10月17日(木)より開催の第26回東京国際映画祭に先駆け、本日、第二回記者会見を行いました。
今年は93カ国1,463本のエントリーの中から15本をコンペティション部門に選出。その内『ほとりの朔子』と『捨てがたき人々』の2本が日本映画から選出され、ゲストとして『ほとりの朔子』より深田晃司監督と二階堂ふみさん、『捨てがたき人々』より榊英雄監督、そして第26回東京国際映画祭のフェスティバル・ミューズの栗山千明さんが登壇致しました。

■場所:六本木アカデミーヒルズ49F タワーホール(港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー)
■出席者:東京国際映画祭 ディレクター・ジェネラル       椎名 保
     公益財団法人ユニジャパン 事務局長    西村 隆
     特別招待作品 プログラミング・ディレクター/東京国際映画祭 事務局長 都島 信成
     コンペティション プログラミング・ディレクター  矢田部 吉彦
     アジアの未来 プログラミング・ディレクター    石坂 健治
■登壇者:栗山 千明  — 第26回東京国際映画祭 フェスティバル・ミューズ
     榊 英雄   — コンペティション部門『捨てがたき人々』監督
     深田 晃司  — コンペティション部門『ほとりの朔子』監督
     二階堂 ふみ — コンペティション部門『ほとりの朔子』主演
■司会者:笠井 信輔
     東京国際映画祭 事務局次長 井原敦哉(敬省略)

第26回東京国際映画祭ディレクター・ジェネラル 椎名保のご挨拶
第26回東京国際映画祭まであと一ケ月。2010年東京オリンピックは7年後だが、それまでの7回ある東京国際映画祭を毎年盛り上げていきたい。オープニング作品『キャプテン・フィリップス』主演の俳優トム・ハンクス、PS3とのゲーム分野のコラボ『BEYOND: Two Souls』では女優エレン・ペイジに来日頂きオープニングを、『清須会議』の三谷幸喜監督他豪華俳優陣にはクロージングを飾って頂くことになり大変期待している。また、土日の使い方を工夫しファミリーなど多くの方に足を運んでもらえるイベントを多数企画している。グリーンカーペット。新たなロゴ「ハート・ムービー」は作品や製作者の心を表現するものだが、心からのおもてなしを実現したい。

各部門の審査委員が決定いたしました。(敬称略)

コンペティション国際審査委員長 チェン・カイコー(映画監督)
コンペティション国際審査委員 
   ムン・ソリ(女優/韓国)、クリス・ブラウン(映画プロデューサー/オーストラリア)、
   クリス・ワイツ(映画監督/アメリカ)、寺島しのぶ(女優)の4名

「アジアの未来」 審査委員
   青山真治(映画作家)、ジェイコブ・ウォン(香港国際映画祭キュレーター)、野島孝一(映画ジャーナリスト)の3名

「日本映画スプラッシュ」 審査委員
   パオロ・ベルトリン(ドーハ映画協会 アジア・オセアニア地区作品担当)、
   クリスチャン・ジュンヌ(カンヌ映画祭代表補佐)、瀬々敬久(映画監督)の3名。もう1名は決定次第発表。

第26回東京国際映画祭 コンペティション国際審査委員長 チェン・カイコー氏からのメッセージ
審査委員長に選ばれてとてもうれしく思っています。映画づくりは厳しい仕事で、どんな作品でも大変な苦労を伴います。ですから私たち審査委員はすべての作品に等しく敬意を表します。その中で真に優れた作品が受賞します。優れた作品には卓越した才能が必要です。才能なしには何も生まれません。しかし才能よりも大切なものがあるような気がします。それは作り手が持つ個性的な世界観だと思います。不思議なことにそういう世界観は、キャリアの浅い段階の作品に見受けられることが多い。ですから若い監督の作品に注目したいと思いますし、サポートできることを願っています。10月に六本木で会いましょう!

榊英雄監督ご挨拶
歴史ある東京国際映画祭のコンペティションに参加でき光栄です。2008年には『僕のおばあちゃん』で参加し今回はコンペティションでの参加で違ったドキドキ感が。原作者のジョージ秋山氏のご子息が同級生だったこともあって意気投合したこと、また原作のストーリーが自分自身の課題にも繋がっていて、この映画に取り組むことになりました。出身の長崎県五島列島での撮影敢行となったのですが、もともと映画『悪人』で有名になったロケ地である大崎灯台の周辺が地元。自分自身としてもルーツを探る作品もなりました。だから大崎灯台を撮りたい気持ちもありましたが敢えてその気持ちは封印。撮影中、地元の同級生たちに「お米を持ってこい」などこき使い、嫌われてしまったかもしれませんが、地元の支援あってこその映画ができました。

深田晃司監督ご挨拶
以前、東京国際映画祭には、日本映画ある視点部門に『歓待』という作品で参加させて頂きました(東京国際映画祭 日本映画ある視点作品賞を受賞)。この作品で東京国際映画祭に戻ってくることが出来て光栄です。前作『歓待』を東京国際映画祭で上映して頂いてから海外での上映機会が増え、作品とともに世界中を旅させてもらいました。東京国際映画祭との縁で世界を学ばせて頂いたと言えます。

二階堂ふみさんご挨拶
大きく楽しい映画の祭典に参加できてうれしいです。浪人生のヒロイン役で会話劇ですが、現場で突然台本を渡されることもあったので、現場の合間に共演の鶴田真由さんと一緒に練習していました。演出に関しては、監督自らが実際に動きをみせてくださったりしてとても楽しかったです。

≪本年度の作品の説明≫

コンペティション部門 プログラミング・ディレクター 矢田部吉彦
コンペティションにはその年の世界の秋の新作をご紹介する意味合いがあります。トロント国際映画祭でワールド・プレミア、東京国際映画祭ではアジア・プレミアという感じです。また、様々な国・地域を含めること、幅広いジャンルを取り扱うこと、新人監督作品もベテラン監督作品も織り交ぜることにより、バランスを意識しています。同時に、1000本以上の応募作品の中からクオリティーの高いもの、つまり監督の指紋が映像に刻印された、表現者の個性・スタイルが詰まった作品を選ぶことも、原点に返って重視にしています。そして、古い体制や古い常識と「闘う」「抵抗する」映画、映画監督の姿勢としても「闘う」という。コメディからさすお延巣まで幅広く紹介しており、肩肘張らず楽しんで頂けたらよいと思います。

特別招待作品 プログラミング・ディレクター 都島信成
本部門は映画祭の中で最も盛り上げていく部門で、今年は洋画、邦画ともに11本とバランスがとれた選出となりました。アニメを意識して日本のアニメを選出したのも今年の特徴です。海外ゲストの来日も予定しており、映画の祭典にふさわしいものになります。グリーンカーペットでは連日イベントを企画し、映画を観なくてもアリーナに来れば誰かに会えるような映画祭にしていきたいです。

アジアの未来 プログラミング・ディレクター 石坂健治による説明
本部門はチャレンジングな部門です。その理由としてヤングシネマの精神をよみがえらせたいということ、全体的に応募本数が伸びていて、1本目2本目の監督が数多くいます。その点を踏まえ、アジアのコンペティション部門を作れるのではないかと考えました。本部門の作品数は8本なので丁寧に紹介し、日本に広めていきたいと思います。監督の傾向としては、監督の価値観がしっかりとしていて個性が出ている作品が多くあります。東京発の新しい才能の発掘をしていきたいと思っています。

女優の栗山千明さんに第26回東京国際映画祭の「フェスティバル・ミューズ」にご就任いただきました。

栗山千明さんご挨拶
日本と世界を結ぶ映画祭のお手伝いをさせていただけることは光栄です。日本の文化を広めることももちろん大切ですが、様々なイベントを通じてより日本を知って体感してもらえればと思います。

<質疑応答>

Q)映画祭というより映像を核としたエンタテインメントの祭典ということか?サブカルチャーなどをコンテンツとして、映画祭としての色を変えていくのか?

A)椎名:敷居が高いと思われている映画祭の認識をかえたい。ファミリー層を含め、一般の方々にも喜ばれる映画祭を目指したい。日本のサブカルチャーを海外に発信し、それを含めた映像文化や日本文化を国内外に提供していきたい。

Q)昨年は日中問題がありましたが、今年は国際審査員としてチェン・カイコー氏も決定している。作品出品を含めて中国から参加してもらえる自信はあるか?

A)矢田部:今年は全く問題なく、出品プロセスも順調で、ゲストの来日も前向きに検討してもらえている。