<質問6>(MC)
観客の皆さんからの質問に移る前に、少し一般的な質問をさせてください。日本・海外問わず、今後一緒にお仕事をされたい監督はいらっしゃいますか。また、なぜその方なのでしょうか。

→二階堂さん(英語で):アミール・ナデリ

 MC:彼とは面識があるんですか?

私の愛しの人ですね。3年ずっとラブコール送ってるんですけど、なかなか返事がもらえない。もっと英語が必要なそうです。だから、頑張ります。

MC:ナデリの好きな作品は何ですか?

初めて観た作品は『CUT』っていう日本で撮られた映画なんですけど、私は『駆ける少年』が一番好きですね。彼自身の、多分幼少期の話なのかな、と思ったりするんですけど、彼はものすごくハングリー精神を持っていて、ものすごく力強くて、いつも会うとものすごいインスピレーションを受けるんですけど、本当に素晴らしい方だな、と思います。

<質問7>(観客)
この監督と仕事しよう、とどうやって決めるのですか?

オファーをいただいたときであったり、オーディションに受けに行ったりするのは、たいてい、やっぱり、もちろん監督であったり、脚本であったり、ほかのキャストであったり、物語の内容であったり、すごい色んなものが重要なんですけど、やっぱり一番、映画っていうのは一人で作るものじゃないですし、ディレクターだけでできるものではないし、色んな各部、監督がいて、撮影部がいて、照明部がいて、録音部がいて、メイク部がいて、衣裳部がいて、俳優部がいて…その中の、私の作品に関わりたいかっていうことが一番重要で、現場に行くことが私にとっては一番大事—その現場に行きたいか、っていう気持ちを大事にしてますね。その中で、もちろん監督によって決めることもありますし、明日上映する園監督の映画(*『地獄でなぜ悪い』)は、私、本も読まずに—夜、監督から急に電話がかかってきてオファーされて「オッケー」ってそのまま答えちゃって。そういう信頼関係で決めることもありますし、でも、たいていやっぱり好きだな、と思った監督は、私のことも好きになってくれるので。

<質問8>(観客)
本作は非常に複雑な作品だと思いますが、二階堂さんは観客がこの作品から何を感じ、何を学ぶと思いましたか?

そうですね。でも、私は映画から何かを学んだり、伝えたりって、まず、そういう何かを伝えたりであったり、何かを言いたいとか、そういうことを趣旨にした映画ももちろんあるんですけど、この映画はそういう映画ではないのかな、というか—もちろんそれを観た人は分かれますよね、すごい挑戦的な映画ですから。でも、やっぱり私たちはものづくりのクリエイターであって、つまらないものを世の中に出したくないですし、映画のレジェンドを作りたいわけですよね。みんなで本気度の高いものを作りたいので、私はそれを持ってる現場にいましたし、現場でそういう本気度の高いものを作っていて、でも、それは完成するまでわからなくて…やっぱり完成したのを観た時に、ものすごい映画ができたという感想を持ちました。だけど、あとから取材とか、いろいろ映画を観た後にこの題材について海外の方はどう思うんだろう、って思いましたし、あと、やっぱり、モスクワ映画祭に—私は出席できなかったんですけれども—すごいブーイングもあったみたいで、そういう別れる意見の映画ではあると思うんですけど、私は映画としてものすごい力強い、魂のこもった映画だと思っているので、すごいいい作品だと思います。

<質問9>(観客)
血の雨のシーンは実際に冷水を使って撮影したのですか?また、ラストシーンでは花が淳悟の足を実際に触っているのですか?

流氷には本当に入りました。もちろん、中にそのまま入ってしまうと、人は死んでしまうので、セミ・ドライスーツっていう、長時間でなければ耐えられるようなものを着て、流氷の上でお芝居をしていたんですけど、流氷の中にはもちろん入りましたし、初めて寒さで人は死ぬんだな、ということを実感したシーンでした。

【会場笑】

でも、そのシーンに関してはリアルだからこそできる空気感といいますか…セットで、発泡スチロールとお湯とかでは絶対作れないような、足のもたつきであったり、息切れであったり、息の白さっていうのは、リアルだからこそ出る緊張感だと思うので、これから危険な現場とかいっぱいあると思うんですけど、死なない程度だったらどんなことでもやりたいな、と思いますね。

【会場笑】
2番目の質問については、ご想像にお任せします。

【会場笑】

 ※1つ目の質問はどこかで解釈がすれ違い、血の雨のシーンではなく流氷に潜るシーンについての回答になっています。