続いて、神戸三宮映画祭に実際に作品を出品した監督を代表して、佐々部清監督・本広克行監督・岩井俊二監督が登壇し、トークショーが行われました。

神戸三宮映画祭について、佐々部監督は「神戸は僕が中学生のころに、淀川長治さんに弟子にしてくださいと手紙書いたんですが、その淀川さんは日本映画や海外の映画を、伝道師のように伝えてくれました。その淀川さんの生まれ故郷で映画祭ができて光栄です」、本広監督は「神戸は、『交渉人 真下正義』という映画を撮って、地下鉄のシーンが出てくるんですが、毎晩終電が終わったら三宮から潜って、2週間くらい毎晩撮っていました。ショートムービーを大画面で見るとどうなのかと、自分でも楽しみです」、岩井監督は「映画の撮影の前に、震災の一年前にロケハンをしたのですが、予算の都合上、撮影は全部小樽でやってくれ、という話になって、全部撮影は小樽でやったっていう話があって。いつかこの地でカメラを回したいとずっと思っています」と、神戸での思い出について語りました。

また30日・31日には実際にスクリーンで、佐々部監督作品『ゾウを撫でる』『痕跡や』、本広監督作品『Regret』、岩井監督作品『花とアリス ショートフィルム版』が上映されます。そのことについては、去年、ネスレシアター on YouTubeの公開初日の記者発表会で「最終章は劇場で観せるんだっていう気持ちで撮っている」と語っていた佐々部監督は、実際に上映されることについては「隠しに隠した最終章を劇場で見せられるのは嬉しいです」と語りました。

また、去年の記者発表会の際に、作品を撮るにあたり監督にあまり自由度がない、と語っていた佐々部監督ですが、ネスレシアター on YouTubeの解説を通じて、「なかなか自由なもの取れないという状況は、むしろ悪くなっているかというところです。監督協会の理事をやっているのですが、こういうのをYouTubeでやってるよ、と紹介すると、みんな見てくれるんです。自由な、原作にとらわれないで、自由な発想で自由なものを作れる機会は貴重ですね」と語りました。佐々部監督の話を受けて本広監督は、「プロデューサーや出稿社の意向に捕らわれず撮影するのはなかなか難しいのですが、ネスレシアター on YouTubeでは、技術含め若手をどんどん起用しました。カメラマンやってる奴も、今では結婚して。現場の撮影監督もやってるますから」と若手がチャンスを得ることの重要性について語りました。

また今回が第1回目となった神戸三宮映画際について、岩井監督は「ぜひ続けていってください。 ここから画期的なショートフィルムが生まれたら素敵ですよね。日本はどうしても東京中心で映画づくりが行われますが、アメリカは各都市に映画を作れる人がいるんです。地方発・全国映画もあるくらいで。そういう先駆けになってくれれば、と思いますね」と、更に発展していってほしい、と期待を込めて語りました。