演劇史に名を残す偉大な演出家、ピーター・ブルックの稽古場を初めて映像化したドキュメンタリー映画
『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』は、人生のヒケツを教えあう『shAIR(シェア)』にて、公開直前企画としてピーター・ブルックの創造のプロセスを一端を体感できる特別ワークショップを開催した。

本企画は、いよいよ今週末(9月20日)に公開となる映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』に関連するワークショップを事前に受けてもらうことで、映画をより深く味わってもらいたいという狙いから開催された。

今回のワークショップの講師は、清家隆太さん、横内浩樹さん、下田明正さんの3名。3名ともインプロ(即興劇)のワークショップを10年以上おこなっている専門家であり、今回のためだけのオリジナルワークショップを考案した。ワークショップにはダンサー、俳優、会社員など様々なバックグラウンドの参加者が集まった。

簡単な自己紹介の後、早速始まった1つ目のエクササイズは、『インパルス』。これは全員が一つの円になって手をつないで目を瞑り、左手を握られた人が右手を握り、自らのエネルギーを隣の人に渡していくエクササイズだ。緊張ぎみだった参加者も、参加者同士で手をつなぎ意識を集中させることで、自然と笑みがこぼれ、和やかな空間へと変化していった。

その他、時の流れに敏感になるためのエクササイズである『砂時計』や、タオルを利用し相手との呼吸を合わせるエアー綱引き、任意で1から数字を言わせ「同時に数字を言ってはいけない」参加者の心をひとつにするエクササイズ『シェアード・マインド』などを行った。これらの様々なエクササイズを通して、参加者は徐々に何もない空間からイメージ働かせることや、感覚や意識を集中させるメソッドを学んでいった。

最後に映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』の核となるエクササイズである『タイトロープ(架空の綱渡り)』を行った。ワークショップ開始時とは異なり、参加者それぞれがイメージを自由に表現することができるようになり、劇中でも使用されている打楽器「ジャンべ」の音と共に迫真の綱渡りが披露された。参加者たちの熱量のこもった綱渡りに歓声や拍手が起こり、ピーター・ブルックの創造プロセスの一端を参加者自身が肌で感じる瞬間であった。

最後に、参加者たちから今回のワークショップに関する意見交換が行われ、様々な意見が飛び交った。予定時間を大幅にオーバーする3時間の長丁場ながら足を運んだ参加者たちも大満足な様子だった。

参加者の声——————————————————–
・人それぞれ感覚は違うが、自分の感覚に集中することの面白さを最終的に感じた。表現する上では自分の感覚に自信を持つことが大切なのだと発見した。綱渡りのエクササイズはとても疲れたが、一瞬でここまで集中することが演技では大切だと感じた。

・綱渡りのエクササイズがとても面白かった。足の裏にこんなに集中することがなく、新しい感覚がとても面白かった。

・全然リアルでない綱渡りでも、自分の中でのイメージを再現しようとしている身体からはとてもおもしろいものが生まれる。やったことのないものへの集中力を常に持続できるようにしていきたい。

・自分が感じている感じ方と、人の感じ方が全く異なることを学んだ。人の感じ方に影響を受けるとまた変化が生まれるのが面白い。やろうとしてやらなくても、集中して感じると新しい動きが生まれるので、ダンスなどで新しいムーブメントを作る際の発見となった。
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【講師プロフィール】

■清家 隆太
20代前半に演劇養成所に2年間通う。卒業後、舞台出演を経て、ロンドンにて1年間の演劇留学を経験。帰国後はインプロ(即興劇)のワークショップを精力的に受講し、大会での優勝を経て、インプロ公演の出演やワークショップの運営に携わる。現在は継続的にインプロのワークショップを開催中。

■横内浩樹
日活芸術学院俳優科卒業、2002年にインプロを始め、2012年にインプロカレッジ設立、代表及び講師として在籍。定期的にインプロワークショップを開催、インプロショーにもプレイヤーとして精力的に出演している。

■下田明正
東京ミュージカルアカデミーにて、演技、声楽、ダンスを学ぶ。
卒業後はダンスカンパニーなどの作品に数多く参加。パントマイムで海外公演を経験するなど身体的表現を精力的におこなう。

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