WOWOWが地方の単館系劇場を応援することを目的に、日本未公開の作品を全国で無料上映するイベント「旅するW座」。
これまで様々なジャンルの話題作を上映してきましたが、締めくくりとなる第5弾の上映作品は、2010年セザール賞 脚色賞を受賞したのを始め、数々の映画祭に出品され高い評価を受けた『シャンボンの背中』。

10月から山梨のテアトル石和を皮切りに全国の劇場で無料上映してきましたが、今回は本企画の最後の上映館として、初の東京ユーロスペースでの無料上映が決定し、最終日となった12月20日(金)には番組の案内役である小山薫堂、安西水丸による舞台挨拶を行いました。年末の忙しい時期にも関わらず映画ファンであふれた会場では、両名によるカンヌでの購入秘話などに終始笑いが絶えないイベントとなりました。

WOWOW「旅するW座」『シャンボンの背中』舞台挨拶

【日時】12月20日(金) 21:00〜
【場所】 ユーロスペース(渋谷区円山町1-5 KINOHAUSビル3F)
【登壇者】 小山薫堂(放送作家・脚本家)
       安西水丸(イラストレーター)

WOWOWが地方の単館系映画館を応援する目的で昨年11月にさせた無料上映イベント「旅するW座」の第5弾で、フィナーレを飾るフランス映画「シャンボンの背中」の上映が20日夜、東京・渋谷のユーロスペースで行われ、WOWOWシネマで放送中の「W座からの招待状」(毎週日曜午後9時)の案内役を務める放送作家の小山薫堂とイラストレーターの安西水丸が舞台挨拶に立った。

 「旅するW座」ではこれまで、海外で公開されたばかりの日本未公開作品を全国各地で上映。これまで5作品を、26の映画館で52回の無料上映を重ねてきた。特に「シャンボンの背中」は、2人が今年5月のカンヌ映画祭に自ら赴き作品を見た上で交渉をして買い付けた思い入れの強い作品。10月の山梨・テアトル石和を皮切りに全国5カ所で上映され、この日の上映が最終章となった。

 小山「カンヌは初めてだったけれど、日本ではコンペティションが有名で誰が賞を獲ったというのが話題になるけれど、一方で世界中の映画製作者がやって来て映画の売買をしている。コンペ以上に面白い光景が広がっていて感動した」

 安西「驚きましたね。でも、僕はただ天気が悪かったことしか覚えていない。すごい雨男なので、雨の中を歩いたことばかり。寒い所だなあという印象」

 1本だけ好きな作品を買い付けていいという使命を帯びた2人は、2本に絞った上で「シャンボンの背中」に決め、日本語タイトルも2人で考えてつけたという。

 小山「迷いましたよね。取りつかれたようにこの作品に魅かれましたね。周りのスタッフ、特に女性は理解できないというようなことを言っていたけれど、今日ご覧になる皆さんはラッキー。これは金曜の夜にこそ見る映画です。月曜は勧善懲悪の『水戸黄門』のようなものを見たくなるし、金曜はドラマでいえば『恋に落ちて』や『金曜日の妻たちへ』のようなドロッとした日常から外れたものを見てみたくなる。まさにそんな大人のラブストーリーです」

 安西「良かったんだよねえ。何でこの映画を見なきゃいけないんだって作品もあったけれど、この作品は珍しく好きですね。僕は3回見ましたから。よくできた映画で、主人公の女性が素敵。フランスで人気のある俳優さんで目がセクシー。そういうところも学んでほしい」

 「W座からの招待状」は、安西が印象に残ったシーンをイラストで描き、小山が詩のような文章を添えたものに、俳優の濱田岳がナレーションをつける構成で、これまで100本以上の映画を紹介、放送してきた。

 安西「薫堂さんがすごいなと思うのは、詩を読んだだけでどういう映画か分かる。さすが、日本アカデミー賞脚本賞を受賞しているだけのことはある」

 小山「新しい(映画の)脚本も書きたいんですけれどねえ。でも、この番組が続く限り書けない。解放されたいという思いもあるけれど、勉強になるしいい番組だと思う。皆さん、『W座からの招待状』にもぜひお越しください」

 「シャンボンの背中」は、12月29日午後9時からのWOWOWシネマ「W座からの招待状」で放送される。