9/21(土)満員となり補助席まで出たシネ・ヌーヴォに、野火明監督、キャストの黒田耕平さん・岡本裕輝さん・蓮尾卓美さんが舞台挨拶に立った。
『蟻が空を飛ぶ日』は、自主製作映画「ダイヤモンドと月」で1992年にゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞した野火明監督が、劇場公開作品「シークレット ワルツ」(95)より、約15年ぶりに撮り上げた長編。3月に東京公開を終え、関西初公開となった。

野火監督の舞台挨拶は「蟻が空を飛ぶ日は自主映画です。自主映画をあまりご覧になったことがない方が多いと思うんですが、一般的に監督が自分で制作費を工面して作る様な映画のことを言います」
と、自主映画の説明から入ったため、すかさず主演の黒田さんから
「僕達しゃべっても大丈夫なんですかね?」と突込みが入り
「もうちょっとだけ」と答える野火監督に会場から笑いが起こり和やかなムードとなった。

「TVで宣伝してるような有名な役者さんが出てる大きい映画もありますが、こういった自主映画もあります。
自主映画はなかなか映画館でも掛かりにくく、大阪での上映は難しいかなと諦めかけていましたが、シネ・ヌーヴォの山崎さんが“面白いのでぜひ公開させてください”と言って下さりありがたい限りです!」
と、公開に至る苦労と劇場への感謝の言葉を述べた。

「面白い映画をみんなに観てもらいたくて制作しましたが、役者の彼らにはほぼノーギャラで出て頂きました。
こういう素晴らしい役者がいないと日本映画はダメになって行きます。私たちは結構底辺なんですけど(会場爆笑)、この映画をきっかけにどんどん有名になって行きますので、今回観て頂いて面白かったと思うだけでなく、ネットでつぶやいて頂ければ」

東大に通いながら殺し屋の組織で優秀に仕事をこなすクールなキャラクター・健二を演じた黒田さんは
「この映画に出ていてテレビにもあまり出ていない黒田浩平です!」と大阪出身ならではの突っ込みぶりで会場を沸かせた。
「僕たちの気持ちは監督が話してくれましたが、確かに僕たちはテレビにもあまり出ていないし、知名度があるわけではないです。でも心のある映画をこれからも作り続けたいと思います。そういう志を持った映画館の方々と一緒にこれからも文化を発信し続けたいと思います」

健二の同僚・間中を演じた岡本裕輝さんは、これから2週間のレイトショー公開になる『蟻が空を飛ぶ日』を盛り上げる作戦を観客に伝授。
「今日帰りにチラシを電車で出して、『蟻が空を飛ぶ日』、すっげえ面白いぞと大きい声で言ってください(笑)。この作戦を別の映画でやってもらったら、当初東京郊外だけの公開が11月に新宿でも公開が決定したんです」と、ロングランへの期待を込めた。
「初日に来て頂いたご縁でぜひご協力頂ください!」

吉倉役の蓮尾卓美さんは、東京で単館の映画館がどんどん閉館している厳しい状況に触れ
「映画という文化を残して行かないと。テレビでは言った言葉の下に字幕が出ますがどうでしょう?あれでは子ども達が発想できなくなってしまう。映画を観て子供達の感性を広げて行って欲しいと思います。
僕たちは映画人として、いい映画を流してくれる単館の映画館の皆さんに感謝をしながら、観客の皆さんと一緒に盛り上げていきたいです」
『蟻が空を飛ぶ日』は、制作期間と映画祭への出品や劇場との交渉を含め、公開まで5年かかったことに触れ、
「観るとちょっと僕たち老けてます。その辺も楽しんで頂けたら。映画って撮り終わって完成ではなく、上映してお客さんに見てもらってどんどん成長するものだと思いました。5年6年越しのこの映画、絶対退屈はさせませんので!」

上映は10/4までを予定。また2回に渡りミニトークショーも開催する。9/24(火)20:30の回上映後に野火明監督、喰始(たべはじめ)さん(劇団WAHAHA本舗主宰、放送作家、演出家)、 10/3(木)20:30の回上映後に野火明監督、石田アキラ監督、染谷有香さん(女優・タレント・パノラマ党所属)を予定している。
ぜひこの機会に劇場にお越し頂きたい!

(Report:デューイ松田)