≪本年度の作品の説明≫

「コンペティション」部門プログラミング・ディレクター 矢田部吉彦
今年の傾向としては、なるべく世界の国から色々なジャンルを集めました。今年の傾向を簡単に言い表すのは難しいですが、追いつめられる人々というのが一つの傾向となっています。今の変わり行く社会の中で、人々はその影響を受けずにはいられない、追いつめられる人がその状況をどうやって打破していくか、追いつめられながらいかに次に進むか、明日をどう生きるかというのが通定したテーマだと思います。

「特別招待作品」プログラミング・ディレクター 都島信成
例年以上に国やジャンルを含め多様性のある個性的な作品が集まりました。
特別招待作品の来日ゲストとしましては、『ベイマックス』からはドン・ホール監督、クリス・ウィリアムズ監督、プロデューサーのロイ・コンリ氏、製作総指揮のジョン・ラセター氏が来日されます。また、『寄生獣』からは、山崎貴監督、染谷将太さん、深津絵里さんが来場するなど、多くのゲストが来場予定です。どうぞご期待ください。

「アジアの未来」部門プログラミング・ディレクター 石坂健治
アジア作品は色々な部門で上映されていますが、アジアの未来部門は昨年から始まり、アジア作品限定の第 2 コンペとしてアジア新鋭の作品を集めた部門となります。アジア発の作品を、東京をプラットフォームとして世界に発信していく、お手伝いしていくということでプレミアにもこだわり、東アジアから東南、中東まで 10 作品中 9 作品がワールドプレミア、誰も観たことのないフレッシュな作品をお披露目いたします。全体として今年は 250 本ほどの応募がありましたが、アジアの国というのは、どこもかつての環境から現在への変化が問題となっていて、それでもなおまた生きていく、そのような状況で出てくる作品が多いのかと思っています。
どの地域も豊かな物語を持つ力作揃いです。東京国際映画祭から世界へ羽ばたいていく作品になるように、審査委員も部門の趣旨に沿った方を選んでおります。

「国際交流基金アジアセンタープレゼンツ CROSSCUT ASIA #01 魅惑のタイ映画特集」 石坂健治
国際交流基金アジアセンターと 7 年間様々な切り口でアジアの作品を紹介していきます。まず第一回目はタイです。タイの今を紹介したいということで、アート系からホラー、エンタメ大作など、ここ数年の新作を揃えたバラエティに富んだラインナップとなっております。CROSSCUT ASIA については来年以降も継続していきますのでぜひご注目ください。

「日本映画スプラッシュ」部門 矢田部吉彦
この部門は、日本の主にインディペンデントと呼ばれる作品を応援していこうという部門です。昨年の『FORMA』がベルリン国際映画祭をはじめとする世界中の映画祭で受賞したような成功例を期待しています。新人に限らず、インディペンデントだからこそできるチャレンジングな作品などバラエティに富んだ作品が揃ったので、ご注目ください。

※各作品のラインナップは、公式サイトをご覧ください。

各部門の審査委員が決定致しました(敬称略)
「コンペティション」部門 国際審査委員
国際審査委員長:
ジェームズ・ガン(監督/アメリカ)
国際審査委員:
イ・ジェハン(監督/韓国)、デビ—・マクウィリアムズ(キャスティング・ディレクター/アメリカ)、ロバート・ルティック(監督/オーストラリア)、エリック・クー(監督/シンガポール)、品川ヒロシ(芸人、映画監督/日本)

「アジアの未来」部門 審査委員
キャメロン・ベイリー(トロント映画祭アーティスティック・ディレクター)、ジェイコブ・ウォン(香港国際映画祭キュレーター)、ヤン・イクチュン(映画監督、俳優)

「国際交流基金アジアセンター」特別賞 審査委員
佐藤忠男(日本映画大学学長、映画評論家) 安藤裕康 (国際交流基金理事長)

「日本映画スプラッシュ」部門 審査委員
トニー・レインズ(映画評論家)、クリスチャン・ジュンヌ(カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクション・ディレクター)、熊切和嘉(監督)

≪質疑応答≫
Q:今年ぜひ注目してほしい国などありますか?
A:(矢田部 PD)昨年はアイスランド、グルジアといった国でしたが、今年はアゼルバイジャンの映画は珍しいと思う。また今年はタイ特集もあり、改めてアジアに注目してほしい。

Q:今年の東京国際映画祭のキーワードを一言でいうと?
A:(矢田部 PD)“明日をいかに生きるか”というのが、上映作品に共通する一つのテーマだと思う。

Q:TIFF における東京らしさとはどんな点か?
A:(都島事務局長)東京という言葉に今以上にこだわっていきたい。東京は多面的な街であり、東京、そして日本の魅力を改めて皆さんに味わってもらいたいと思うし、おもてなしの精神で、映画を観るだけでなく、映画周辺でも楽しんでもらえるようなイベントを実施したい。

Q:アニメやマンガ原作の作品が多い傾向にあると思うが?
A:(都島事務局長)
日本が誇るアニメ作品を映画祭で出していくことによって、映画祭自体の知名度を上げることにもつながると思っている。実写作品ももちろん素晴らしいが、優れたアニメやマンガ原作の作品に注目してもらうことが、日本文化の発信につながり、意義があると思っている。

Q コンペティション部門の審査委員長にジェームズ・ガン監督を起用した理由は?
A:(椎名 DG)映画祭の審査委員長というのは、長い期間かかわってもらうことになるため、毎回人選に苦労するが、ジェームズ・ガン監督はちょうど 2 年間立て続けに作品を撮り続けたあとの良いタイミングでオファーし、参加していただくことができた。若いメジャーな監督が映画祭に来ることで、映画に触れていただき、日本文化に触れていただくこともできればと思っている。