第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された、河瀬直美監督最新作『2つ目の窓』が、7月26日(土)に公開になります。公開を記念して、河瀬監督と縁の深いファッションブランド「アニエスベー」の『J’AIME LA PHOTOGRAPHiE!レセプションパーティー』にてトークショーを行いました。

日時:6月2日(月) イベント開始20:00〜
場 所:アニエスベー ボヤージュ表参道店(渋谷区神宮前 6-3-10)
登壇者:河瀬直美監督、松田美由紀

MC:監督はアニエスベーさんとお付き合いがあるんですよね?
監督:はい。実は先月のカンヌ国際映画祭でも偶然会場でお会いして、アニエスさんお気に入りのオリーブオイルを頂きました。

MC:松田さんはご自身も写真家として活動されていますが、松田さんから見て今回のアニエスの写真をモチーフにした展開はいかがですか?
松田:私が撮るのは基本的にはポートレイトなのですが、アニエスベーさんの写真をこうやって色んなファッションに繋げているのは面白いですよね。

MC:今回の河瀬監督の最新作『2つ目の窓』について、改めてご紹介ください。
監督:これまでは山に囲まれた奈良を舞台に撮影してきましたが、今回は奄美大島という海をテーマに初めて描きました。16歳の少年少女の生命力、未来に向かって何かを繋いでいく。それを奄美大島の大自然の中で、主演の若い2人の演技と、松田さんを始めとするベテランの俳優さんたちの演技がマッチングして、素晴らしいものになりました。

MC:奄美の撮影を振りかえって、何か凄い出来事はありましたか?
松田:凄い出来事といえば、河瀬直美監督ですね(笑)。自分の描きたいとイメージするものを、自分の体を通して何が何でも形にするという凄いパワーを持っています。普通日本映画の撮影は順番に撮る訳では無くて、台本を頂いて、この人がいきなり恋人ですよと言われて、場合によってはいきなりキスシーンから撮影するということもあります。河瀬監督の場合は、本当に松田美由紀という人間を捨てて、役にいかに没頭させるかと言うのを導いていく手法です。こういう演出法をするのは日本では恐らく河瀬監督だけだと思います。最初は馴染みの無い方法で戸惑いました。レストランで働いている役だったら本当にバイトをしたり。全然知らないお客さんがお店に入ってきて、そこで杉本哲太さんが働いていてびっくりして、あまちゃんの続きですか?みたいな(笑)。私は病気の役でしたので、病院に実際に4日間入院しました。

MC:今日は主演の村上虹郎さんも会場にいらっしゃいますのでご登場頂きましょう。同世代の方たちにはどういう風に感じて貰えれば良いなと思いますか?
村上:観る側と演じる側では受け取り方が違うので、みなさんの感想が聞きたいです。最初に自分で観た時は自分だけ何でこんなにダメなんだろうって、落ち込んだんです。
監督:現場では寡黙な少年の役だったのですが、あるポイントをきっかけに感情を爆発させて欲しかった。それでもずっとテンションが一緒でポーカーフェイスだったので、思いっきり殴りましたね(笑)。
村上:本当に、お母ちゃんみたいでした(笑)。

主演俳優のサプライズ登壇に加え、最後には3日前が誕生日だった監督へのサプライズでケーキも登場し、満員の会場でバースデーソングを合唱し、イベントは大いに盛り上がりました。