7月31日、難波のロフトプラスワン・ウエストで開催されたキネプレ主催「映画館女子ガールズトーク〜甘いものと映画は別腹です〜」。関西のミニシアターに勤務する女性スタッフのぶっちゃけトークのレポート後半をお届けします!

●【付き合ってみたい俳優】
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「ジョージ・クルーニーです!」
シネマート心斎橋・横田さんの堂々たる発表に拍手が起こる。
「結婚の“け”って言ったら逃げ出すので有名ですが、そこがいい(笑)」
「白髪が好き。役に合わせて変えるわけでもなく、そのままなのが」
と、なかなか共感が得難そうな持論を展開する横田さん。
「映画館で働いていたらいつかジョージに会えるかもしれないと思って。でも100席だから来ないかなと(笑)」
横田さんの野望がいつか実現する日が来るのか静かに見守りたい。

●【ああ、大失敗!】
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吉田さんがみなみ会館に入社し、まず担当したのが受付と映写だった。当時はまだフィルムでの上映も多かったという。映写を独り立ちしてすぐの頃、事件は起こった。
「『ハロウィン2』の映写で映写機の巻き取る部分にフィルムを掛け忘れて。フィルムが床にぶわーっと流れて来てしまったんです。怖くて何も言えなくなって、一所懸命人力で巻いて巻いて!間に合った!ってなって」
人間の集中力は時に凄い力を発揮する。1巻目から2巻目に切り替わるまでの間に人力で巻き取り終えた。
「後から映写の主任に聞いたら傷は入ってなかったので、良かったーっと思って。そういう時には停めてしまいなさいと言われましたが、勇気がなくて(笑)」

●【本当は言ってはいけない話】
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皆さんの収入について質問が。元町映画館・林さんは
「数字はまずいのかな。言ってはいけない話だからいいのか(笑)。大学出たての子の初任給と比べて…」
ところが、この基準の想定金額に皆さんばらつきがあって会場は騒然となった。
シアターセブン・福住さんの【ホントはあの映画ダメなんです】を“理解できなかった映画”へスライドしての回答も、評価が高い某映画のタイトルが挙がり会場が盛り上がる。
こんな内緒の話が聞けるのもライブならでは。

●【映画を年間何本観ますか?】
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休憩を挟んで、会場に配られたアンケートの中からこんな質問が。
この仕事に着く前は劇場で年間何100本単位で観ていたという皆さんも、現在は時間がままならない様子だ。

元町映画館・林さんは
「今年はよその劇場に3回しか行けてなくて。サンプルディスクを観るのは一本と数えないので。となるとあまり見てませんね」

みなみ会館・吉田さんは
「休みがなかなかとれないので、映画館に2週間に一度行けたら、めっちゃ行けてる方ですね。月に3本観れたら今月行けた!って思います。サンプルDVDに日々追われてますね」

シネ・ヌーヴォの山崎さんは
「シネ・ヌーヴォは上映作品が非常に多くて、今年4月位まではスクリーンで観たものを書き出していて平均月20本位。5月からは書いていないんですけど。ヌーヴォで上映する全ての上映作品は観れないですね」
シネマートによく自転車で行くと言う山崎さん。
「事務所が換気が悪くて息がつまるので(笑)。 シネマートさん自転車で15分くらいでいけるんで、すごい息抜きになりますね」

シネマート心斎橋・横田さんは
「働く前まではめっちゃ観ていて各館のポイントカード全部持ってましたが、働き出すとやっぱりね。嫌なことがあるじゃないですか。休みの日まで出かけて映画館にはって感じになってしまいますね」
「好きなことは仕事にしたらあかんて言いますもんね。そんな鬱屈した気分は映画で晴らしてくださいよ」
himeさんが水を向けると
「そんな時は全然違うTOHOシネマズとかで『トランスフォーマー』を観たり(笑)。めっちゃ息抜きになります」
実感のこもった回答に会場は爆笑となった。

「私もあまり休みがなくて、他の劇場さんで観たのが年間20-30本位。2日くらい休み取って東京に行って映画館を回って来るとか。そうでもしないと観る機会がないですよね」
シアターセブン福住さんも業務に追われる日常を嘆いた。

●【作品によってテンションは変わるか】
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「思い入れのある映画とテンションは全然違いますが、そこは仕事ですから(笑)」
元町映画館の林さんは頼もしい大人の回答。

「映画の中でいいところを見つけてそこを推しますね。例えば私が嫌いな映画でも好きな方は絶対いるんで。私の良し悪しで決めることは出来ないから絶対いいところを見つけます!」
シネ・ヌーヴォ山崎さんも力強い回答。

 シネマート心斎橋・横田さんは現在絶賛公開中の『青鬼』について、公開前は不安を感じていたと語る。
「誰も問い合わせしてこないし。初日10人位かと心配していたら、ゲームユーザーの中高生がめっちゃ来て。今、『青鬼』バブル(笑)。“ありがとう、皆来てくれて!”“生徒手帳出してくださーい(笑)”“千円でいいわよー!”ってやってます」
 ミニシアターに初めて来た人がほとんどという事態で、いつにないテンションで賑わうロビーを再現する横田さんの話術も絶好調。
「“せまっ”とか、“自由席ってなに?”“整理番号やって!”“番号呼ばれんねんて”すごい大きい声で言ってたり(笑)」

●【これからも仕事を続けますか?】
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 最後のこの質問については、代表でシネマート心斎橋・横田さんのコメントを紹介したい。
「すみませんが、もうやめたる!と思ったこと、何回もあります。でも『青鬼』みたいにミニシアターに来るきっかけがなかった中学生や若い人が来てくれて、壁に貼ってる記事を見て、“『ダバング大胆不敵』ってちょっと面白そうやん”みたいなことを言ってくれたら、明日も頑張れるって思います。やっといい話が(笑)」

 各劇場のペア劇場招待券、5館セット鑑賞券の抽選が行われ、2時間を超えたトークイベントは大団円でお開き。
 支える人の顔が見えてくると、各劇場に足を運ぶ楽しみも増えてくる。劇場に行って映画を観たい気分がざわざわしてくるイベントとなった。
 すでにパート2の企画も挙がっているという。今回足を運べなかった皆さんも、次回はぜひ映画の空間を語る楽しいイベントをご体験いただきたい。

(Report:デューイ松田)