本日、映画『あいときぼうのまち』が公開初日を迎え、主演の夏樹陽子氏をはじめ、大谷亮介氏、福島県出身の菅乃廣監督、脚本家の井上淳一氏など大勢の出演者・スタッフの登壇する初日舞台挨拶を行いました。

日時:6月 21 日(土) 初日舞台挨拶 12:10〜 場 所:テアトル新宿
登壇者:菅乃廣(監督)、井上淳一(脚本)、夏樹陽子、大谷亮介
千葉美紅、黒田耕平、沖 正人、大島葉子、里見瑤子、伊藤大翔、杉山裕右

MC:公開を迎えての、今の気持ちをお聞かせください
菅乃:企業が作った作品ではなくて個人の有志が集まって作ったような作品でして、厳しい条件の中での制作だったんですけども、夏樹陽子さんをはじめ素晴らしいキャストの方にも恵まれ、スタッフも一流のベテランの方にやっていただいて自分としては満足できる作品になっていると思います。

MC:千葉さんいかがですか?
千葉:この映画を上映することができて、そしてみなさんに観ていただくことができてとてもよかったなと思っております。わたしも責任の重さをすごく感じております。みなさんで一緒に考えていきましょう。

MC:沖さん、今の気持ちをお聞かせください。
この映画はいろんな人の強い思いといろんな人の大きな協力があって形になった映画だと思っております。三年前の企画の段階で声をかけてくれた菅乃監督に今本当に感謝しております。

MC:黒田さん、今の気持ちをお聞かせください。
黒田:この映画は福島県いわき市で昨日まで先行上映をしていたのですが、上映後に目を真っ赤にしたお母さんたちから「この映画を作ってくれてありがとう」と言う御言葉を頂きました。そのときに僕は「あ、これはバトンを受け取ったなと思いました」。福島の想いをこれから全国に広めていきたいと思います。

MC:大谷さん、お気持ちをお聞かせください。
大谷:こういう作品はどういう方が観てくださるのか、なかなかこの現代社会、温度差がございましていろいろ難しい面もございますが、今日ご覧になってくださったみなさん面白いと思って頂ければぜひ宣伝していただきたいと思います。

MC:夏樹陽子さん、今の気持ちをお聞かせください。
夏樹:3.11 以来わたくしなりに何ができるかと考えておりましたが、わたくしは俳優ですので、俳優として表に出すことが一番だなと思いまして、このお話を頂いたときは台本も見ずに「是非やらせてください」と即答致しました。ただ現地に行ってみますと思った以上に見ると聞くとではすごく違うことで、果たして地元の方たちの心を大事にしつつ、この映画を完成させることができるのか、演技がうまくいったとかではなくて、そちらの方を考えなければいけないなと思いました。ただ現地の方たちから「この映画を作ってくれてありがとう。こちらこそお礼を言いたいです」という言葉を聞けたことが、本当にやってよかったなと思っております。
『アナと雪の女王』もいいですけどね、架空の世界で夢を与えてくれるし音楽も素晴らしいですが、またこの現実こういった人間にとって何が大切なのかということをきっとみなさんひとりひとり考えていらっしゃると思います。みなさん自分の罪みたいに本当に心を痛めている人が多いですが、そうではなくて、自然に負けてしまった部分がある。誰の罪でもない。だから将来を見据えて強く生きてもらいたい。今日いらした方ひとりひとりが自分の幸せを見つめて絶対逃がさないようにしてもらいたいと思っております。そのことをどうぞご友人身近な方にも伝えていただいて、メッセージのある映画だよということを言って頂ければうれしく思います。

MC:大島葉子さん、いかがですか?
大島葉子:ひとはみんな記憶をすぐに忘れてしまいがちですが、映画というのは記録でありまして。事実をこうして記録として残して頂けたこと、こうして後世にずっと伝えていける映画に参加できたことをうれしく思います。

MC:里見さん、いかがですか?
みなさんで作っている一体感というのがとてもある現場で、わたしなりに精一杯その中を生きさせてもらえたらという気持ちで演じさせて頂きました。
自分の人生は自分から始まったわけではなくで、親だったりその前の親だったりずっとつながっていて、自分がどんな人生を送ったり、どんな思いで生きていようとも、その思いが次の世代につながっていくんだなということを、また完成した映画を観てあらためていろいろと感じさせられました。

MC:伊藤さんいかがでしょうか?
伊藤:この映画をきかっけに 3.11 のことを忘れないで、福島のことを忘れないでいてほしいと思います。この映画をきかっけにもっともっといろんな人とつながっていけたらいいと思います。

MC:杉山さんいかがでしょうか?
杉山:本当にこの映画はさまざまな方のご尽力がありまして、いまこの場に立たせてもらっていると思います。この日は忘れないと思います。ありがとうございました。

MC:井上さんどうでしょうか?
井上:3.11 後の世界を描かなければ、これから僕たちの仕事に何の意味があるのだろうと思いました。しかし、実際にこの仕事がきたときには戸惑いました。この仕事がきたのは震災から半年後の 2011 年の夏の終わりで、その頃テレビでたくさんのドキュメンタリーが流れていて、例えば親友や家族が流された人ひとの涙、その涙にわれわれが描くフィクションは勝てるだろうか、そういうことを思いました。さらには本当に被災された方の目線に立てるだろうか?そういう方に観て頂いて恥ずかしくない作品ができるだろうかと恐れおののきました。
ただそれでも書いたのは「ああ、実際に東京と被災地は地続きなんだ」と実感しました。その帰りにウラン採掘にもよりまして、「土地だけじゃないんだ、時間も地続きなんだ。ぼくたち絶対にこのことを忘れちゃいけないんだ。
とそのことを思いだしてこういう話を書きました。
今日こうやってみなさんに観て頂いて本当にうれしく思います。ただ、夏樹陽子さんをはじめこれだけの舞台挨拶があってなお、これだけの客席の埋まり方が現在のこの映画の認知度だと思います。東京新聞と日経新聞が以外には完全に無視されました。ぜひこの映画気に入って頂けた方は、口コミで広がっていく映画だと思いますので、みなさんに宣伝してください。

大盛況のなか約 35 分間の舞台挨拶を終えました。