秩父で撮って、秩父で観る映画祭「ちちぶ映画祭2014〜巡礼〜」が9月14日(日)・15日(月・祝)開催され、昨年を大幅に上回る2500人超の来場者数を記録し、幕を閉じました。
そして最終日のクロージングセレモニーでは、10本のノミネート作品の中から、<観客賞><審査員特別賞><ちちぶ観光フィルム賞><グランプリ>選ばれ、各作品の監督への授賞式が行われました。

<観客賞>
実際には存在しない0番札所を取り上げ、人とのコミュニケーションの温かさを描いた作品
「テンプル・ナンバー・ゼロ」松本卓也監督

昨年グランプリを受賞した松本監督は、今年度は観客賞で2年連続の受賞となった。
「本日は鹿島建設の方がいらっしゃっていますが、僕の父が鹿島建設に勤めておりまして、父のパワーがあったのか…。ご来場の皆様、僕の作品を選んでくださった皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。」

<審査員特別賞>
3人の娘を訪ねる年老いた父を主人公に、父と娘の心の交流を描いた作品
「DAUGHTERS」二宮健監督

人前で話すのがあまり得意ではないという二宮監督は、緊張のあまり言葉は少なかったが、観客にその感動が充分に伝わってきた。
「スタッフの皆さん、関係者の皆さん、そして審査員の皆さん、秩父の皆さん、本当にありがとうございました。」

<ちちぶ観光フィルム賞>
結婚して8年目を迎える夫婦が子供の流産を巡り、失いかけていたものを再生していく物語を描いた作品
「再生」板倉臣郎監督

受賞賞品として<和同開珎5万円分>というユニークな賞品を受けてのコメント
「意外なプレゼントをいただいて、本当にありがとうございました。この作品を本当に作りたいと思い、そして「巡礼」というテーマを与えてくださって、映画を撮らせていただけたことに感謝しています。すごく少ない人数で、とにかく技術はないですが、気持ちだけは負けないで全身全霊でがんばろうと思い作りました。この作品を秩父で撮らせていただけて、今後どこかで発信し、作品を通じて秩父に人を呼び込めれば恩返しができるかなと思います。本当にありがとうございました。」

<グランプリ>
秩父の山とニホンオオカミをテーマに、子供と大人の夢を描いた作品
「オオカミによろしく」真田幹也監督

「選んでいただきましてありがとうございます。緊張から一杯だけ飲んできてしまいました。お許しください。今、この賞の重さをひしひしと感じています。この作品でオオカミを追っている主人公と同じで、僕自身も夢を追いかけていますが、夢を追うことの素晴らしさと切なさは充分にわかっているつもりです。今日は素晴らしい思い出をありがとうございました。これからも精進していきます。」

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受賞審査経緯については、今回も第1回目と同様、秩父を舞台にすること、秩父で撮影すること、そしてテーマが「巡礼」であることが条件とされた。この設定をどのように解釈し、作品に表現するのか、いかにこの難題を映画創作に描きだしていくのかという楽しみとともに、表現者の個性と完成度を前回より一層厳しく審査している。審査方法は審査員が順位をつけ、順位の高い合計作品を高位とする高位獲得者数選考方法が実施された。そして、各審査員が作品についての評価をフリーディスカッション形式で討議し、評価に相違がないよう進行された。次に上位3作品を投票し、投票のなかった作品を除外し、残りの作品について充分に討議が行われた。そして1位3点、2位2点、3位1点とする順位点数換算方式を採用し、観客票を加味し、換算点数が最も高い作品がグランプリに選ばれた。

そして、グランプリを受賞した「オオカミによろしく」は、「俳優の演技と作品の持つ雰囲気が上手く融合し、時間経過と撮影も破綻なく進行し、完成度が高い」という評価を得た。