8月16日(土)より公開される『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』は、全米で大ヒットしたこの夏話題の前代未聞のリアル・ドキュメンタリー映画です。不動産業で巨万の富を得たアメリカの大富豪シーゲル夫妻は、100億円をかけてフロリダにベルサイユ宮殿を真似た全米最大の邸宅の建築を開始! 映画はその大邸宅完成までを記録したドキュメンタリーとなるはずだった。ところが・・・突如襲ったリーマンショックで彼らは窮地に陥り、会社は大ピンチ、ベルサイユ宮殿の建築もとん挫して、夫婦は急転直下、転落の一途をたどることになってしまい・・・事実は小説より奇なり! 大富豪の予想だにしないまさかの転落を記録したこの映画は、サンダンス映画祭で監督賞を受賞、50以上の世界のメディアの賞を賑わせ、全米で異例の大ヒット! というとんでもない大展開を見せて、いよいよ日本にも上陸することが決定しました。 

この度は、本作の公開を前にアフィリエイトで一躍大富豪になり、秒速で1億を稼ぐ男として時代の寵児となったのもつかの間・・・資金繰りがショートして秒速でホームレスにまでなってしまった与沢翼さん(株式会社Free Agent Style Holdings 代表取締役会長)をお迎えして、与沢さんの母校でもある早稲田大学のOB、OGの皆さんを前に池上彰さんばりの公開講座イベントを行いました。

8月5日(火)シネマート六本木  
登壇者/与沢翼さん

与沢翼さんによる映画『クィーン・オブ・ベルサイユ』の解説

「この映画の主人公デヴィッド・シーゲルさんは、タイムシェアというビジネスをしているアメリカの大富豪で、リゾートを30くらい作るんですね。そして1週間単位の利用権を年間52週分に相当する52人の人に売る。1人の方に売るよりも、安くして多くの方に売る方が大きな収益を上げますよね。いま日本でも車のタイムシェアや家のタイムシェアも始まっています。このビジネスは、1000億円規模の融資に依存したビジネスの体質だったために、600億円の規模のビルの建設をして300億円くらいを払い終わる頃、リーマンショックが起こってしまったんです。
この映画のすごいところは、デヴィッドさんが実在し、しかも直近の事例であったということがすごく勉強になりました。僕は普段映画が好きではないのですが、今回は見はじめたら食い入るように見てしまって、そのうち自分の状況と重なってしまって、同じような所で分析したりしてかなりの学びになりました。またこの家庭は、使用人が19人といることを前提に7人の子供を設けましたが、転落以降はメイドさんも3人にまで減ってしまったので、家も荒れていきます。しかし、そんな状況にあっても富める時も病めるときも一緒にいますと奥さんは言います。事実なので本物のストーリーであるということが力強く、かなり企業家魂が学べると思います。ベルサイユ宮殿の建設も止まってしまいましたが、絶対に再開させると言っています。また、企業家は公私を分けられない、仕事とプライベートを切れない。その気持ちは僕もすごくよく分かりました。男の場合は、仕事がうまくいっていないと、家庭内の幸せも感じ難くなる。特に企業家はそうなのでとても共感し、印象深かったです。映画の中ではほかにもたくさんの名言が飛び交います。最初のインタビューでは僕がジョージ・W・ブッシュを大統領にしたなどと強気ですが、あのような状況になっても70過ぎで頑張っているので、僕なんかまだまだやらなきゃいけないという気持ちになりました」

絶好調だったときは、どのようなお気持ちでしたか?
「お金に対する大切さが分からなくなるということで言えば、お金をもつことにはあまり良いことはないですね。ウォーレン・バフェットさんみたいに資産が5兆円になっても、変わらずに年収1000万円でいるみたいな強い意志がないと難しいのだと思います」

与沢さんが目標にされているようなビジネスマンの方はいらっしゃいますか?
「格言というか、言葉で一番勉強になるのはやはりウォーレン・バフェットさんなんです。書籍を読んでも痛快で、言っていることがシンプルで原則は通用するとか、絶対に損をしないってすごいと思うんです。
マーク・ザッカーバーグさんの言葉でも、完璧を期すよりも終わらせるということが大事だとあります。完璧を目指すことが大事なのではないということなどから学びましたね」

主人公から学んだこと
「映画を観て、デヴィッド・シーゲルさんと僕との違いを感じてすごいと思ったのは、僕はいろいろ甘すぎて税金の支払いが滞り、資金がショートして資産も売却しました。それで、もう高い家に住むのはいいや、とビビッてしまったんですよ。でもデヴィッドさんのすごいところは、もう一回大金を稼いで使いまくりたいと言う。リーマンショック下の火中にあるときでも70才を過ぎていてもベンチャースピリッツの塊で不屈の精神、どんな状況でも強気なんだなと、僕にはそのような気持が無くなったので、勉強になりました」

この映画のおすすめポイント
「この映画を観た方がいいのは、やはりビジネスマンの方になると思うんですが、女性の場合は相手の方が実業家の場合には、この映画で旦那さんが奥さんに八つ当たりをしている時のセリフがとても良いんです。お手伝いさんが『奥さんは悪くないのになぜ旦那さんに反論しないのか?』と言った時に『人は傷ついている時には、そばにいる人に当たりたいものなの、だから反論せずに聞いてあげるの』と言っていて、彼女はすごいな、と思いました。起業するというのは、人より大きなリスクを負うことのできる人です。ローリスクな経営もできますが、何が起こっても!というように、ハイリターンのためにはハイリスクに対しても腹をくくって起業するというのが良いと思うんです。起業するというのは、どんなに収益を上げても悩みと一生向き合うというプロセスなので、自分はうまくいかなくなった時に、やはり甘くはないなと思いました。自分勝手にやってもマーケティングでやっていけるのかと思いましたが、そうではなかったですね。起業はやりがいがありますので、そういう視点で映画を観ながら学んでいただきたいと思います。年商数億円でも良い企業はたくさんありますからね。」

そんな与沢さんの今後は?
「僕は、今までは反骨精神が強くて、エネルギッシュだったんです、20代の時は。その時よりも今は冷静です。今までは短距離走が得意で短期間は強い「うさぎとかめ」で言えばうさぎでした。でも5年10年かけて作った経営基盤は強固であり、短期間ではもろいものなので、僕としてはかめになりたいと思っています。数か月間は現状を見つめて、またリベンジをしたいと思っています。インターネットを使って収益を上げて、1000万程度の軍資金を作るということが、今は誰にでも可能なので、僕の場合は過去の清算もありますので、1年後にはひっそりと海外や田舎で復活していたいといと思います。」

映画を観て決意も新たにした与沢翼さん。分かりやすい解説に場内の観客たちも聞き入っていました。ポスト池上彰さんとして浮上する日も近い!?