
走り抜けていく描写を、楽しんでください。面白かったら、ぜひお友達に話してくださいね!