車いすの息子と、失業中のその父親が、二人でトライアスロンに挑戦することで家族の再出発を目指すフランス映画『グレート デイズ!—夢に挑んだ父と子—』が8月29日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋ほかにて全国公開致します。
本作は世界で最も過酷と言われる〝トライアスロン大会″に出場するという、実際に起こった出来事にインスピレーションを得て完成した感動作です。また、「障がい者と非障がい者の共存性」や「障がい者の自立性」についてなど、示唆に富んだ作品でもあります。
本作の公開に先立ち、障がいがあっても働く意欲を実現できる社会、「心のバリアフリー都市」を目指す川崎市と、これまで「障がい者と非障がい者が共生できる社会」の実現を目指し様々な活動を行ってきた、ピープルデザイン研究所主催の試写会イベントを8月23日(土)に行いました。

本イベントには、ハンディキャップを持つ方々が運営に携わり、映画上映後には、ピープルデザイン研究所代表の須藤シンジさん、ロンドンパラリンピック水泳日本代表の山田拓朗さん、難聴のダンスパフォーマーのuCCI(ウッチー)こと内田洋茂さんを招き、トークイベントを行いました。

さらには、映画を観て感銘を受け、自らの楽曲「未来ライン」を本作の応援ソングとして提供した神奈川県在住の〝現役高校生シンガーソングライター″の竹友あつきさんの生ライブも行い、最後には川崎市の〝ゆるキャラ″かわさきミュートンとうさっぴーも応援に駆けつけ、イベントに華を添えました。

■イベントタイトル:
「夏休み!ピープルデザインシネマ」 『グレート デイズ! —夢に挑んだ父と子—』試写会
■日程:8月23日(土)
■場所:ラゾーナ川崎5Fプラザソル(神奈川県川崎市幸区堀川町72−1)
■トークゲスト
須藤シンジさん(ピープルデザイン研究所代表、51歳)
山田拓朗さん(ロンドンパラリンピック 水泳日本代表、23歳)
内田洋茂さん a.k.a. uCCI( digress-lab LLC代表、34歳)
■スペシャルゲスト:竹友あつき(高校生シンガーソングライター、18歳)

会場は満席。映画上映後にピープルデザイン研究所代表の須藤シンジが登場。続いて、ロンドンパラリンピック水泳日本代表の山田拓朗、難聴のダンスパフォーマーのuCCI(ウッチー)こと内田洋茂さんが登場。観客から温かい拍手で迎えられた。

映画は、ハンディキャップを抱えた息子とその父が無謀な挑戦に親子二人三脚で挑む姿を描いた感動作。3人のトークでは、まず須藤が映画を観終えたばかりの山田とuCCIに映画の感想を聞いた。
まず山田は、「僕は調子がいい時も悪い時も常に両親の支えがあったから、水泳を続けてこられました。家族の絆とかつながりは、何をするにも大切なんだなって、この映画を観て改めて感じました。映画の父母の気持ちもわかるし、車いすの少年ジュリアンの気持ちもよくわかります。難しいことにチャレンジするという強い気持ちや、挑戦する二人の姿に心を動かされました。」と、トライアスロンの最高峰“アイアンマンレース”に挑戦する父子を描いた本作に強く共感した様子だった。

続いて、uCCIは、「僕は、3歳の時に突然両耳が聞こえなくなったんです。突発性難聴ということでした。僕の父は超天然で無口な父で、母はよくしゃべる人でした。まさに映画に登場するお父さんとお母さんとそっくりでした。」と、自分の親が偶然にも映画に登場した父母に酷似していることに驚いていた。

アスリートとして夢を追いかける山田。そして、パフォーマンス集団のキャスティングの代表を務め、自身もダンサーであるuCCI。共に身体を通じて自己表現をしているという共通点を持つ二人に各々の原動力について聞くと、まず山田は「これまで何度も“辞めたい”と思いました。でも、両親や友人、応援してくださる多くの方に何か形として恩返ししたいという思いがあります。また、自分よりも重い障がいを持つアスリートが、素晴らしいパフォーマンスを発揮するのを見ると、強く心を動かされます。自分も多くの方を惹きつけられるようになるために、水泳を続けています。」と心意気を語った。

一方、uCCIは「ブレイクダンスをテレビで初めて観てから、ダンスに興味を抱くようになりました。ダンスというのは、耳で音を感じるものなので、やっぱり最初は不自由なことがありました。でも、僕には『耳が聞こえる人よりいいダンスをしたい』という強い思いがありました。耳が聞こえないということは、自分のコンプレックスではあるのですが、それが自分を支えてきました。」と自分のコンプレックスが自分を活かしてきたという強い心持ちがあったことを述べた。

今回のイベントは、障がいがあっても働く意欲を実現できる社会、「心のバリアフリー都市」を目指す川崎市と、これまで「障がい者と非障がい者が共生できる社会」の実現を目指し様々な活動を行ってきたピープルデザイン研究所が主催した試写会イベント。

脳性マヒの次男を持つ須藤は、「昔、次男と一緒に僕らが住んでいる川崎から実家の福島までの400kmの道のりを自転車で行ったことがあるんです。暑い夏の日でね。それが映画のワンシーンとダブっちゃうんだよね。」と、映画の中で描かれる父と子の姿が、自身の体験とピッタリ重なったことを明かした。
国際的な活躍をし、海外に行くことも多い山田とuCCIも「海外は日本と比べてスロープとか、設備の面で充実していて、ハンディを持っている人と共存している感じ。車いすの人が一人で外出しても何の問題もない」、「僕は補聴器をデコレーションしているんだけど、海外に行くと『それかっこいいね』って補聴器が会話のきっかけになったりする。日本人は遠慮してあまり聞いてこなかったりする。」と、まだまだ日本は障がい者に対する意識や環境設備が海外とは違うことを実体験として語った。

3人のトークイベント終了後には、映画を観て感銘を受け、自らの楽曲「未来ライン」を本作の応援ソングとして提供した神奈川県在住の〝現役高校生シンガーソングライター″の竹友あつきが川崎市のゆるきゃら、「かわさきミュートン」と「うさっぴー」を後ろに引っさげ、生ライブを披露し、イベントを締めくくった。

ゲスト ■プロフィール
須藤シンジ(ピープルデザイン研究所代表)
大学卒業後マルイに入社。販売、債権回収、バイヤー、宣伝、副店長など、さまざまな職務を経験。次男が脳性まひで出生したことにより、37歳のとき14年間勤務したマルイを退職。2000年、マーケティングのコンサルティングを主たる業務とする有限会社フジヤマストアを設立。2002年、「意識のバリアフリー」を旗印に、ファッションを通して障害者と健常者が自然と混ざり合う社会の実現を目指し、ソーシャルプロジェクト、ネクスタイド ・エヴォリューションを設立。以降、「ピープルデザイン」という新しい思想で、障害の有無を問わずハイセンスに着こなせるアイテムや多業種の商品開発、各種イベントをプロデュース。2012年にはダイバーシティの実現を目指すNPOピープルデザイン研究所を創設し、代表理事に就任。

山田拓朗(ロンドンパラリンピック 水泳日本代表)
左先天性前腕亡失により、生まれつき左腕の肘から先を失う。3歳から水泳を始め、12歳で初めて日本代表に、13歳で史上最年少でアテネパラリンピックの代表になる。その後、パラリンピックに3大会連続で出場し、ロンドンパラリンピックでは50m自由形で4位、100m自由形6位の成績を収める。2016年のリオデジャネイロでのメダル獲得を目指す。

内田洋茂 a.k.a. uCCI( digress-lab LLC  代表)
3歳の時、突発性難聴により両耳の聴力を失う、デコ補聴器の仕掛人。自身が代表を努めるdigress-lab LLCにて、国内外の企業のマスメディア、イベントへのキャスティング、WEBシステム開発、IT全般を主な生業とする。また、ダンサーとしては、NIKE USA PV出演、マイケルジャクソン「THIS IS IT」のオーディションオファー、RUN-DMCとの共演等の実績があり、日本発、世界初のパフォーマー集団「TOKYOcreatist」もプロデュースしている。

竹友あつき(現役高校生シンガーソングライター)
神奈川県在住、18歳の現役高校生シンガーソングライター。Twitterを通じて知り合った音楽プロデューサー浅田信一にその才能を見いだされ、2014年4月EP「17歳」でデビュー。表題曲「17歳」のPVは同世代の映像監督によって作成され、YouTube上で15万回以上再生されるなど、同世代とその親世代に多くの共感の声が寄せられている。9/10には2ndEP「未来ライン」をリリース予定。表題曲は本作『グレートデイズ!』の公式応援ソングに決定。同EP収録曲の「いちぬけた」は高校生のための映画コンテストの課題曲にもなっている。