秩父で撮って、秩父で観る映画祭「ちちぶ映画祭2014〜巡礼〜」が9月15日(月・祝)開催最終日を迎えました。
最終日1作目として特別招待作品「オー!ファーザー」が上映され、本作でメジャーデビューを果たした藤井道人監督がトークイベントに登場。

藤井監督は、昨年1回目の「ちちぶ映画祭」に出品し、ノミネートもされていました。映画祭や秩父の土地への思い出について
「所沢の大学に通っていて、自主映画を撮ったりしていたので、昨年秩父で撮影していた時は、当時を思い出して懐かしかったです。普段は行くことがなかった山に行ったんですが、景色も素晴らしかったです。」と、賞は逃したものの昨年を振り返り懐かしい思いを語ってくれた。

藤井監督は「オー!ファーザー」でメジャーデビューを果たしているが、その経緯については
「ずっと自主映画を作っていたんですが、ちょうど6年前ぐらいですか・・・、伊坂幸太郎先生の「オー!ファーザー」が新聞連載をされていた頃に、映画化してみたいと脚本を考えていました。その後、伊坂先生から「脚本家で、どう?」と言ってくださったのがきっかけで、この作品に関わることになりました。その後、僕は脚本を書きながら他の作品を監督することが増えてきて、僕の作品を見てくださったプロデューサーと伊坂先生に「監督もやってみない?」と言われたのが、おととし僕が26歳の時でした。」

伊坂作品の脚本はどのように作られたのだろうか?
「伊坂先生に僕が書いた第1稿の脚本を気に入ってくださったのが、きっかけになったんですが、本作の脚本は、この第1稿目とあまり変わっていません。配役が決定した後に、キャストの方に合わせて調整をしていったという感じです。それから、原作にはないけれど映画には必要になってくることがあります。例えば、表札とかですね。そんな細かいところを伊坂先生とメールでやりとりしながら決めていきました。そして長い原作を、映画の尺にまとめあげるというのは、人生で一番大変な作業でした。「800枚の新聞の内容を100分にしなさい」と言われたのですが、これが非常に大変でした。でもそのうち僕が書いた内容に対する伊坂先生のリアクションが楽しくなってきて、ほめてもらえた子供みたいな気分で楽しんでやりました。」

本作重要要素、4人の父親について
「僕は新人監督ですから、キャストの皆さんとは30分の面接をしました。俳優の皆さんとのコミュニケーションの中でキャラクターのイメージを再構築していきました。」

キャストの皆さんとのエピソードは?
「柄本明さんは、昔からファンでしたから、人生で初めてフリーズしました。息子さんとは友達なんですが、クランクアップの時に、それを言おうと思っていたのに、緊張しすぎて衣装合わせの翌日に言ってしまったんです(笑)ダサいことをしてしまいました(笑)」

そして監督の最新作『幻肢』が9月27日に劇場公開されるが、主演を務めた吉木遼も観客として来場しており、客席から来場者にご挨拶。藤井監督が、吉木遼演じる主人公と物語について紹介してくれた。吉木遼は、昨年のちちぶ映画祭ノミネート作品でも主演を演じ、「ちちぶ映画祭」のタイトルデザインを務めた赤松陽構造氏が、『幻肢』でもタイトルデザインを務めていることから、『幻肢』と「ちちぶ映画祭」との関係性も興味深い。
「『幻肢』は、ミステリーで切ないラブストーリーです。吉木くんは、事故で記憶をなくしてしまった主人公・神原雅人役を演じています。この作品では、原作の島田先生と一緒に、舞台となった吉祥寺の街を歩きながら物語を一緒に作っていったような概念があります。」

そして最後のメッセージでは、初メジャーデビュー作品のDVD発売を告知し、会場をあとにした。
「本日は3連休の最終日の貴重な時間をご来場いただいて本当にありがとうございました。『オー!ファーザー』は10月8日にDVDがリリースされます。新人監督の苦悩するメイキング映像や、キャストの皆さんのメイキング、特典映像など盛りだくさんですのでよろしくお願いします。」