— 劇中のオカルト研究部(通称:オカ研)が、劇中で今日子(未来穂香)を呼ぶための儀式を再現。オカ研役の大津尋葵、ばしゃーん雅之、北川絢椛の3名が太鼓を叩き叫びながら、ステージ上へ。しばらくすると未来穂香がステージに。

登壇者:未来穂香、大津尋葵、ばしゃーん雅之、北川絢椛、吉田康弘監督 (敬称略)

未来:はじめまして、わたし今日子です。(劇中と同じ台詞)

オカ研:今日子ちゃん、制服じゃないじゃん!

未来:今日は舞台挨拶なので。

吉田:カット!カット!ちょっとその寸劇、もうやめましょうか。場内の反応も良くないので、ちょっと短めに切り上げさせていただきました。

場内爆笑

MC:またすべりましたか。今日は横浜から3回舞台挨拶に周ってきて、今回こそすべらないと思ったんだけどね。

大津:気持ちだけが空回りしました、すみません!でも、やりきりました!

MC:まあええわ。それではみなさん、お一言ずつお願いします。

未来:みなさん、こんにちは。タイムプリズナー今日子役の未来穂香です。

吉田:監督の吉田康弘と申します。今日は宜しくお願いします。

MC:未来さん、今日子という役は難しかったんじゃないですか? 60年前から時間に取り残されて生き続けている役で、未来さん自体は平成生まれ。どんな所に気を付けました?

未来:そうですね。まずは外側から入りました。現代っぽい身振り手振りが出ないよう、ゆっくりとしゃべりました。昭和の女の子はきっとそうですよね。簡単に言うと、おとなしい女の子というイメージで演じました。

吉田:そうですね。登場人物たちのなかで一人だけ時間の流れが違うというか、悠久の時が流れていますからね。言葉遣いとかテンポは他の三人とは違ってきますよね。演出的には、修太とのコミカルなやりとり。例えば上半身裸を見て照れるとか、そういうところも昭和の女の子っぽい部分ですよね。とてもメリハリのある役だったと思います。

MC:監督的に今日子役を未来さんに決めたのは、どんな決め手があったんですか?

監督:まず今日子という役は、現代の子というよりは古風で奥ゆかしいというイメージがありますね。そういった点も未来さんにはありますし、クリリとした目が印象的だった。あとは身長の高い修太(福士くん)とのツーショットの画を考えてマッチングしていたので。

MC:未来さんは役が決まった時はどんな気持ちでした?

未来:嬉しかったですけど、昭和の女の子って聞いていたので、これは徹底的に考えないとダメだなと思いました。なので、嬉しい反面、覚悟を決めて挑みました。現代では使わない単語、普段使わないSFの単語だったりもありましたし、

吉田:脚本のなかでも、あえて古めかしい言葉にしてたりね、

未来:はい。何度も噛みそうになりましたね。あとは、図書館の本すべてを2回以上読んでるというくらい知的な女の子の役なので、知的さも意識して演じました。

MC:台詞も長いものが多かったですよね。劇中では、あそこにいるオカ研とは絡みは無かったですよね。今日、絡んでみてどうでした?

未来:撮影現場で少しお話しましたが、イイですね、オカ研の雰囲気!楽しそうだな、って思ってました!

監督:入部したい?

未来:はい。今日子ちゃんを一緒に呼び寄せたいですね。

オカ研:今日子ちゃんなのに…。笑

未来:別の役で。笑

監督:オカ研は高校生っていう設定なんですけど、たまに撮影の休憩中に素の三十路の顔になってる人がいました…。笑

MC:今日子ちゃんを演じてみて一番印象にのこっているシーンは?

未来:最後ですね。全てを知ったうえで同じ結末に向っていく修太を見て、なにを想うのか。「わたしだけは味方だよ」って気持ち、修太の心の支えになる存在なんじゃないかなって思ったので、特に思い入れがあります。

監督:たしかあのシーンは2テイクでしたね。短い時間のなかで集中してやってくれました。どっちのテイクも素晴らしかったんですけどね。撮った側も感極まってるので、やっぱり思い入れは強いですよね。

MC:今日子ちゃんの想いがよく分かるシーンで泣けますね。

監督:今日子役に対しての思い入れは、原案・脚本の小林さんも然り、スタッフたちもすごく強いんです。どういうふうに撮ろうかとか、照明にしても、今日子ちゃんをどう魅力的に撮るか、一番悩みました。未来さんの演技とのマッチングもあって、ちょっとミステリアスな魅力のある役になったと思います。

MC:あえてCG的な要素は入れずに、空間が生きていますね。

監督:とても新鮮な役として描けました。ありがちなストーリーと言えば確かにそうですけど、この作品のなかで今日子ちゃんという存在は、この映画の特別な個性だと思います。

MC:実は、原案・脚本の小林さんの小説にはいろんなところでメインキャラクターとして今日子ちゃんが出ているんですよ。

未来:本当にやりがいのある役でした。

MC:作品を観て、オカ研の人たちはどうでした?

オカ研:素敵な人だな…って思いました。

MC:それ、役の話しじゃなくて一個人としてでしょ。笑

監督:踊り疲れと緊張で頭が回ってないですね。笑

MC:そういえば、未来さんは江ノ島には行ったことが無いとか?

未来:そうなんです、撮影中も学校のシーンだけなので一回も行けなかったです。撮影中の絡みも修太だけだったので、待ち時間もひとりでぽつんと、誰とも話すこともなく…。笑

監督:その一人で待つっていうことも、役作りだったんじゃないかな。笑

未来:すごく楽しかったです、その待ち時間も。笑

MC:難しかったシーンは?

未来:図書室で修太を説得しようとするシーンは難しかったです。それまで一歩引いた位置から話すというキャラクターで、台詞のテンポを気にしながら演じていましたけど、そこのシーンだけは唯一感情が強く表に出てくるので、どうすればちゃんと気持ちが伝わるのか考えました。

MC:監督はどんなふうに演出したのですか?

監督:今日子ちゃんは、時間に捕らわれているというだけで同じ人間なので、未来さんが言う感情の表現は気にしました。この人には自分と同じ思いはしてほしくないという気持ち。その気持ちが零れるというか。ちなみに、修太が図書室を出ていった後に今日子ちゃんが一人残されるシーンがありますけど、未来さんの芝居とその画の力が強すぎて、編集の段階でなかなかカットできなかったんです。顔を下げるまで切れなくて、長すぎるんじゃないかとも思いましたが、結局そこはそのまま残しました。

未来:嬉しいです。

監督:三人の青春の映画でもあるけど、とても素晴らしいスパイスになっています。

MC:最後に一言ずつお願いします。

未来:青春もあり、恋愛もSFもあって盛り沢山の内容ですが、何度観ても何か違うものを感じられる映画になっています。わたしの演じた今日子の存在感も、是非劇場で何度も観てください。

オカ研:「情熱が映画を作る」と監督がおっしゃっていたのを僕は覚えています。この映画は、まさに関わった全ての人の情熱で出来た映画だなと感じます。ですので、周りの方にどんどん宣伝していただいて、2度、そして3度見た時、また違った見方が出来るので、たくさんの方に劇場で見てほしいです。

吉田監督:この映画は小さな規模で始まった作品ですが、お蔭様で全国に広まり、たくさんのお客様が観てくださっていると聞いています。ここシネマート新宿は、わたしたちにとってホームグラウンドだと思っているので、今日もたくさんの若い方が来てくださって、とても嬉しいです。でも実はこの映画、昔懐かしの王道青春映画なので、かつて青春時代を送っていた方々が観ても、なんか懐かしいと思っていただける作品です。年配の方々にもたくさん観ていただければと思っております。ありがとうございました。

MC:お蔭様で観客数も1万人を突破しました。全国44館(2013年8月24日現在)での上映も決まっておりますので、可能な限りロングランになるように頑張りますので、皆様もご協力のほど宜しくお願いします。ありがとうございました。