昨年の東京国際映画祭でサクラグランプリ&監督賞をダブル受賞した『もうひとりの息子』。10月19日からの公開に先駆け、高輪のユニセフ・ハウスで、「ユニセフ・シアター 国際平和デー記念『もうひとりの息子』特別上映会」が開催された。

「国際平和デー」とは国連が定めた日で、毎年9月21日を「国際平和デー」として、この日1日、世界中にあらゆる戦争・紛争・対立などの敵対行為を停止するよう働きかけている。
紛争によって引き裂かれたイスラエルとパレスチナの赤ん坊の取り違えという衝撃的な事実に向き合い葛藤するふた組の家族の姿を、それぞれの目線で丁寧に映し撮った本作は、「国際平和デー」にまさにぴったりだと、対立を越えた絆の強さと希望のメッセージに共感した日本ユニセフ協会によって、今回の特別上映会の開催が実現した。

映画として質の高さとともに、奇しくも、同じ取り違えを題材にした映画『そして父になる』が公開中であることから、見比べたいという声が多くあがり、公開前から注目度も高い『もうひとりの息子』。その評判もあり、この日の特別上映も場内は満席。まず、ユニセフ協会の親善大使を務めるアグネス・チャンさんが昨年訪れたパレスチナの現状を報告、続いて、この日に来日したロレーヌ・レヴィ監督の挨拶をし、本編が上映された。

そして、映画が終わると、満席の場内は感動と涙の渦。上映後のトークでは、レヴィ監督が、脚本に何と3年もかけたことを告白し、それでも、撮影前の準備で4ヶ月現地に滞在し、さらにフランス在住のアラブ人作家を脚本監修にむかえたこと、撮影中にもイスラエル、パレスチナ、またユダヤ教、イスラム教、クリスチャン、さまざまなミックスで構成されたキャスト、スタッフの意見を取り入れて制作したことなど感動の名作の誕生秘話を語った。

トークの後には、来賓ゲストとして来場したパレスチナ大使ご一家とイスラエル大使ご夫妻も登壇。それぞれが映画『もうひとりの息子』の感動を語り、長く対立している国の大使が同席するという、信じられない奇跡に観客は目を見はっていた。パレスチナ大使は「こんなに素晴らしい映画を作ってくれたレヴィ監督に感謝をしたい。私には5人の子供がいます。皆に良い人生を送って欲しいし、それは隣国イスラエルも同じ。共存することは可能。こうして私はイスラエル大使の隣に立っているのですから。」と述べ、それを受けたイスラエル大使は「イスラエルとパレスチナを描いた映画は数々あったが、どちらか一方を非難する内容だった。しかし、この映画は違う。この映画が示すように、互いに尊敬し合い、解決の道を探すことは可能だと思う」とコメント。両大使は、レヴィ監督と熱い抱擁を交わし、そして、大使同士が固い握手を交わす場面も。その様子をすぐそばで見ていたアグネス・チャンさんは「今日、この瞬間に立ち会えたことにとても感謝しています」と感激の涙が止まらない様子。観客たちも、この奇跡のような瞬間に、感動しきりだった。
映画『もうひとりの息子』は、10/19(土)よりシネスイッチ銀座で公開される。この秋、東京・銀座から感動の波が全国に広がることだろう。

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