没20年を迎え、幻の遺作と言われていた『ダーク・ブラッド』公開で、不死鳥のごとくスクリーンに蘇る、伝説的スター俳優リヴァー・フェニックス。
リヴァー・フェニックス」フェス開催!『アメリカンレガシー』(35mmフィルム上映)に続き、若き日のリヴァー&キアヌ奇跡の共演『マイ・プライベート・アイダホ』上映決定!

日時:4月21日(月) 場所:オーディトリウム渋谷
トークゲスト: 有村昆さん(映画コメンテーター)、伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)

伊藤さとり:
私はリヴァーと同級生なんですよ。これは自慢ですよ、リヴァーとともに育ったんです!
高校生の頃、実は追っかけをやっていまして、リヴァーの1991年の来日の時もホテルに行きました!(笑)

有村昆:
僕の愛する妻・丸岡いずみも1971年生まれで、リヴァーと同世代なんですよね。「今日はトークショー頑張ってきて!」と送り出されました。

Q:リヴァー・フェニックスの魅力って?
有村:
一番最初に観た「リヴァー・フェニックス作品」は、僕はやっぱり『スタンド・バイ・ミー』ですね。あとは『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』ハリソン・フォードの若いころをリヴァーが演じていた!カッコ良かったですね〜。
男の目から見ると、リヴァーの魅力は、彼の生き様だと思うんですよ。メジャーに屈しない生き様。スターになるほど、自分は俳優をやりたいのに、どうしてもビジュアルを求められてしまう。その狭間ですごく苦しみつつ、それでも『マイ・プライベート・アイダホ』や『ダーク・ブラッド』のような、主張のある作品を選んで出ている。自分の考えにブレない魅力を感じますね。

Q:リヴァー・フェニックス作品の中で、お気に入りの映画は?
有村:
『マイ・プライベート・アイダホ』ですね。あれはリヴァーのひとつの集大成だと思う。スターとして絶頂期のときにあえてインディーズ映画の、ゲイの男娼という役柄を選んで出る。焚き火をしながらキアヌ・リーブスに愛を告白するシーンは、リヴァー本人がセリフを考えたんですよね。監督やプロデューサーの指示にも屈しない、彼のこの作品にかける信念があった。そのシーンを観るたびに「この人は天才だな」と思いますね。

伊藤:
私は『旅立ちの時』。その当時リヴァーが付き合っていたマーサ・プリンプトンと、恋人役を演じているんですよ。キスシーンがあるのですが、こう、リヴァーの足の間にマーサの足を挟みこむようにしてキスしてて、あ、これは素でやっているなーと(笑)。実際の恋人同士でないとできないアドリブですよ!

Q:遺作『ダーク・ブラッド』について
伊藤:
リヴァーの場合、顔でアイドル映画に呼ばれちゃうし、家族のために、稼ぐために出なきゃいけない事情もある。だけどこの『ダーク・ブラッド』のように、セリフで説明する映画ではなく「感性で感じて欲しい」映画に出たかったという思いを、すごく感じますね。

有村:
確かに、「感じてほしい」リヴァーの思いは良く伝わってきますね。この映画は砂漠で一人で暮らしている「ボーイ」ことリヴァーの所に、ハリウッド俳優の夫婦がやってくる。その奥さんにリヴァーが恋するのですが、彼女を後ろから抱いて誘惑する場面がすごい!セリフは少ないのですが、セリフの「間」の部分に、言葉にできない、なんともいえない感情がギュッと込められているんです。この映画は、リヴァーが途中で亡くなったために、未完成シーンもありますが、未完成の部分を想像できる余地がたくさんある。そこも素晴らしいなと思いますね。
リヴァーは「メソッド・アクティング」をしていると思うんです。自身の体験を通して役のキャラクターになりきる。例えば、悲しいシーンだったら、過去の悲しい事を思い出して演技する。同じ演技は二度と出来ない。ドラッグに悩む役を演じると、自分の私生活も役に引っ張られて、どこまでが現実でどこまでが役かわからなくなる。ヒース・レジャーなどもそうだったと言われてますが、すごくストイックなだけに、役に飲み込まれてしまったんだと思いますね。

伊藤:
でも本当に「監督、作ってくれてありがとう。」って、心から思える映画ですね。