6月12日新宿ピカデリーにて、5月31日より初日を迎えた『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章』大ヒット御礼トークイベントが行われ、押井 守、宮下俊(TNGPチーフプロデューサー)、石川光久(プロダクションI.G代表取締役社長)が来場した。
会場には本作を2度、3度、4度観た観客が多くを占めており、熱烈な押井ファンが集結し、押井が「楽しく観ていただけたでしょうか」と尋ねると大きな拍手が返った。押井はまずゲストの2人の説明を始めた。「石川は最も長い関係で25年もの付き合いだ。石川にあんたとは二度とやらんと言われたこともあるが喧嘩別れをすることなく腐れ縁だ。話せばいくらでも話が出来る男でもある。ただの風来坊に見えるが石川がもしIGを退いたら1年で会社は終わってしまう。」と少し照れながらも石川を絶賛。宮下プロデューサーについては「ただの糖尿のおやじに見えるけれどアニメーションのなかでのCGにこだわりがある。かたやぶりなことをする人で、趣味としてラジコンの世界大会に出場し、最高4位を獲得したこともあるパーフェクトおやじだ。」と宮Pという愛称で呼ぶ親しい間柄であることも明かした。続いて2人からみる押井に対してのコメントがあった。「うる星やつらを創っているときタツノコにアルバイトに来ていた押井はとても可愛かった。会社が儲かると押井の作品を創りたくなる。」とそのお金を押井税と称しておもしろおかしく語っている石川は、押井のいちばんのファンの顔をしていた。宮下は「押井はCGを正しく使う人と分かり全幅の信頼を寄せている。」と敬意を示した。押井はそれに対し「アニメでの最大のハードルはセル重ねでありどうしても濁ってしまう。CGは人間が出来ない部分で利用する。」と語った。
その後押井のアニメと実写での違いについての話になり、石川も宮下も変わらないと意見合致。一方押井は「実写は自分の判断で出来ることは少なく、天気にも役者のコンディションにも左右される。アニメは自分でなんとかしようと思えばできることが実写に比べて多い。」と違いを明らかにし語った。
まとめとして押井は「この現場はおもしろく、プロデューサーも役者も楽しんだ。お客さんが幸せになってくれれば全員が幸せになり上手く収まる。『やもしく まずしく 美しく』という言葉があるが、それらの優先順位をどう決めるかで生き方は決まる。私はいちばん美しさを優先とし、次いで名誉、プロデューサーには悪いが最後にお金だ。いい人はいい仕事でしか生まれないと考えるため、情熱が集まる場所を作ることに徹している。つまり、いい映画を創って儲かるならば儲かりたいというスタンスだ。私は好きな映画しか創っていない。」と素敵であたたかい押井の人柄が滲み出る、胸を熱くさせるようなコメントをした。

本作は1988年以降、コミック・ビデオグラム・映画・小説など先駆的にメディアミックス展開を繰り広げ、世代を超えた多くのファンを獲得し、アニメ史に残る空前の大ヒットを記録した『機動警察パトレイバー』シリーズだ。ぜひ劇場に足を運んでいただき、押井ワールドに浸って欲しい。

(Report:浜野真里)