本作は、行定勲監督がオール上海ロケで撮影に挑み、美しい双子の姉に恋をした日本人青年(三浦春馬)が迷い込んだ不可思議な愛の世界を描く、ロマンティックなミステリー。原作は、本多孝好著『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』(新潮文庫刊)ベストセラー恋愛小説から、舞台をアジアへ移し、原作の良さを活かしながらも、妖艶さを加え、映像化に成功。主演は『永遠の0』やドラマ「僕のいた時間」で人気・実力を兼ね備えたスターとしてその輝きを増し、注目の話題作『進撃の巨人』の主演としての期待も高まる三浦春馬。共演に中国の国民的ドラマ「宮廷女官 若曦(ジャクギ)」のヒロインとして若手トップスターに登り詰めるリウ・シーシー(劉詩詩)、台湾で年間視聴率1位を獲得した「最後はキミを好きになる!」の主演や映画『GF*BF』で日本での人気も高まるチャン・シャオチュアン(張孝全)。アジアで高い人気を誇る行定監督のもと、日本・中国・台湾の注目スターが集結しました。
10月4日(土)の上映後のティーチインに、行定勲監督、三浦春馬、リウ・シーシー、チャン・シャオチュアンが登場。209席の劇場は満席。質疑応答は、男女ともに熱心な観客が多く、テーマや役柄について深く突っ込んだ質問が飛び交いました。

【イベント概要】
◆日程 :10月4日(金)21:15〜
◆登壇者:行定勲監督(46)、三浦春馬(24)、リウ・シーシー(27/劉詩詩)、
チャン・シャオチュアン(30/張孝全 ※以前はジョセフ・チャン)
Q: チャン・シャオチュアンのファンです。ティエンルンはとても現実的な選択をしました。
愛が終わったと思った瞬間、彼女から離れていきました。実際、ご自身だったらどうしますか?
A: 本当に愛しているんだったら、信じること以外に方法はないと思う。
Q: (監督へ)劇中で、時計を 5 分遅らせることが興味深かったです。 5 分遅らせるのは監督本人のアイディアですか?
それとも、他の人からのアイデア?
A: この映画には原作小説があります。その小説の中に、三浦春馬演じる主人公の昔の恋人が5分遅らせてるというくだりが
あります。そこを中心に、脚本家と一緒に作っていきました。僕自身は、5分早めてます。遅刻しないですからね(笑)
でも、この映画では、(リョウたちが)遅刻しましたね、映画館に。(笑)でも、その5分遅れて過ごすというのは、僕は贅沢だと思うんです。人とはちょっと遅れてるんだけど、遅れた分だけ贅沢な時間を過ごすという欲張りに生きてると思います。すごく
素敵だな、と思います。

Q: リウ・シーシーさんへ質問。三浦春馬さんと監督とはどうやってコミュニケーションしたのですか?
言語を超えて、演技しながらお互い通じ合った瞬間は?
A: 何より、三浦春馬さんの中国語は上手だったのでコミュニケーションは全然問題ありませんでした。台詞の勉強を、三浦春馬さんが日本と上海で習っていたので、私にとってはとても楽でした。彼のジェスチャーと目を通して、理解できました。なのでコミュニケーションの意味では大丈夫でした。
Q:1 人 2 役の演技に難しかった点は?
A:同時に 2 役を演じたのは初めてではない。しかし、これは心理的に疲れる。双子だけど別の人で、わずかな違い、微妙なニュアンスの違いを演じなければいけないという心配がありました。
撮影が終わったあと、しばらくは 1 人 2 役の演技はしたくないと話しました(笑)
Q: 三浦春馬さんへ。実際、自分がリョウだったらどうしますか?
A: 僕自身があの状況なら、心のどこかでリョウと一緒で、もともと愛してた女性の影を追ってしまうと思うし、少しでもその可能性が提示されたら、好きだった彼女の方の可能性を高めていってしまうと思います。リョウにとって残酷な設定を監督は僕に提示してきたな(笑)と思いました。
Q: (監督へ)これの前の作品では伏線がとてもうまく表現されていたが、この作品の中での複線はあまり理解できないです。
蝶や詩などの存在があまり伝わってこないように思いました。それは原作を尊重したから?それとも監督の意図ですか?
A: 意識的にしたわけではないです。この話は簡単に言うと、ごく普通の青年が双子と出会い、1人がある事故が起きた、とい
うだけなのに、そこに愛憎劇が生まれてしまう、その人間の愚かさを描くことを目指しました。ただ、ドラマチックな展開をあえて避
け、説明を避けたのはあります。劇中にチョウが出てきますが、あれはモウリシャス・チョウで、教会のシーンで飛んでいます。以前、
僕の映画で『春の雪』という映画で、チョウにいざなわれるように死に向かっていく主人公を描きました。チョウには幻想的な感じ
があって、日常の中に迷い込むようなファンタジックな感じにしたいと思ったからです。
A:チャン・シャオチュアン メッセージ
この映画を好きになっていただけることを祈っております。映画を通して、愛についての想いを考えてみて頂けると嬉しいです。
A:リウ・シーシー メッセージ
この映画では、今目の前にいる人の一体どんなところを愛しているのか、そして、あなたの恋はいったい何ですか?
自分の好きな人が、本当に自分の好きな人なのでしょうか? 今までの自分の認識を見つめてくれたら嬉しいです。
Q:三浦春馬 メッセージ
リョウと同じように、結末が気になると思うのですが、それを含めてこの映画のテーマでもある、自分が相手を愛するというのはどういうことなのかを考えるきっかけになれば、と思っています。自分なりの哲学がきっと生まれると思います。
Q: 最後に、監督からコメントをお願いします。
釜山のお客さんは、常に掘り下げて映画を観ているお客さんだと思います。日本ではわかりやすさをプロデューサーたちが求める傾向にありますが、それは映画を見る楽しみを半分奪っていると思っています。なので、この映画では、分かりやすさを求めたわけではありません。国や個人の枠を飛び出して上海で撮影しました。これは、釜山でもソウルでもありうることだと思っています。
自分の目の前の人の一体何を愛しているのか・・・ 僕みたいな年齢になると不確かなものになっていくんです。その不確かなものを描くために“映画”というものが存在している気がします。この映画を応援していただけたら嬉しいです。