ニューヨーク5番街にあるデパート“バーグドルフ・グッドマン”に密着したドキュメンタリーが10月26日(土)よりBunkamura ル・シネマにて公開される事が決定いたしました。そしてこの度、本作の公開に先駆けて、東急Bukamuraにて、「アメリカンエキスプレスプレゼンツ メンバーシッププレビュー」企画で映画の上映とゲストによるトークイベントを行いました。ファッション業界に広いコネクションをお持ちであり、映画に出て来るほとんどのデザイナーさんたちとお知り合いだという、世界で活躍するモデルの【冨永愛】さんをゲストにお招きし、クリス・ペプラ—さんがナビゲーターとして登場。華やかなファッション業界の裏話や、本作に出てくる数々の有名デザイナーとの秘話、デパートの思い出などをお伺いしました!

【日 程】 10月17日(木)  【場 所】 東急Bunkamura館内1Fカフェラウンジ(渋谷区道玄坂2−24−1)【登壇者】 冨永愛、クリス・ペプラ—

「本作の舞台であるNY5番街にあるデパート「バーグドルフ・グッドマン」のシーズンの顔となるモデルになったことについて」
「「バーグドルフ・グッドマン」のモデルを出来ることは、モデルの中でもかなりのステイタスであり、歌手でいう「紅白」のようなものですね(笑)。ランウェイを実際に歩いているのは30秒程度の短い時間なのですが、1着あたり2時間前から準備しているんです。どんな服でも着こなすのがプロのモデル。デザイナーの想いを表現する=ブランドの人生を生きること、着替えた瞬間にすっと気持ちが切り替わるような、瞬発力で30秒のライブを行うような感じです。」

「“バーグドルフ・グッドマン”とは?」
「デザイナーがデビューして目指すところです。自分の服がバーグドルフにおかれるということが一番のステータスであり、デザイナーの夢ですね。お客さんにとっては、万人にOPENなデパートですが、神聖な感じがしますし、一歩そこに入るのは勇気がいりますが、デザイナーたちが命をかけたコレクションがバーグドルフには揃っているので、その世界を体験しに行くお客さんにも覚悟が必要だし、その洋服をまとえることはスゴいことですよね。日本でのデパートに対する想いとは違う感じがします。一歩中に入って堂々と出来るのがバーグドルフのお客さん。そこは魔法にかかったかのような体験が出来る、まさに魔法のデパートです。デザイナーたちの想いがつまったデパートに入るということは、私がコレクションでランウェイを歩くときの気持ちと同じようなところがあるかもしれません。」

「本作に登場する世界の有名デザイナーとの交流について」
「この映画はファッション業界の図鑑のようなもので、ファッションのなす意味、ファッションとは何なのかがわかる映画です。本作は、たくさんの有名なデザイナーさんが出演されているのですが、一人一人インタビューをとれたのが本当にすごいと思います!ファッション業界のキーパーソンばかりだから観ていてドキドキします!」

①カール・ラガーフェルド
「本作でも一番最初に登場しますが、(大物の方なので)やはりそうだろうな、と。(笑)私が16歳の時に、シャネルのショーでカールと初めて出逢い、彼に気に入っていただいてその後も彼のショーに何回か出させてもらいました。やさしいおじいちゃんです。(笑)」

②ジョルジオ・アルマーニ
「ショーの事前フィッティングにデザイナーがいることは滅多にない中、カールとジョージは必ず最初から最後までその場にいて指示を出し、ショーを作り上げますね。カールと同じくらい長年デザイナーをやっていて、ここまでの地位があっても情熱を持って取り組む姿は尊敬します。」

③マーク・ジェイコブス
「彼が15年ほどデザイナーをつとめていたルイ・ヴィトンの最後のコレクションに出させて頂いた時、とても良くしてもらいました。デザイナーは、コレクションの1週間ほどの期間、トップモデルに「僕のショーだけ出てくれ」と独占契約を求めることがあるのですが、彼は私にそれをお願いしてくれた人です。」世界観も含めて、彼は特殊な人でした。

④アレキサンダー・マックイーン
「亡くなってしまいましたが、彼の世界観はすごかったです。「どうしても愛にやってほしい」といわれて彼のコレクションの大トリをやらせてもらったことがすごく想い出に残っています。」

お客さんからのQ&A

「世界の舞台を歩いて来て辛い経験は?」
山ほどありました(笑)欧米の人に混じってアジア人が一人という状況で、胸を張って世界の舞台を歩くのは大変なこと。ファッションは欧米の文化で、昔はアジア人が活躍出来るものではなく、「この壁を壊そう」というモチベーションで頑張っていました。ハートが強くなって、ちょっとしたことでは心が折れなくなりましたね。

「誰にも負けない自分の一番の個性は何だと思いますか?」
度胸は元々あったと思うのですが、周りが「私が私が」という世界で自分がここまで出来るとは思っていませんでした。勇気と度胸で舞台をふんできたと思います。モデルは外見の世界だと思われるかと思うのですが、追求するとランウェイはモデルの内側からにじみ出てくるものが切り取られるんです。どれだけ綺麗な人でも中身が出てくる。どれだけ中身を磨いていけるのか、常に勉強です。

「インターナショナルで活躍される中で、自分が日本人女性だなと感じる時やそれを強みに感じることはありますか」
若い時は自分を日本人として意識していなかったと思っていましたが、実際は「欧米人には負けない!」という気持ちそのものが日本人としての意識が強かったんだと思います。海外に出ると日本人は弱い立場の人種なのかなと思っていましたが、海外の方と接していると、どれだけ日本人が素晴らしい人種かということが分かりました。人を思いやり、暖かい心を持っています。

「冨永愛さんにとって「ファッション」とは?」
“魔法”です。自分が何を着るかによって気分も変わりますよね。ウェディングドレスだったり、着物を着ると所作が綺麗になったり。そんな力が服にはあると思いますので“魔法”という言葉がピッタリですね。服は時に自分を守る盾にもなるし、最高の自分にもなれる、いかようにも変身できるものですね。