10月26日よりシネスイッチ銀座にて公開する、大竹しのぶ主演「女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」の試写会付きシンポジウムが9月28日、明治大学中野校舎で行われました。

熊本県天草市牛深。かつては漁業と花街で栄えた町が、今や日本一の衰退都市に。町は働く場所もなく、若者も帰って来れない、大学進学した娘にも仕送りもしてやれない・・・・口ばかり達者で動かない男性を尻目に、家族のため町のため、女性たちが立ち上がる物語。

明治大学は地方連携に力を入れており、映画の舞台となった熊本がコラボレートし、本講座が成立。映画でも描かれるように過疎問題を抱える熊本県天草市と、大企業や大学の誘致で発展を遂げる一方で、古くからの商店街もあり、独自のまちづくりを続ける中野区を例に、本作から見えてくる今の日本のまちづくりの有り方と、これからを考えるシンポジウムとなった。

当日は、本作にも登場する牛深ハイヤが実際に披露され、今大人気の「くまモン」も登場。映画「女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」上映後、シンポジウムが行われました。
登壇者は、安田公寛天草市長、田中大輔中野区長、青木武中野ブロードウェイ商店街振興組合理事長、本作の映画プロデューサーである小泉朋プロデューサーが出席。明治大学副学長の長尾進氏がコーディネーターを務めた。

安田天草市長は、「いま、天草でも(まちづくりにおける)女性たちのパワーというのは見直されつつある」と語り、映画でも登場する女性たちのホスピタリティが町の「資源」となり得るとの発見から、人材育成に取り組む天草の戦略を紹介。

田中中野区長は、本作について「里・まち連携を中野区としても進めているので、映画の中で描かれるような活性化への動きを見て、日本全体が地域活性化をどのように考えているかを実感した。東京・中野も都会だからといって人間関係が薄いというわけではなく、昔から住む人、一時的に住む人、仕事や大学などで通う人などいろんな人がいるので、地域の活性化には同じものを抱えている」と語り、民間の活力を刺激するような行政の働きが大切との見解を示した。

一日4万人もの人が訪れるブロードウェイ商店街を古くから見て来た青木氏は「『子供を地域で見る』ここに凝縮されていると思う。私の子供時代も同じ様な経験がある。天草だけに特定されるものではなく、日本人の感性の根底にあるもの。ふるさとを思う気持ちは変わらないが、その受け皿をどう作るか。若い人たちが地元に帰ってくるために努力をしないといけない」と語り、大規模流通が成立する今の日本における商店街やコミュニティの有り方が文化発信へと舵をきっていることを語った。

小泉プロデューサーは、「天草の女性をテーマにした映画にしたいという企画者の熱い想いからスタートした映画。地元で取材をしたところ、子供がまた地元に帰ってきてほしいかと20人に聞いたら、19人が『仕事がないから戻ってこなくてもいい』と答えた。「女たちの都〜ワッゲンオッゲン〜」では、『帰ってきてほしい』と答えた1人のお母さんの痛切な思いスポットをあて、その役を大竹しのぶさんに演じていただいている。」と語った。