今年開催されたフランス映画祭にて 『ガッジョ・ディーロ』、『愛より強い旅』のトニー・ガトリフ監督の最新作にして、今年のカンヌ国際映画祭の特別招待作品である『ジェロニモ 愛と灼熱のリズム』が上映され、本映画祭で団長を務めたトニー・ガトリフ監督と音楽を担当したデルフィーヌ・マントゥーレさんによるトークショー及びQ&Aが行われました。

【STORY】
30歳の女性ジェロニモは、南フランスの町で、問題のある少年少女の指導をしている。ある日、家族から結婚を強制されそうになったトルコ系の16歳の少女ニルは、ジプシーの恋人ラッキーの元へと逃れる。ふたりの駆け落ちは、それぞれの家族を対立させ、地区を巻き込んだ争いに発展する。ニルはダンサーの兄からの攻撃を恐れて姿を隠す。ジェロニモは、この地域の少年少女の指導に携わっている立場から、何とか事態を収拾させ不毛な争いを止めようと力を尽くすが…。

監督はこの作品について、「フランスや世界中で恵まれない家庭に生まれた若者は心理的、社会的に不安定な状況で生きています。今の時代はひどい時代で、将来を見通すことのできない世界になっており、社会的に病んでしまうのです。伝統や古い習慣にとらわれて、家族の名誉のためならば妹でさえも殺してしまう、名誉犯罪が起こってしまっています。世の中は常にそのような人たちを批判的な目でしか見られませんが、私たちはこのような若者を裁くことはできないと思うのです。世界中の人々が寛大な心でこのような若者に共感してほしいです」と語りました。

また、ジェロニモを本作の中心として描いた理由について「ジェロニモは教育者であり、暴力を使わずに対立している2つのグループをまとめようと自分のやり方で務めていきます。勇気を持ち、暴力に対して毅然とした態度で面と向かっていくジェロニモを中心に描くことで、彼女を世界の模範になるような人として描くことができます。それは、女性であることでより美しくなるのです」とコメント。

音楽を担当したマントゥーレさんは、監督との音楽を作る際に気を付けていることについて「音楽はシナリオを描くときに1シーンずつ作成していますが、シナリオのイメージをもとにテンポやリズムを作っています。『暴力』を全面に見せることで逆に美しく、賞賛されるのを避けるために音楽を使っています」と話しました。

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フランス映画祭2014
6月27日(金)〜30日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)にて開催
公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2014/
Twitter:@UnifranceTokyo /Facebook:http://www.facebook.com/unifrance.tokyo/
主催:ユニフランス・フィルムズ
共催:朝日新聞社
後援:フランス文化・コミュニケーション省・CNC/在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:ラコステ/バリラックス/ELLE JAPON/LVT
運営:ユニフランス・フィルムズ/東京フィルメックス

(Report:金子春乃)