10月23日(木)より開催の第27回東京国際映画祭の開催に先駆け、本日ラインナップ発表会を行いました。
今年は92の国と地域から1373本を超える作品がエントリーし、15作品がコンペティション部門に選出。ゲストとして本年のフェスティバル・ミューズの中谷美紀さんと、日本映画として唯一選出された『紙の月』の吉田大八監督が登壇致しました。
また今年の注目イベントである「第27回東京国際映画祭プレゼンツ歌舞伎座スペシャルナイト」より市川染五郎さんからビデオメッセージが届きました。
そして今年から、革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を称える賞として“SAMURAI(サムライ)”賞を新設し、 初年度である今年は北野武監督とティム・バートン監督が受賞することが発表されました。
そのほかイベント情報など、作品の全ラインナップ以外にも多くの新情報を発表いたしました。

■日時 :9月30日(火) 13:00〜
■場所 :虎ノ門ヒルズフォーラム 5 階メインホール(東京都港区虎ノ門 1-23-3 虎ノ門ヒルズ森タワー5階)
■登壇者:椎名 保 (東京国際映画祭 ディレクター・ジェネラル)
都島信成(東京国際映画祭 事務局長)
井原敦哉(東京国際映画祭 事務局次長)
矢田部吉彦 (コンペティション プログラミング・ディレクター)
石坂健治 (アジアの未来 プログラミング・ディレクター)

■ゲスト :中谷美紀 (第27回東京国際映画祭フェスティバル・ミューズ)
吉田大八 (コンペティション部門 『紙の月』監督)

第 27 回東京国際映画祭ディレクター・ジェネラル 椎名保のご挨拶
本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。東京国際映画祭は、映画ファンにとっては本当に待ち遠しい映画祭ですが、一般の方にはまだまだ認知度が低いです。今年は色々なイベントにも取り組み、そういった日頃関心のない一般の方にも楽しそうだと思ってもらえるような映画祭にしていければと思っております。そうしてフィルムメーカーの方にも東京国際映画祭に出品しようと思っていただくことで良い作品が集まり、ビジネス的にも成功すれば東京国際映画祭の知名度が上がるのではないかと思っております。そのように認知度を意識しながら東京国際映画祭を推進していきたいと思っております。

“SAMURAI(サムライ)”賞
比類なき感性で「サムライ」のごとく、常に時代を切り開く革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を称える賞を新設いたします。初年度となります今年は、ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞を始め、数々の映画祭で高い評価を受けている日本を代表する北野武監督。世界各国の幅広い多くのファンから支持され続けているティム・バートン監督の両氏にこの賞を贈らせて頂くことになりました。10 月 31 日のクロージングセレモニーにて賞の贈呈を予定しております。

女優の中谷美紀さんに第 27 回東京国際映画祭の「フェスティバル・ミューズ」にご就任頂きました。

中谷美紀さんご挨拶
本日は東京国際映画祭のためにお集まりいただきありがとうございます。私自身は一人の映画人である前に一人の映画ファンです。映画は忙しい人の日常を豊かにするような、夢を見られるようなツールであってほしいと思っております。私でお役に立てるかわかりませんが、一人の映画人として、日本、東京、映画を愛する映画ファンとして貢献していけたらと思っております。
東京国際映画祭での思い出は、19 歳のときに初主演した利重剛監督の『BeRLiN』という作品を上映していただいたことが本当に嬉しかったですね。実は未だにコンペ作品には出演していないんです。コンペ作品に出てレッドカーペットを歩くのが夢ですね。
フェスティバル・ミューズとして、映画人と一般の方、人種、国、宗教の違いを超えてつなげていきたいです。今年の映画祭では公開規模が小さい作品にも注目していきたいです。

コンペティション出品作品『紙の月』吉田大八監督ご挨拶

コンペに選ばれたということで、勝負事は嫌いじゃないので自分事として映画祭を楽しめそうでワクワクしています。小説を読んでまず女性とお金という二つの切り口から映画を想像した時に、この企画を他の人には取られたくないと思いました。彼女が犯罪をする中で何を手に入れて何を失ってどこへ進むのか、最初はわからなかったのですが、彼女が走って行く先を見つめていきたいなと最初に思いました。宮沢りえさんはずっと舞台で活躍されていて、映画には興味がないのかと思っていましたが 7 年ぶりに引き受けてくださって、彼女が持つ全てを撮影で出し切ってくれました。彼女の表情の変化を見ながら、自分の想像を超えた表情を毎日見てすごいなと思いました。 この映画祭で、自分の映画に限らず他の作品を観て、同じ作品を観た人や僕の作品を観てくれた人と話がしたいです。こうして映画祭に参加できたことが嬉しいです。

「第 27 回東京国際映画祭プレゼンツ 歌舞伎座スペシャルナイト」登壇の市川染五郎さんからのビデオコメント

「石橋(しゃっきょう)というのは、歌舞伎舞踊の本当に古典的な舞踊の一つでございまして、獅子の役で踊るのですが獅子というのは豪遊無双と言いますかとても力強さを表す役でございまして、格好としても「隈取(くまどり)」をして、そして「からみ」というのが出てくるのですがそれとの立ち廻りがあり、最後は「毛振り(けぶり)」をしてその強さを表すといういわゆる歌舞伎の代表的な役の一つで、こちらを今度ご披露させて頂きます。
特に今回は各国の方の前でご披露出来るというのは、歌舞伎にとってもとても有難い事で自分の責任という物をとても強く感じておりますが、石橋という踊りも含めて、そして歌舞伎専用の劇場である歌舞伎座でご覧になるという事で、歌舞伎をそこで少しでも興味を持って頂きたいと思いますし、生で感じて頂ければと思っております。
個人的にはチャップリンの作品はとても好きで、この様な自分の関わる所で作品が上映されるというのはとても因縁を感じます
し、また『街の灯』という作品は本当に昔ですけれども歌舞伎化されている作品でもありまして、そういう意味ではとても縁のある作品が歌舞伎座で上映されるというのは、そういう運命にあったのではないかと、とても因縁を感じております。
10月27日歌舞伎座にて、皆様にお会い出来るのを楽しみにしております」
※「隈取」:歌舞伎独特の化粧法
※「からみ」:所作事や立ち廻りで、軍兵や捕手などに扮し主役にからむ役者
※「毛振り」:獅子が豪快に毛を振る動作