本日映画『2つ目の窓』が公開初日を迎え、監督とキャストによる舞台挨拶が行われました。

日 時:7月26日(土) 舞台挨拶開始13:35〜 
場 所:テアトル新宿(新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1)
登壇者:河?直美監督、村上虹郎(17)、吉永淳(21)、松田美由紀(52)、村上淳(40)、渡辺真起子(45)
 
MC:まずは監督、本日映画の公開初日を迎えられましたが、誰に一番伝えたいですか?
河?直美監督(以下監督):この作品を作る少し前に、私をこの世に繋ぎとめてくれていた育ての親である養母・宇乃がこの世を去りました。その時以来、表現者として自分が何を作ればいいのか考えていましたが、自分のルーツがあるこの奄美大島を心の拠り所に、製作を進めました。
 
MC:界人役を演じられた村上虹郎さん、お母さまのUAさんは映画の出演に対してどのように仰っていましたか?
村上虹郎:母は最初すごく反対していました。でもそれだけの愛があるから反対してくれていて。今日次の回を観に来てくれて、それが初めての鑑賞になるんですけど…(言葉を詰まらせる)。
監督:父ちゃん、フォローフォロー!
村上淳:良い話ですね。補足すると、僕は唯一猛プッシュしていました。それも愛です。
監督:ムラジュンの子どもだから、UAの子どもだからって選んだわけでは無いんですよ。七光りでも何でもなく、奄美の自然を前に、負けない存在感を放っていたからです。今はおしゃれ小僧みたいになってますけど(笑)。
村上淳:そういう監督は歌手みたいですよ!
村上虹郎:(2人でポーズを決めて)僕たち姉弟ですから!(笑)
 
MC:吉永さんはカンヌ国際映画祭にも行かれましたが、現地での反応はいかがでしたか?
吉永淳:上映後に12分間のスタンディングオベーションを頂いて…もう、息が出来なくなりました。

MC:松田さんは杏子の母親役を演じられましたが、松田さんご自身も母親として、現場で改めて感じた事はありますか?
松田美由紀:自分の人生を使って演じることが出来るというのは俳優ならではの事で、母親として経験したことを活かす事が出来ました。杏子役の吉永さんと毎日毎日話し合いながら作り上げて行きました。

MC:そして渡辺さん、奄美大島での撮影はいかがでしたか?
渡辺:奄美では準備期間を含めゆっくりと時間を過ごす事が出来ました。ふと気がつくと周りを蝶々が飛んでいたりするんですよ。奄美では蝶々はご先祖様だと考えられているんですが、その蝶々に導かれていくと、道端に小さな綺麗な花が咲いていたり…そういう事が日々起きるんです。まるで自分がこの世にいるのかあの世にいるのか分からなくなる様な、宇宙の大きな流れを感じるような場所でした。

MC:村上淳さん、息子の虹郎さんとの共演は、演技の先輩として見ていかがでしたか?
村上淳:久しぶりに会うシーンで、びっくりしましたね。顔が変わっていたので。河?監督とスタッフの皆さんがきっちりと追い込んで、役になり切らせてくれたんだろうと思います。この順応性の高さが、若さなのか、それとも表現者としての才能なのかは、これから皆さんと一緒に見守って行きたいと思います。
監督:明らかに言えるのは、打たれ強いです。この両親だから(笑)。
村上虹郎:母親ですよ、強いのは!あと、河?さん(笑)。あと渡辺さんと、美由紀さんも。UAの他に今母親が3人いるんです。僕はもう振り切って自由にやりたいんですけど(笑)。

MC:では最後に監督、一言お願いします。
監督:これまでの私の作品は、プロでない人たちがリアルに作品の中で生きているのが評価されていた所でもあるのですが、本作ではここにいるキャストの皆と、杉本哲太さん、世界で胸を張って演技が出来る日本を代表する俳優陣が、これまでの経験を捨てさせられ、生身の自分自身の生きざまをえぐり出されながら、スクリーンの中を生きてくれた。太鼓判を押したいです。パリでは100館もの規模で10月1日から公開が決まり、現在続々と18カ国で上映が決まっていると聞いています。『2つ目の窓』が、皆さんの窓に鍵を渡せるような作品になれば嬉しいです。

吉永が劇中でも登場する民謡を披露するサプライズもあり、始終和やかな雰囲気で進んだ舞台挨拶。村上虹郎が、「皆の事を家族だと思っている」と言った言葉通り、河?組の絆の深さが伝わってくる時間だった。