7月5日新宿バルト9にて映画『渇き。』の大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、中島哲也監督中谷美紀役所広司、小松菜奈、オダギリ ジョーが登壇した。

●ご挨拶
役所さん:今日は「渇き。」を観てく頂きましてありがとうございます。また観に来てください。
小松さん:公開から1週間経ち多くの方々に観て頂き、嬉しいです。
中谷さん:土曜日の貴重な昼間に、この作品を選んでいただいて本当にありがとうございます。今日初めて皆さんご覧になるんですか?既にご覧になった方いらっしゃいますか?
オダギリさん:初めて観たときに寝れないぐらいショックを受けて、テンションが上がったのを覚えてます。皆さんは今観たばかりのその反応を周りの方に広げてもらい、もっと本作が広がっていけば幸いです。
中島監督:配給会社の方に、途中で席を立ちお客さんも結構いるんと言われていたので、もし舞台挨拶に出て誰もいなかったらどうしようと思いましたが、最後までちゃんと観て頂きありがとうございます。

●賛否両論の意見が多い本作をどう感じておりますか?
役所さん:賛否があるということは、それだけこの映画の個性があって、映画としては非常に健全な作品だと僕は思います。商品としては、映画は沢山の方に平均的に愛されるべきなのかもしれないけれども、作品としては賛否があって当然で、非常に映画として監督の思いがこもっている健全な状態だと思います。

小松さん:沢山の意見があるんだなと思って、今まで見た映画で一番良かったという人もいれば、クズな映画だって言う人もいて、本当に沢山の意見があって面白いなって思ったんですけど

中島監督:小松さん!後で話があるから!(会場笑)

小松さん:ですが最後には、また観たいっていうコメントがあったので、中毒性のある映画だと思います。

中谷さん:皆さん本当に勇気がありますね!よくこうしておいで頂きましたけれども、どうして入らしたんですか?(是非伺いたいです。良い意見も悪い意見も是非ご遠慮なくお聞かせいただければ嬉しいです。

オダギリさん:結構な事だと思うんですけど、僕は賛の方だったので、否の気持ちが解らないですね。

中島監督:僕も賛の方だったので、否の気持ちが解らないけれど、人間の個性と一緒で、映画が個性的であれば個性的である程、好き嫌いはっきりと分かれると思います。印象に残らないより嬉しいです。幅広い世代の方に観ていただいてることも嬉しく思います。
●小松さんと同年代の方が来ていることについては?
小松さん:初めて観たとき、凄い衝撃を受けて観終わったあと立てなかったです。若い人たちは、この映画をどういう風に表現していいのか解らないと思います。
●小松さんは、撮影前と今とで変化はありますか?
小松さん:オーディションの時は、どうしても女優になりたいとは思ってなかったのですが、「渇き。」を通して、演じることの楽しさを知って、大変だと思うけど頑張っていけたらと思いました。
●役所さんが演じた藤島の凶暴性が話題ですが、ご本人と藤島は違いますよね?
役所さん:もちろんです!「役所広司汚すぎる」「臭そう」などの投稿があるそうですが、僕は毎日風呂入ってます。スクリーンから匂いがしそうだというのは、スタッフのおかげだと思います。
●オダギリさんはいかがですか?
オダギリさん:自分が役所さんの歳になった時に、このような役を演じられる役者になっていたいなと思いました。

役所さん:オダギリさんとのシーンは、4〜5日かかって撮影し、鉄砲ごっこなどやって楽しかったです。本作の面白いシーンが盛りだくさんだったので。

中島監督:もう少しシリアスなシーンにしようと思っていたんですが、「あれ!?これコントだな」と思いましたよね。(会場爆笑)2人が鉄砲ごっこを楽しんでいる子供のように見えて、撮っている僕達もとても楽しかったですね。

オダギリジョーさん:車もぶつかったり、手が吹き飛んだりとか、日々様々なことがあるので、「次はなんだ?次はなんだ?」とスタッフの期待が感じられた現場でした。みんなが楽しんでいる現場でした。

●中島監督はどういう点に気をつけて撮影されましたか?
中島監督:いつもは細かいところまで、指示するのですが、今回はそれをやめて自然に演じてもらうと撮っている自分でも怖いと思う表情が撮れました。今まで細かく演出していたのは何だったのだろう?と思いました。

●最後の挨拶。
役所さん:色んな感想があると思いますが、中島監督の元に集まったスタッフ、キャストで一生懸命この作品を作りました。その面白い部分も汲み取っていただければと思います。

小松さん:良い意見も悪い意見も沢山あると思いますが、観れば観るほど楽しんでいただける、そんな映画です。また観てください。

中谷さん:暴力にまみれた作品ですけれども、この作品が何か、皆様の心に残すことができたら幸いです。

オダギリさん:個人的にここ数年で観た日本映画の中でダントツで面白いと思いました。これを観ない日本人もったいないと思うほどです。

中島監督:映画をご覧になって、どのように感じるかはお客様の自由ですし、それが良い意見であろうと悪い意見であろうと、真正面から受け止めるのが監督の責任だと思っております。映画の初めに呟く言葉と、終わりに呟く言葉の「ぶっ殺す」という台詞が、違う響きに感じていただければ、それだけで十分です。