この度、2010年に主演兼プロデュースした『歓待』(深田晃司監督)が東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞を受賞し、2011年には第24回東京国際映画祭で「アジア・インディーズのミューズ」という特集が組まれ、国内外から脚光を浴び続ける国際派女優でプロデューサーの杉野希妃【『ほとりの朔子』(14)プロデュース・出演/『マンガ肉と僕』(15年公開待機中)監督・出演・プロデュース】による長編劇場初公開作品『欲動』が2014年第19回釜山国際映画祭(期間:2014年10月2日〜10月11日http://www.biff.kr/structure/eng/default.asp)にて映画祭公式イベントでmarie claireと共同主催の「Asia star award 2014」最優秀新人監督賞を受賞致しました。
4日夜、釜山市内のホテルで授賞式が開かれました。

・映画の企画、構想について
(杉野希妃以下杉野)
6年前から構想しており、バリに対して強い憧れがあった。主演を務めた三津谷葉子さんとの出会いをきっかけに、自分の作品を彼女と一心同体で作れると思い、映画を企画した。一緒に企画開発から取り組んだ。

・撮影は大変だったか
(同時に釜山入りしていた主演・三津谷葉子以下三津谷)
脚本製作から参加したため、監督が自分の意見に寄り添ってくれた。そういった面では大変というよりも贅沢だった。

・出演者・斎藤工さんの起用について (杉野)工さんは『クリアネス』(08/篠原哲雄監督)という自分のデビュー作で共演したため、以前から知り合いだった。お互い映画好きという点、また役者でありながら製作者でもある点で意気投合し、今回の作品にオファーした。また、工さんはこれまでワイルドで男性的なイメージが多かったが、病に冒され死と向き合っているキャラクターを演じていただくことによって、これまでのイメージを覆すような作品にしたかった。

・メインテーマについて (杉野)三津谷演じるヒロイン“ゆり”が隠している欲望がバリでどのように解放されるかがテーマであり、二人の男性の間で揺れ動く三角関係にすることで伝えようとした。

・バリの伝統儀式が登場する意味 (杉野)バリの力強い儀式と、斎藤工さん演じる不治の病におかされたヒロインの夫“ちひろ”の対比を表現したかった。ケチャを度々登場させている意味は、ケチャと映画の物語が重なったため。

・印象的なエンディングシーンについて
(杉野)当初はヒロイン“ゆり”と、斎藤工さん演じる夫“ちひろ”の数年後を想定し、ゆりのバストアップでお腹を撫でながら泣き笑いをするシーンで終わる予定だったが、先を見せすぎているためそのシーンを切ってしまった。
(三津谷)今日、上記のシーンが切られていることをはじめて知り、何度も撮り直して頑張ったシーンだったため内心はショックだったが、実際に見てカットして良かったと思った。監督に任せて良かった。

・英題“Taksu”の意味について
(杉野)バリの言葉で、表現するときの精神的境地という意味。また、日本語の「託す」と同じ発音のため、誰かに何かを託すという意味もあり、語感が良いと思った。