口コミで大好評により、シネマート新宿にて拡大ロードショー中である本作。Twitterには絶賛ツイートが多数投稿されており、この盛り上がりを記念たトークイベントを行いました。

日時:7月6日(日) トークイベント19:00〜 
場 所:シネマート新宿 スクリーン2
登壇者:ヴィヴィアン佐藤

MC:いよいよ新宿まで拡大して公開をしている『GF*BF』ですが、SNSでの評判が高く、Twitterでは涙なくしては見られない、二回目の方がより泣けるといった書き込みが多くあります。
ヴィヴィアン佐藤(以下ヴィヴィアン):余計なセリフが一切なくてどんな仕草にも意味が合って、2回目の方がより理解しやすいのかもしれませんね。どの映画にも言えると思いますが、1回目はその世界観に圧倒されてしまって制作物として入って来にくいのですが、2回目になると内容や監督の手法や演出が見えてくる気がします。

MC:ヴィヴィアンさんは本作のキーワードとして“郷愁”と挙げていらっしゃいましたが。
ヴィヴィアン:ポルトガル語でしか表現できない言葉で「サウダージ」という、日本語で表すなら「郷愁」であったり、なかなかぴったりくる単語が無いのですが。この映画は青春映画ではあるんですが、同世代の若い人たちがただ見て楽しいだけでは無くて、青春時代に後悔している事や、今になっては手に入らないものについて「終わりからの視線」で描かれているのが切ないですよね。

MC:ヴィヴィアンさん自身はどんな学生時代を過ごされたのですか?
ヴィヴィアン:映画の話じゃなくなっちゃいますけど、いいんですか?(笑)私はこういう感じを学生時代から始めたんです。トークショーに出ると、だいたい3つ聞かれるんです。何がきっかけで始めたんですかと、どんな人と付き合ってるんですかと、今日のテーマは何ですか?って。私は相手が初級者なのか、中級、上級なのか勝手に決めて、満足するようにお答えするんですけど(笑)。きっかけはないです。今日から始めようという事では無く、小学生の頃から何となく沸々と考えていましたね。
MC:ちなみにこれは、初級者向けの回答ですか?
ヴィヴィアン:これは上級者向けです(笑)。初級者は、何かトラウマがあって…とか物語性を求めていると思うんですが、そういった劇的なものは特にないですね。たまたま、でしょうかね。

MC:作品の中で自由、不自由、というのもキーワードとしてありますが、ヴィヴィアンさんはご自身の活動をされるにあたって不自由に感じることはありますか?
ヴィヴィアン:プラスマイナスというか、基本的には自由ですけど、たまにドアに挟まっちゃったりね(笑)。コンビニで私の目の前で商品が売り切れちゃったりすると、こんな恰好をしてるから売りたくないのね、って思っちゃったり。その位ですかね。

MC:映画の中で「緑」や「水」が印象的に使われていますが。
ヴィヴィアン:先ほども話に出ましたが、ノスタルジーやサウダージ感がこの映画にはあって、アジア映画ではなかなか珍しいなと思っています。台湾の気候や歴史といったものがこの郷愁感を出しているのかなと思っているんですが。丁度日本は明日七夕ですが、七夕は天の川であったり、水との関わりが深いんです。例えば映画の中で、山の中の滝つぼで遊ぶシーンで、2人で1人を騙して仲良くなるんだけど心配になって様子を観に行っちゃう、将来を暗示する様なところでも水が出てきますし、大学生になって3人の関係が破綻し、忠良が1人落ち込んでいる次の瞬間に場面が変わって盛大なゲイの結婚式のシーンになるんですが、そこでも水が出てきます。あと最後、忠良と美宝が空のプールで遊んでいるシーンで、彼女の夢なのか記憶なのか定かでは無いんですけど、水の無い場所で結ばれるというのがまた七夕っぽいなと思って観ていました。

自身の経験を交えながら独特の解釈で作品について語ってくれたヴィヴィアンさんのお話に、会場の観客たちは時に爆笑し、時に熱心に頷きながら耳を傾けていた。