12月20日(土)よりテアトル新宿他にて公開となります、話題の映画『百円の恋』。
故・松田優作氏の出身地である山口県の周南映画祭において、優作氏の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく2012年に新設された脚本賞、第一回「松田優作賞」のグランプリ作品が武正晴(『イン・ザ・ヒーロー』)の手によって映画化されることでも話題となっている本作。

10月29日(水)の第27回東京国際映画祭 
日本映画スプラッシュ部門での上映にて、武正晴監督、松浦慎一郎さん、早織さん、伊藤洋三郎さん、足立紳さん(脚本)、
佐藤現さん(プロデューサー)による上映前舞台挨拶、上映後Q&Aを実施いたしました。

◆10月29日(水)『百円の恋』第27回東京国際映画祭 日本スプラッシュ部門
20:40の回、上映前・舞台挨拶/上映後Q&A
会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズSC4

<上映前・舞台挨拶>
登壇者: 武正晴監督、松浦慎一郎、早織、伊藤洋三郎、足立紳(脚本)

<上映後・Q&A>
登壇者: 武正晴監督、松浦慎一郎、早織、伊藤洋三郎、足立紳(脚本)、
佐藤現(プロデューサー)

第27回東京国際映画祭 日本スプラッシュ部門に出品し、2回の上映が即日
完売する人気をみせている『百円の恋』。遅い時間からの上映にも関わらず
上映前の舞台挨拶、上映後のQ&Aともに大盛り上がりとなりました。

上映前舞台挨拶

武正晴監督:本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。
周南映画祭の第一回「松田優作賞」のグランプリを受賞していますが
脚本の足立さんが勝手に出したんですよ(笑)。でも良かったんじゃないか
と思っています。

松浦慎一郎さん:『百円の恋』に出演するきっかけとなったのは別の現場で
プロデューサーさんにプロのボクシングトレーナーもやっているということを
ポロッと言ったのを覚えていて下さったことです。
心から熱くなる作品だと思いますので、ぜひ堪能して下さい。

早織さん:劇中では金髪の早織です。私はオーディションを受けたんですが、
脚本に惚れていたのでこの役をいただけて幸せです。
体の底から響いてくる作品だと思います!

伊藤洋三郎さん:皆さん仰っていますけれど、やはり本が面白かったのと
武監督が助監督をやられている作品でご一緒した時から素敵だなと思っていました。
本人たちを目の前にすると褒めるというのはやりにくいですね(笑)。
自分でいうのもなんですが、観ていただいたら驚くと思いますよ。

足立紳さん:賞をいただけたというのは運が良かったのではないでしょうか(笑)。

武正晴監督:どんなメッセージが込められているかは、ご覧いただいてから色々と
お話できればと思います。

※上映後Q&A※

佐藤現P:オリジナル脚本は映画化し辛いなどありますが、脚本に惚れ込みました。
映画化にあたっては「松田優作賞」のグランプリを受賞したことを
最大限に活用させていただいてます(笑)。

Q:監督・プロデューサーにお伺いしたいのですが、劇中のキャラクターとタバコの関係性はありますか?

武監督:それは僕の演出ですね。家族を表現する手段としてタバコの吸い方にもこだわりましたし、
キャラクターで銘柄を変えたりストレスの象徴として使ったりしています。

佐藤P:演出は監督にお任せしていますので、こちらからどうということはありませんでした。

Q:どんどんかっこよくなっていく安藤サクラさんの体作りはどのような感じだったのですか?

武監督:準備は三カ月くらい前からトレーニングでの体作りや食事のコントロールをしましたが、
撮影は短い期間ですし順撮りというわけでもないので、本人の工夫がすごかったと思います。
ハードルがすごい高いので現場でこっちがびっくりすることも多かったです。
安藤さんは自分の体をよく知っていて、
見せ方もわかっているのであとはこっちがどう撮るかということでした。

松浦さん:本人の努力のたまものだと思います。プロボクサーでも中々できないです。
やはり目標があったからできたんじゃないでしょうか。素晴らしいです。

Q:監督にお伺いしたいのですが、何度も同じ音楽を使うのには意図があったのですか?

武監督:一子のブルースだなと思い発注したら、「これだ!」という曲がきたので70年代、
80年代の映画のようなリフレインも意識して繰り返し使用しました。

Q:メインキャラ以外の演出は台本にあるものですか?それとも脚色ですか?

武監督:登場シーンが少しでも印象に残るディティールを意識しました。

伊藤さん:普段はアドリブでやってOKになることもありますけど、
ブレないけれど柔軟な武監督の演出に任せました。

早織さん:劇中でホントに喧嘩してましたよ(笑)。でも役柄の気性がわかったんですよ。
眉毛を抜いていたので、今やっと生えてきたという感じです。

武監督:ボクシング試合中のインターバルは松浦さんのアドリブです。
経験者だけに編集もしやすかったです。

松浦さん:安藤サクラさん集中力はものすごいので、こちらも自然と言葉が出てきました。

Q:主題歌がクリープハイプに決まった経緯はありますか?

武監督:台本を読んでもらって気に入ってもらえたからだと思います。
映像を観ない状態で曲をつくってもらったんですが、
出来上がったものがとてもリンクしているので才能の共鳴を感じました。

佐藤P:彼らが第一候補ですんなり決まったので、別のアーティストは考えていませんでした。

Q:脚本づくりのモチベーションをお伺いできればと思います。

足立さん:これをテーマにしようと思ったのは自分の経験もふまえてですが、
「勝ちたい」と思ってほしいという願いはありますね。

武監督:この企画をやろうとしたときに、僕も足立さんも仕事が無かったんですよ(笑)。
無いなら自分たちで作ろうということで、どこにでもいる女性が頑張る話を作ろうと話していたんです。
マイノリティにみえてマジョリティだと思います。

Q:安藤サクラさんと共演されてインスパイアされたことなどありますか?

伊藤さん:男優はデニーロアプローチなんていってやる人がいますが、女優さんで
ここまでやるのはびっくりしました。打ち上げなどで合うと撮影時とは全く別の顔で
そこにも驚きました。

早織さん:撮影中はほとんど話さなかったのですが、
お互いに役者として信頼し合っていたんだと思います。
簡単なリハーサルだけで現場に臨んでほとんどぶっつけ本番となった重要なシーンはゾクゾクしました。
サクラさんがリングに上がる姿が何ともいえず美しくて、衝撃をうけました。
ものすごく好きで、尊敬しています。

松浦さん:腹の底から吐き出して、ぶつけて出してくるのでこっちも裸になってできました。

武監督:彼女に引っ張られた作品だと思います。女優魂というだけでなく、人間力だと思います。
サクラさんをたてようとする新井浩文さんの細かなバックアップも凄いなと改めて感心しました。

       以上