8月2日スペースFS汐留にて映画『宇宙兄弟#0』の特別試写会が行われた。当日は若田光一さん(宇宙飛行士)、下村博文さん(文部科学大臣)、そして小山宙哉さん(原作・脚本)が登壇した。夏休みということもあり、映画だけでなく宇宙飛行士を一目見ようと約70名の未来の宇宙飛行士を目指す子供たちが参加した。

初めに下村大臣と若田さんが映画を鑑賞した感想を語った。
下村大臣:素晴らしかったですね。勇気がコンセプトでしたけど、今日子供たちが多いですから夢とか希望を本当に一人一人持ってもらいたい。またそれによって未来が開いていくんだなと感じさせられました。

若田さん:幼いころ弟と過ごした事とかは私の幼児体験に近いところがありましたね。また、宇宙から地球を見た時に感じたこの惑星で命を与えられている事のありがたさや、宇宙へ行くことの難しさを改めて感じさせられました。劇中で新人宇宙飛行士として登場した日々人は元気でチャレンジ精神あふれる宇宙飛行士でしたが、やはり目標を持って頑張ると成功につながりますし、失敗をしても教訓として次に生かしている姿は宇宙飛行士として共感できましたね。

この他若田さんは宇宙から地球に帰還した時のお話や、劇中で宇宙飛行士のキャラクタ—が言うセリフが実際の宇宙飛行士の間でも重要になってくる大切な言葉であったことなどを語った。

途中からはゲストとして原作者の小山宙哉さんが登壇し登壇者3名でクロストークが行われた。
(以下トーク内容)
司会:小山さんはもともと若田さんと交流があると伺ったのですが?
小山さん:一度だけなんですけど対談をさせていただきました。若田さんが宇宙へ出発する前ですね。
若田さん:はい。筑波宇宙センターの訓練施設のところでお会いしました。
司会:小山さんから見て出発前の若田さんはいかがでしたか?
小山さん:忙しい時期で大変だったと思うですけど本当に誠実にお話ししていただいて、やっぱり宇宙飛行士はすごいな〜って思いましたね(笑)
司会:若田さんは『宇宙兄弟』をなんと宇宙でも読んでくださっていたとお聞きしたんですが?
若田さん:そうですね。電子書籍で短い間でしたけども拝見させて頂きました。やはり対談した時にも感じましたが、宇宙開発や宇宙活動に造形深くてほんとによく調べてらっしゃるなと思いました(笑)
下村大臣:本当によく知ってますよねー!!
司会:すごい取材力ですよね〜。小山さんが実際にお会いして見た現在の宇宙飛行士の印象というのはいかがでしたか?
小山さん:はじめてお会いしたのは野口さんですね。野口さんには実際に『宇宙兄弟』の3話分ぐらいを読んでもらって感想もいただきました。また星出さん、山崎さん、油井さんにもお会いしました。一人ひとりお会いして毎回思うのが目がキラキラしてるんですね。これは結構不思議でしたね(笑)自分は漫画家なんで人の顔に注目するんですが、皆さん目の輝きが違うなっていうか、やっぱり宇宙への憧れとか少年の心をずっと持ってるんだなという印象は受けましたね。
司会:夢があったりだとか少年の心を持っていると違うんですかね〜。
小山:自分も少年の心は持っているはずなんですけどね(笑)

また会場に訪れた子供たちと登壇者との質疑応答も行われた。
(以下質疑応答内容)
男の子:大臣は月に行きたいですか?
下村大臣:行きたいですね〜。昨年若田さんの激励をしにロシアのガガーリン宇宙飛行士センターに行って訓練させてもらったんですけど、その訓練が大変で、自分は結構船酔いするんですよ。だから自分が月に行くときは訓練が無くても月に行けるようになってほしいですね(笑)どうですか?行けますか?
若田さん:実はですね。乗り物酔いする人が宇宙に行って乗り物酔いするかというと実はそうでもないんですね。酔ったとしても1日2日すると治ってきますので健康であれば宇宙に行って帰ってくるというのは可能です。だからぜひ月まで(笑)
下村大臣:本当ですか!じゃあ男の子も一緒に行こうね。君も月に行きたい?
男の子:行きたい!
(会場からは拍手と声援が)

最後に若田さん、下村大臣、小山さんから当日参加した子供たちにメッセージが送られた。
下村大臣:今日会場に来てくださった皆さんはね、将来に対して夢、志、そして(映画『宇宙兄弟#0』の)コンセプトは勇気でしたから、勇気をもって第一歩を踏み出してください。

若田さん:いろんなことに接して、広くアンテナを張っていろんな人に接して、そしていろんなことを本、インターネットを通じて勉強して、自分の興味がどこにあるか、自分がどういう人間で、どういうことをしたいのかを早く見つけてもらいたいと思いますね。興味の対象は何でもいんです、この分野なら誰にも負けないっていう素晴らしい力をみんな持っているので自分の力を通していろんな人の役に立つようなことに向けて努力してもらいたいなと思います。そして失敗しても決して諦めないでください。

小山さん;僕は漫画家でして、子供のころは漫画ばかり読んでないで勉強しなさいって言わていたんですね。漫画は勉強の妨げになる、みたいな教育方針もあると思うんです。でも今日こうして文部科学大臣の下村さんが来て頂いたということで、これは是非勉強の一部として取り上げて頂けたら嬉しいな〜って思いますね(笑)僕は漫画家になるために何をしたということもないんですけど、振り返ってみれば中学高校の時に先生の似顔絵を描いて遊んでいたことが大人になった今でも生きていると思っていて、子供のころに楽しんでやっている事を是非続けてもらいたいなと思ってます。

(Report:吉村聡真)