8月22日(木)より開催されているモントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に出品された綾野剛さん主演映画『シャニダールの花』の上映にあたり、8月24日(土)(日本時間 8月25日 日曜日)、石井岳龍監督が舞台挨拶を行いました。

石井監督は本映画祭へは、『逆噴射家族』での出品にあたる舞台挨拶から28年ぶりでの訪問。滞在は2日間と、かなりのタイトスケジュールでしたが、野外上映されている『007 スカイフォール』や地元メディアや海外の監督との交流を楽しんでいました。上映後、監督の大ファンであるという女性からサインや写真撮影を求められるなど、大きな反応がありました。

 今回、綾野剛さんの主演作が海外映画祭へ招待されることは初となり、「新たな世界で新たな眼差しで、観ていただけると思うと感謝しかありません。海外の皆様の脳内が石井監督の映画でどのように侵食されていくのか、楽しみです。」とコメントを寄せました。残念ながら、綾野さんは『ガッチャマン』の初日と重なり、映画祭の渡航は叶わずでしたが、自身の作品が海外で上映されることに、大きな期待をよせ、(『ガッチャマン』と)同タイミングにこうして海外での上映も幕をあけたことを喜び、石井監督へエールを送りました。

 上映後の舞台挨拶では、次々と観客から質問が飛び交い、予定時間をオーバーするほど。観客からは、「とても美しく花を描いているにも関わらず、音楽は激しいサウンドで、どこか恐ろしさも匂わせているように感じました。監督にとって、花とはどういう存在ですか?」という質問に対して、「私にとって花は、美しいと同時に、とても怖い存在でもあります。というのは、花というのは人間や動物のように、何かを行動的に主張することなく、ただそこに”在る”だけなので、多くの人にとっては、それが人間より弱者として、認識されてしまう。でも、本当にそうだろうか?人間は進化したと言われていますが、遥か昔から存在する植物の方がずっと生命力にあふれるものだと思うんです。この投げかけを観客の皆さんにしたかった」

 このような映画の内容面に深く食い込む質問が多い中で、若い女性からは、「主演の男性がとてもよかったが、彼を起用した理由は?」という質問があがり、石井監督は、「彼はとてもスマートで、かつミステリアスな影と色気を持つ、今日本で最も人気がある俳優さん」と回答し、大きな拍手が起こりました。その人気は、日本だけでなく海外へでも不動であるこの反応を受け、石井監督も喜びを隠しきれないご様子。「撮影現場で、綾野さんの演技に対するアプローチはもちろんのこと、様々なプロモーションの場において、彼の語る言葉にも助けられたと思う」と語り、映画祭でのお客さんの反応を受け、改めて振り返っていました。