8月30日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開する映画『テロ,ライブ』のトーἁイベントを8/22(金)に阿佐ヶ谷LOFTにて下記内容で行いました。

時 8月22日(金)19:30〜 場所:阿佐ヶ谷 LOFT A
登壇者 長谷川豊さん<フリーアナウンサー> 金慶珠さん<社会言語学者>
進 行 篠田博之さん<月刊「創」編集長>

◯映画の感想
・長谷川:主人公が自分と重なることが多すぎて、なんちゅう映画を作っているだろうと思って、驚いて拝見したんですが。
本当に面白い映画だったので、今回のイベントに参加できて嬉しいです。
最初にお話をいただいた時に、”主人公が不祥事を起こしてラジオ局に飛ばされた話で共感いただけると思いまして”と話を頂いて「失礼だな。ふざけんじゃないよ」と思いながらも、映画を観たら「これすげー分かる」と思いました。しかも(劇中に登場する)報道局長というのが、前の上司にすっごい似てましてね。本人じゃないかって思うぐらいでした。後半になってくると映画自体が面白くてぐいぐい引き込まれたので、すごいオススメです。久しぶりに面白い映画見たなと思いました。
・金:テーマとしてはメディア批判が一貫してあるが、アἁション映画でした。展開が早いな。と。最初の 10 分で主人公のハ・ジョンウが180℃違う人間になって、これから戦うぞ、と。
・長谷川:よれよれだった感じが、古館伊知郎さんみたいになるんですよね。
・金:ハ・ジョンウさんの演技もすばらしかったですね。スタジオだけという設定の中で、わかりやすく早い展開のアἁション映画であるし、韓国のメディアと国家権力、ジャーナリズムとコマーシャリズムの2つの対比をよく描いていたと思う。そういった内容が凝縮された映画でした。
・長谷川:1つのセットだけで、全然飽きませんでしたよね。しかも32才という若い監督で、こんな才能を持っていて素晴らしいと思って、観てました。

◯韓国でヒットした要因
・金:普段誰もが思っている事を非常にわかりやすく映画化したという映画自体の作品性があることと、男性的な魅力を備えている性格派俳優のハ・ジョンウが主人公を演じた事が最大の要因だと思います。彼はこの世代で唯一無二といっていいほどの人気俳優ですから。
・金:韓国では人口が5000万人ぐらいいて、500万人以上を動員した映画ですから、一般の人が皆知っている映画になっていると思います。
・長谷川:日本だとなかなかメディアが紹介しないんではないでしょうか。メディアをここまでえぐり込んで批判しているので。メディアが扱わないんじゃないかなと。
・金:ただ興行的にヒットすれば、メディアも扱うんじゃないかと。この映画のテーマはコマーシャリズムとジャーナリズムを描いた作品ですので。日韓関係がこういう状況にあって、この映画が日本で公開されると聞いて、この映画だったら多くの人に見てもらえるんじゃないかなと。
・長谷川:映画に登場する人を3つに分けると、自分の事しか考えないアナウンサーがいて、視聴率しか考えないテレビ局、政権維持しか考えない政府。つまり、自分のことしか考えない3者が三つ巴で戦う姿が、迫力があるなと。
・金:韓国映画の強みは、単純で面白いところがあり、ハリウッドとは違って共感できる情緒もあるところなんです。ハリウッド映画は普遍的な内容は共感できるんだけど、なぜここで彼らが別れるの?みたいなことがあると思うんですよ。

◯韓国の視聴率
・長谷川:映画の中にリアルタイムで視聴率が出ているシーンがあるんですが、韓国では本当にあるんですか?
・金:「そんなシステムがあるの?」「フィἁションかな?」という反応があったんですが、KBS の支局長に電話して聞いたら、あるそうです。おおまかですが、モニターにリアルタイムででてくるそうです。正確な数字は翌日に出るそうですが。韓国では視聴率フレンドリーなんです。ドラマの展開も視聴率によって、視聴者が望む方向に展開がどんどん変わっていくんです。そういうところに韓流ドラマのいいかげんさと面白さがあると思います。