■上映後トーク
※ 上映後トークよりマキタスポーツさんが登場。途中から客席にいらっしゃったダイノジ大谷さんも参加されました。
※ 一部ネタバレがあります。

中井:(終映後に)われんばかりの拍手が起きてましたね。(会場改めて拍手)
マキタ:じわじわ今きてる方も多いかもですね。
中井:映画、いかがでしたか?

マキタ:これは夜寝られなくなるね。人って生きて行く中でいろんな感情を整理整頓するものだと思うけれど、「この感情には蓋をしておこう」みたいなのがパカっと開いちゃった、そんな感じ。もうずっとしまっておくはずだったのになぁ(笑)。映画を観た後つまらんことをいろいろ思い出してね。何度も体を掻きむしりながら、色んなことを思い出してしまいましたね。男の人には特に観てほしいなぁ。女性はまた全然違うと思いますよ。

中井:男女どちらにも響くポイントがあると思います。

松崎A:クライマックスはもう雨あられなんですよ。良い映画のパターンに、一度目より二度目の方がくるというのがあるのですが、これは見事にその公式があてはまってます。分かっているのにまた涙が溢れてしまうという。10年前に観ていたら、ここまでかき乱されなかったかもしれないですね。出会いの1本です。

松崎B:叶わなかった過去を描いているようにみえて、実は叶えようとしなかったことを描いていると思う。思ったことって今行動しなきゃいけないんじゃないかなと感じさせられますね。2回観るとまた色んなことがみえてきますよ。映画の冒頭、シャツの背中にはいっぱいペンで突いた跡がありました。これってどういうことか?ペンで突く=彼女がどれだけ彼のことを考えているかがモノとして残っている。その分だけ彼のことを想っていたということですよね。

マキタ:僕はまだ1回しか観ていないんで、そうか!そういう点もあるのか〜。

中井:9月14日公開ですからね。気になった方はぜひまた劇場で確認してください。
感動してしまうポイントと言えば・・・皆さんあのキスシーンを思い浮かべますよね?僕は今年観た数々のキスシーンの中で最高なんじゃないかと思いますよ。

マキタ:脚本の妙ですよね、フリオチばっちりで。しかもじわじわ持続する、この耐久性はすごいよなぁ。オーガズムがずっと続くというような(笑)
松崎A:画と音楽で説明が要らない、これすごいですよね。
中井:映画的な表現ですよね 文章表現とはまた違う、映画だからできる絶妙な表現がありました。
マキタ:映画史的にも残るキスシーンなんじゃないでしょうか。
松崎A:残ると思いますよ。非常に意味のあるキスシーンですからね。
中井:その1回のキスにどういう意味を込めるか、どこにポイントをもってくるか、おとしどころが上手くて。構成が素晴らしい。
あのシーンがなかったらこの映画はもう1ランク下だったと思う。

松崎A:「付き合おう」と言うシーンも良かったよね。
マキタ:やべえ。思い出し泣きしそうになってきた(笑)

松崎B:監督は少年ジャンプをよく読んでいるらしくて、喧嘩のシーンはドラゴンボールのオマージュだそうですよ。
そしてあのシーンの彼女のTシャツも重要。その後ふたりが結ばれるかどうかの分岐点でもあるんですよね。「あ、着てきたんだ」とか言わないだよなぁ、コートンは。

マキタ:ほんとドジか!精神年齢9歳か!馬鹿か!と思いましたね。でも僕も同じような経験が・・・。高校のとき僕に好意を抱いている女の子がいて、その子とたまたま暗い夜道をふたりで歩くことがあったんですが、僕は高校生にもなって木の棒持って(棒をたわあませ)、ぶいーーーんと遊ぶだけで、ちゃんと話すことができなかった。その記憶やその時の感情には蓋をしていたのに、思い出しちゃって…。もう身悶えしてましたよ。

中井:ここで、もうひと方。今日はこの方が遊びに来てくれました。ダイノジの大谷さんです!(会場拍手)
大谷:もううっとりしちゃって。まだ人の前で感想を言うのはイヤですね(笑)みんなで泣くとか苦手なタイプなんですよ、僕。

マキタ:いつか『ハングオーバー』をたまたま同じ場所で観て、離れたところで観てたんですが、お互いに号泣してたんですよね。照れちゃってそのまま感想も話さずに帰ったことがありましたね(笑)

大谷:僕なんか大学生のとき、童貞の友達しかいなかったんですよ。ちょうど94年のことだったと思うんですが、その友達たちと30本の映画をずっと観る、ということをやりました。で、せっかくだからグランプリを決めようと。童貞4人のグランプリは(笑)イーストウッドの『許されざる者』、もう1本は『欲望の翼』でした。特に『欲望の翼』は衝撃的で、トニーレオンのシーンでその経た“時”を見せる演出と、『あの頃〜』の冒頭の部分がそっくりだなと思いました。あとはカットバックってあまり好きではないけれど、この映画のカットバックはズルくなくて素晴らしい。
ギデンズ・コー監督もそうだし、『パシフィック・リム』にしても、オタクが映画監督して時代を制してますよね。これ、恋愛版『パシフィック・リム』って言ってもいいんじゃないですか。オタクの好きという気持ちとか、幼児性とか、作品に昇華できるってすごいな、と思います。
僕は中高とずっと好きだった人がいて、上京するときに「帰ってきたら結婚してくれ」って言ったんですが、そのこその3ヵ月後にできちゃった結婚しちゃってw
芸人になってからどっきりで再会したときに番号交換してから、時々メールで相談されたりするんですが、ちょっと下心もあるしカッコつけたいしで「好きなことならやってればいいんじゃない」とか上から目線で返答してます(笑)

中井:この映画、どういう人に響くんでしょう?
マキタ:モテてたやつはどうなんだろう?毎度恋愛を成就させてた人とか。
中井:僕は残念ながらモテてはないのでわからないですが…、見えてる景色は違うけれど、そんな中でも人それぞれ似たような経験はあると思いますよ。
松崎B:そういう人は映画を観にいかないんだよ。観にいく人種じゃないんだよ!(会場笑)
大谷:じゃあ今日ここに来てる人たちみんなどうなんですか!(笑)

松崎A:そういえば、ヒロインのミシェル・チェンはこの撮影時28歳くらいだったそうですよ。
中井:監督はミシェル・チェンのことがすごく好きらしく、カメラを通してじゃないと見れないとか(笑)
大谷:オタクだねー!
マキタ:ポニーテールにしてきたシーンとか、それ分かるよね。
全員:わかるー!(笑)

マキタ:本当にかわいいかというとちょっと違って、まだ原石なんだけど、そこがまた良いんですよね。僕あの童貞どもと同じ目線で見てましたよ。ああいうベタなものも、ちゃんとグッっとこさせてくれるところがまたこの作品の良さ。最近何でも斜めに見がちじゃないですか。総じて良いボケの映画。観てる側が「おいおいー」とツッコミたくなる。