松田龍平を主演に迎え、7年ぶりに松尾スズキが長編映画のメガホンを取った『ジヌよさらば〜かむろば村へ』がこのほど、都内で無事クランクアップを迎えました。

 「大人計画」の主宰で俳優、演出家、脚本家、映画監督、コラムニストと幅広く活躍している松尾スズキが、『恋の門』(04)、『クワイエットルームにようこそ』(07)についで手掛ける長編作品で、昨年、『舟を編む』(13)で、日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞、毎日映画コンクール・男優主演賞、ヨコハマ映画祭、報知映画賞、日刊スポーツ映画賞など、様々な映画賞で主演男優賞を総なめにした、いま日本で最も注目すべき俳優松田龍平を主演に迎えて、『恋の門』から実に10年ぶりの再タッグに、多くの注目が集まっています。

原作は、人気漫画家いがらしみきおが小学館ビッグコミックにて2007年〜2008年に連載していた人気コミック。阿部サダヲ、松 たか子、二階堂ふみ、西田敏行ら日本を代表する俳優陣が顔を揃え、笑いとシリアスが絶妙にブレンドされた独特の世界感で、お金を一円も使わずに生きることを決意した主人公・武晴と、彼を支える村人たちとの奇妙な交流を描きます。

  本作の舞台となる、病院も学校も警察も郵便局もなくなった限界集落‘かむろば村’として松尾監督が選んだのは、福島県河沼郡柳津町。5月7日に柳津でクランクインし、約一か月に渡る滞在ロケにて撮影を敢行し、去る6月4日都内にてクランクアップとなりました。現場は、常に新しい演出を加えてくる監督と、くらいつき、テンションの高い演技を魅せる俳優たち、そして全力でサポートするスタッフらにより、緊張感溢れながらも、絶え間ない笑いに包まれていました。

  最後花束を監督から贈呈された松田龍平は、「メインロケ地の福島でアップしたかったなぁという気持ちもありますが、楽しかったです。『恋の門』以来、10年振りの松尾組でしたが、撮影が終わって、今振り返ってみると、10年前よりも客観的な視点を持って現場にいれたかな、という気がしています。」と自身の成長も手ごたえとして掴んだ様子。
撮影中は「台本に書かれていない事が、演出として次々と松尾さんから出てくるので、どのシーンも刺激的で楽しく、それゆえ不安もありました。」と語り、「頑なにお金を使わない武晴を、周りの一風変わった人たちが、なんとかして助けようとする、いい話になっているのではないかと思います。僕自身、仕上がりが楽しみです。」とクランクアップに際しての想いを締めくくりました。
  
  また、かむろば村の村長与三郎を演じた阿部サダヲは「撮影は朝早い日が多かったのですが、時間の流れが良くて、とてもいい過ごし方が出来ました。松尾さんとは、長編映画で組むのは初めてでしたが、映画でも舞台でも演出の仕方は変わらないので、安心して挑めました。あと、松尾さんが元気そうなので良かったです。」
与三郎の妻亜希子を演じた松たか子は「撮影は町のあらゆるところを活用させて頂けて、集中して出来たので、とても幸運だったと思います。柳津の町に溶け込ませて頂いて、馴染ませて頂けたのが良かったです。松尾監督らしいアクセントのある演出や要望に、求めて下さることが嬉しくもあり、毎日『今日はどんなことを言われるのかな?』とワクワクドキドキしていました。」と充実した撮影期間について語りました。

クランクアップ直後、松尾監督は「すごく濃いメンツに集まってもらい、今までにない演技をしてもらいました。完成を楽しみに待っていてください。」と、自信を覗かせました。

また、これに併せかむろば村の住人たちに異色のキャストたちが集結していることが明らかになりました。
スーパーあまので働くいそ子役に片桐はいり、温泉旅館の女将奈津役に中村優子、旅館の板前勝男役にオクイシュージ、田植えを教えるみょんつぁん役にモロ師岡、かむろば村・助役に村杉蝉之介、その妻に伊勢志摩、美人局をするチンピラ青木役に荒川良々、隣接する町の議員・青砥に皆川猿時、と豪華出演者が顔を揃えました。また、松尾監督自身もヤクザの多治見役として重要な役どころで出演しています。

『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』はこれから編集作業に入り、来年2015年の春公開の予定です。