幼女誘拐事件を描いた韓国サスペンス映画『悪魔は誰だ』の公開を記念し、15日(月・祝)、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷に、韓国の事情に詳しい作家竹田恒泰、映画パーソナリティーの襟川クロが登場。作品の見どころや背景、そして韓国映画の持つ底力について語った。

2014年9月15日(月・祝)12:00〜 於:ヒューマントラストシネマ渋谷 
ゲスト:竹田恒泰(作家)、襟川クロ(映画パーソナリティー)

本作は、時効を迎えた未解決の幼女誘拐事件が15年の時を経て再び蘇るというサスペンスだ。『殺人の追憶』のキム・サンギョンが10年ぶりに刑事役を、『私のちいさなピアニスト』のオム・ジョンファが娘を亡くした母を演じ、本作が長編デビューとなるチョン・グンソプが監督を務めた。

日頃、韓国社会に対して厳しい発言をしている竹田だが、映画を観て驚いたという。「以前から『韓国映画はなかなか侮れない』という話は聞いていましたが、これまでは観る気がしませんでした。でも今回初めてちゃん観てみたら、うわさ通りさすがだなと。このままだと日本映画界は韓国に負けてしまうと心の底から実感した次第であります。非常に重たいテーマですが、社会に問いかける大きなメッセージがあると同時に深い人間愛を感じさせて頂きました。一見地味だけどしっかりした価値のある映画を作っていける韓国社会を見直しました。最後の最後まで観る人を飽きさせない、非常に高いエンターテインメント性も持ち合わせており、私自身、最期まで楽しんで拝見しました。」と手放しで称賛した。

一方、数々の韓国映画を観てきた襟川は、「韓国は国が映画の製作にお金を使って俳優や製作サイドをちゃんと育ててきました。本作はその証明とも言える作品。非常に見応えがあって、今年の代表作の一つです。」と絶賛した。また、韓国映画の魅力については、日韓でそれぞれ映画化された東野圭吾原作の『さまよう刃』などにも触れ、「日本の原作を映画化する力は尋常でない豊かさがあります。重厚で哀しくて痛くて、いい意味でのしつこさ、根性をどの作品も持っています。コメディやアクションのようなエンターテインメント作品でも、観た人の心にずっと何かを残す力強さがあります」と語った。

また、本作が作られた背景には、韓国で年間1万人の失踪児童がいるという現状がある。それについて問われた竹田はセウォル号の事故を例に挙げ、「この事故は一つの象徴ですが、韓国人が公権力や国に対して抱える不信感はかなり根強いものがあります。そういう不満やうっぷんが、『悪魔は誰だ』のような社会に訴える強い映画を作る原動力になったのかと思います。これを機に韓国がよりよい国に発展していくことができるとしたら、この映画の持つ力が発揮されるのではないかと思います。」とコメント。

最後に二人とも、「最後まで観ると、『悪魔は誰だ』というタイトルがどういった意味を持つのか、腑に落ちると思います。観終わった後にぜひ考えてください」と観客にメッセージを送った。

映画『悪魔は誰だ』は、 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中。