車いすの息子と、失業中のその父親が、二人でトライアスロンに挑戦することで家族の再出発を目指すフランス映画『グレート デイズ!—夢に挑んだ父と子—』が8月29日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋ほかにて全国公開致します。本作の公開に先立ち、息子さんと二人、フランスで新生活をスタートさせる辻仁成さんをお招きし、トークショーを実施しました。

映画監督、作家、ミュージシャンなどマルチな才能をお持ちの辻さんが考える、父と息子の物語である本作の見所や、それを通じた辻さん自身の子育ての考え、さらに、今後の展望などを語っていただきました。

まず、映画のサントラにあわせて黒を基調とした洋服で辻仁成(つじひとなり。54歳)が登場(サラサラとした髪型でハットを着用)。

本作の試写会後に、観客から温かい拍手で迎えられた。
映画は、無謀な挑戦に親子二人三脚で挑む姿を描いた感動作。トークでは、まず辻の映画の感想を聞いた。
辻さん「最初は映画監督として見ていたんですが、父と子のストーリーなので、気が付いたらほろっとさせられてました。終わった後、色々考えましたね」。

続いて、作家、ミュージシャンなどマルチな才能を持つ辻に映画監督としての視点で印象的だったシーンについて聞くと、「大半は(映画監督として)職業的に観てしまいました。車イスの少年を演じたジュリアンの笑顔がすごく素敵ですね。キラキラした目で笑うんです。彼の天使みたいな笑顔と、くじけなさが映画の一番の救いだった。あと坂道を親子二人が同じ自転車で颯爽するシーンは、非常によくできてますね。一番好きなシーンです。」と真剣な表情で答えた。

今はシングルファーザーの辻。車イスの息子ジュリアンにトライアスロン大会への出場をせがまれる不器用な父親・ポールとの共通点について聞かれると、「僕がポールなら無理ですね。腰があがりません。でも、息子は父親の背中をみるものです。反抗期前くらいには、こんなことやってみようよ、と自分の父親を試した経験が僕にもあります。僕も頑張らなくちゃ。」とポールの姿に触発されたようだった。

さらに、物語が進むにつれ“親子”というより“相棒”のような関係になっていく二人の関係性についても自分と息子に共通点があることを激白。「息子と僕の2人の間はロマンでつながってる。日々、互いに頑張ろうぜと言い合ってます。パートナーであり、友人であり、同士でもありますね。息子には、「くじけなければ負けない」と教えている。ジュリアンはまさにそうだったように。」と自分たち父子の関係について語った。
新たに芸能事務所タイタンに所属されることを発表され、日本での活動の幅もどんどん広がっていくことが期待される辻だが、今後の展望について「映画も撮りたいし、コンサートも小説もやりたい。石の上にも三年といいますが、続けることが大切です。フランスのマスコミの前で発表できるくらいになりたい。新しい世代に向けて表現する人でいたい。」と強い意気込みを見せた。

最後に映画のヒットを祈願し、辻からこの映画のヒットに向けたメッセージをボードに書いてもらった。
ボードには「不屈三原則。ひよらない。ひるまない。くじけない。」と書き「人間っていうのは人生に負ける瞬間は〝ひよるから″“ひるむから”“くじけるから”なんですよ。だったらそうならなければいい。強い者に迎合しないで自分の石を貫くことが大事なんだ。アイアンマンレースを目指すこの親子もそうだった。僕は今、この“不屈”という言葉に支えられえながら生きているんだ」と“不屈”な人生観を語った。