この度、周防正行監督の最新作「舞妓はレディ」が、7月2日よりフランスのパリで開催された『JAPAN EXPO』に招待され、会場内のステージにて、主演・上白石萌音による唄と踊りのパフォーマンスを披露し、さらにパリ市内にてプレミア上映会を実施しました。

日本時間の7月7日(月)、『JAPAN EXPO』ステージに舞妓姿で登場した上白石は、本作とタイアップしているハローキティを伴い、映画の主題歌『舞妓はレディ』にのせ、堂々たる唄と踊りを見せました。唄と踊りのパフォーマンス後には、京都・上七軒(かみしちけん)・大文字(だいもんじ)より本物の舞妓である勝音と勝奈も応援に駆け付け、華やかな共演が実現。フランスはもちろんヨーロッパ各地から訪れた観客たちは、歓声をあげて、舞妓たちが彩る舞台に見入っていました。出番前にはかなりの緊張をみせていた上白石でしたが、ステージが終わると、「緊張していたのが嘘のように、とても楽しく歌って踊ることができました!」と、満面の笑顔。見終わった観客も「とってもとってもきれい!!」「可愛らしく、とても楽しい時間だった」など、興奮冷めやらぬ様子で感想を述べており、大成功のステージとなりました。
また、『JAPAN EXPO』の会場内を練り歩いた際も、舞妓とキティは大人気。ひときわ目立つ、豪華で華やかな意匠をこらした着物を纏った姿に、観客のみならず他のブースからもしきりに「MAIKO!」「KITTY!」と声がかかっていました。

前日には、現地の日本文化会館にてパリプレミア上映会を実施。会場の128の座席は満席となり、立ち見が出るほど盛況な客入りの中、上白石が舞台挨拶を行いました。訪れた観客に向け、何度も練習したというフランス語で「フランスに来ることができて嬉しいです。映画を楽しんでいってください」と、挨拶。会場からは10秒を超えても鳴り止まないほどの拍手が贈られ、現地の方々からのあたたかい歓迎を受けました。
舞台挨拶では、舞妓をはじめとする花街文化が、日本を代表する伝統的な『おもてなし』文化の最高峰であり、芸に通じた『舞妓』や『芸姑』はお客の好みに合わせて唄や踊り、料理など、遊びの時間をコーディネートすることなど、意外と知られていない側面が丁寧に説明され、観客は皆、熱心に聞き入っていました。
上映中は、方言の違いや、言葉の微妙なニュアンスから可笑しみが生まれるシーンなどで度々笑いが起きていました。また、映画が中盤に差し掛かると、身を乗り出して観入る観客や、上白石演じる“小春”の健気な姿に涙を拭う観客の姿も散見されました。会場の後方より会場の様子を伺って場内の笑い声を聞いた上白石は、そっと会場を出るなり、「うけた!」とガッツポーズ。言葉の違うフランスでも受け入れられた物語の面白さに、しっかりとした手応えを感じていたようでした。

鑑賞後の観客からは、「日本文化への理解を深めることができた」「感情豊かな上白石さんの演技が新鮮だった」「希望に満ちた映画。一言でいうなら、あきらめず頑張ることを教えてくれる映画」「主人公はあの街に本当に住んでいる人のようだった。主人公の成長に心打たれた」「特にミュージカル部分が楽しく、歌も素晴らしかった」といった感想が寄せられました。

今回初のヨーロッパ訪問となる上白石。特にフランスは、訪れてみたかった憧れの場所だったとのこと。舞台挨拶や『JAPAN EXPO』でのステージパフォーマンスなど、大役をこなし緊張も多い中、「フランスパンを片手にシャンゼリゼ通りを歩いてみたい」と夢をふくらませ、10代らしい初々しさを垣間見せる場面も。時折小雨のぱらつく曇天にも関わらず、空き時間には、パリを代表する観光スポットであるエッフェル塔や凱旋門を舞妓姿でめぐり、「パリは有名な場所ももちろん、そうでない場所も全て綺麗。映画の中にいるみたい。フランスを描いた絵画などがたくさんある理由がよくわかりました。こんな綺麗な風景が似合う素敵な人になりたいです」と、楽しむことも忘れず、パリを満喫していました。

《上白石萌音 コメント》
上映会で映画を観てくださったお客様と直接触れ合えたことが、すごく嬉しかったし、元気をもらったし、勇気づけられました。今回の滞在で一番印象に残っています。特に、映画を観終わって出てきた皆さんが「おおきに」と声をかけてくださってとても嬉しかったです。「おおきに」には色々な意味があって、例えば、ありがとう、おやすみ、ノーサンキュー、などの意味を持つこともあるとても京都らしい言葉で、私の好きな言葉だと舞台挨拶で紹介したのですが、それが伝わって、さらに実際使ってくださって、本当に嬉しかったです。
監督からは「頼んだよ」と送り出されて来たので、「精一杯頑張ってきました」ということと、お客さんがたくさん笑ってくれていたことを伝えたいと思います。これから映画の宣伝をしていくのですが、言葉が通じない国で、こうしてお話をして、それが伝わったので、言葉が通じる日本では映画の魅力をもっと知ってもらえるように、心の準備と体力の準備をしようと思います。

色々な感想を聞いて、ひとつの作品を観てくださる方がこんなにたくさんいて、それぞれ違った考え方や受け取り方をするということを感じました。この仕事は直接命を救ったりとか、そういうお仕事ではないのですが、少しでも人の生活に影響を与えられるような仕事をしていきたいです。それに、映画にはたくさんの人が関わっていて、スタッフさんはもちろん、観てくれている人たちとも関わっているんだな、と今回気づくことができました。
フランスに来る前は、緊張や不安全部ひっくるめて興奮していました。たくさんのものを見て、聞いて、感じることができたので、帰ったら、外国に来て感じたことをまた色々な人にも伝えたいと思います。

《『JAPAN EXPO』招待の経緯》
ヨーロッパ最大の日本文化・エンターテインメントの祭典として毎年パリで開催され、昨年は4日間で延べ23万人が来場した『JAPAN EXPO』。15周年となる今年、『JAPAN EXPO』が掲げる、<マンガ・ポップカルチャー・現代文化・伝統文化>の4つのテーマのうち、「伝統文化」の一つとして【花街(かがい)文化】が取り上げられることになり、この度の招待が実現しました。お客の趣味や嗜好を察しながら、唄や踊りなどの芸で身を立てる“舞妓”は、まさに“おもてなし”のプロフェッショナル、且つ日本を代表する“生きる伝統”として海外からも注目を集めています。