9月11日新宿バルト9にて、永作博美主演最新作『四十九日のレシピ』の完成披露試写が実施され、永作博美、石橋蓮司、岡田将生、二階堂ふみ、タナダユキ監督、さらに、主題歌を担当した安藤裕子が舞台挨拶に登壇した。登壇直後、永作出産復帰後の初の舞台挨拶ということで、観客から「永作さん、ご出産おめでとうございます!」というサプライズ歓声が!永作は、「ビックリしたー!育児に仕事に頑張ります」と満面の笑みで応え、舞台挨拶がスタート。

■日時 9月11日(水) 
■場所 新宿バルト9 
■登壇者:永作博美、石橋蓮司、岡田将生、二階堂ふみ、安藤裕子、タナダユキ監督

 本作は亡くなった母の「幸せに生きるためのレシピ」を通じて、残された家族が様々な心の傷を抱えながらも、再生に向かっていく物語を、繊細な描写に定評のあるタナダユキ監督が温かく描いている。母を亡くし、自らも人生の壁にぶつかってしまっているという困難をたくさん抱えた娘・百合子役を演じた永作は、原作を読んだ時に「おっか(母)が四十九日を盛大にしてほしいという願いが印象的でぜひ私がやりたいと思った」と出演を承諾したきっかけを明かす。「いろんなことを背負っていきている人でリアリティを持って演じるのは難しいなと思った」と百合子の第一印象を語り、「キャストみなさんに助けてもらった」と感謝の意を述べた。頑固で口下手で不器用という典型的な昭和の父・良平役を演じた石橋は、永作とは初共演であったにも関わらず、「最初の撮影は、百合子が実家に帰ってくるシーン。私の前に座る佇まいだけで、自然と『なんで帰ってきたんだ』という言葉が出た。可愛いけどやっかいな娘が帰ってきたなと恐怖に陥った」と、親子そのものの関係に自然となれたという。

 日系ブラジル人の青年ハルというとても難しい役を演じた岡田は、「日経ブラジル人は初めてで(笑)。僕に声をかけてくれたのは試されているのかと思いました」と観客に笑いを届ける。岡田の自然な演技にタナダ監督も驚きを隠せなかったようで、「私も初めの日系ブラジル人で一番不安な役でした。岡田さんは素直なものを持っている方なので、肩ひじ張らず、素直に演じてもらえればいいんだなということを感じました」とコメント。さらに、岡田は「ボニータ!」と顔芸つきでハルになりきって発表!恥ずかしそうに顔を真っ赤にする岡田に、永作が「自然で素敵」という優しい言葉をかけ、場内は和やかなムードに包まれた。百合子と良平の元に突然現れるロリータファッションの少女イモ役を演じた二階堂は、「ロリータの服が好きで監督と衣装さんと話をしてイモを創り上げた」とファッションへのこだわりを見せる。石橋からは「非の打ちどころのないぐらい役を演じている。普段のふみちゃんはよく映画を見ていて勉強熱心!彼女から教わることも多く、演技とのギャップが面白かった」と、二階堂の一面を明かした。

 本作の撮影は岐阜県で冬の季節に行われ、ロケにもこだわりをもつ。「家も登場人物のひとり。沢山ロケハンして決めました」というタナダ監督。さらに、「私がファンで料理はナカシマシホさんにお願いしました。まかないもおいしくて!」と振り返った。

 本作の主題歌は、ハワイアンの楽曲「アロハオエ」。今回、監督からのオファーで、安藤裕子が本作のために歌詞を書き下ろしている。「永作さんのラストの表情を見て、歌詞がすとんと降りてきた」という安藤の優しい歌声で映画の世界を包み込む。「安藤さんの力強くて優しく包み込まれる感じは気持ちいい。初めて聞いたときちょっと涙がでました」という永作のコメントに、安藤は照れ笑いをしていた。

 本作のタイトル『四十九日のレシピ』は、亡くなったお母さんが遺したレシピ。今回、それぞれの人生のレシピを発表!「明日の為のレシピ。過ぎたことは忘れる」(永作)、「ちくわのレシピ。撮影後、ちくわの似たものを食べると明日の糧になる。レシピは後日発表します!」(石橋)、「休日のレシピ。だらしない性格なので休日前に必ずスケジュールを書く」(岡田)、「1日だらだらのレシピ。ベットの上で食べて寝る。幼稚園から続けてます」(二階堂)、「決めごとのレシピ。ブルース・リーのように考えずにただ感じるようにして決めるようにしている」(安藤)。それぞれの個性的なレシピに監督も微笑みながら「参考にします」と語るとともに、会場からは笑いがもれていた。

 最後に、「いろんな思いを抱えながらもなんとか自分の意思で生きていこうする人の作品を楽しんでほしい」(監督)、「小さいことや大きいことたくさんの思いを抱え、人に助けながら乗り越えていく作品です。この作品で何かを乗り越えられるヒントになれば」(永作)とメッセージをおくり、イベントは終了した。