7/27(土)シネマート心斎橋にて、映画『李小龍 マイブラザー』『アイアム ブルース・リー』の公開と共にブルース・リー没後40周年&『燃えよドラゴン』公開40周年記念の献花式が行われた。

イベントを企画したのは関西でオフ会として活動中の“関西李小龍影迷會 龍活”の原真一さん。70年代80年代にはよく行われた献花式をこの機会に復活させたいという思いで企画したという。ブルース・リーは1973年7月20日に32歳で亡くなった。コアなファンは香港でのイベントに参加する事を考慮して1週間ずらしての日程とした。

立ち見の盛況となった劇場は、50代〜40代の男性を中心に家族連れや女性の姿も見られた。
BGMとしてトム・ジョーンズの『見果てぬ夢』やセルジオ・メンデス&ブラジル66の『ルック・アラウンド』を始めとしたブルース・リーが愛聴していた曲が流れる中、原さんが司会を務め、壇上ではスクリーン前にコレクターとして有名な岡村純治さん所蔵のブルース・リーが愛用したサングラスが設置された。

ゲストしてブルース・リー愛好家として知られる3人が登壇。福島県から参加のロックバンドBLUEⅢボーカルでリーダーのベイビー佐々木さん、香港から参加の香港ブルース・リー・クラブ・海外プロモーション担当、ソフィ・ウエカワさん、東京から参加の芸人であり俳優のコンタキンテさんが献花しその後、会場の観客も起立して一緒に1分間の黙祷を捧げた。

「人生がブルース・リー」と語るソフィ・ウエカワさんは香港に10年以上単身で在住し、ブルース・リー・クラブの運営に参加。香港を拠点に世界中のブルース・リー・ファン拡大に努めてきた。そのきっかけとなったのは、“ブルース・リーの故郷がどんなところか観たい!”という衝動だったと言う。行ってみると香港の面白さに魅せられ、日本より自分に合っているのではと移住した。日本ではブルース・リーに敬意を表して先生や師匠のように扱うファンも多いが、香港では存在の捉え方が違っていた。

ソフィ:香港のみなさんはブルース・リーのことを自分のお兄ちゃんのように思ってるんです。普段の会話の中でも“ブルース兄ちゃんがね”と言った感じで、生活に溶け込んでいる。それが非常にインプレッシブでした。

原:香港にも僕や佐々木さんのような『死亡の塔』マニアは居るんでしょうか。

『死亡の塔』は『死亡遊戯』でブルース・リーのダブルを担当したタン・ロンを主演にしたウー・シー・ユエン監督作品。ブルース・リーの未公開映像収録を謳い文句にして、ブルース・リー自身のアクション・シーンはなく、あるのは会話のシーン、途中でリーが死んでその復讐に弟が立ち上がるというトンデモ映画。真面目なファンはこの映画のタイトルを口にするとき、一様に吐き捨てる口調になるといういわく付きながら、サブカル・マニアからはカルト的支持を集める珍作だ。

ソフィ:『死亡の塔』のマニアは聞いたことがないですね。(笑)

“BLUE Ⅲ”という名前のバンドのリーダーを務めるベイビー佐々木さんは、ブルース・リーの映画の曲は全く演奏しないスタンスをとっている。「ブルース・リーは、どんな先生より親より兄弟より、一番の先生」と語る。

原:音楽的にブルース・リーから得たものはあるんでしょうか。

佐々木:ブルース・リーは武道家として、あらゆる武道の一番強いところをスピリットにして一番凄いものを編み出しました。
私はロックンロールマンなので、いろんなロックンロールのかっこいいところを取り入れてやろうかと。未だに修行中ですから全然ブルース・リーになれていません!

原:音楽そのものに截拳道イズムがあるという。

佐々木:水のような感じでやりたいと思います。

ファンなら思わずニヤリとしてしまう会話も弾む。

コンタキンテさんは、江頭2:50さんと“男同志”というコンビを組んでいたこともで知られる芸人であり、俳優、空手家としても活躍中。ブルース・リーに憧れて小学六年から空手を始め、ブルース・リーを目指して俳優の道を志した。

コンタ:たまたま大川興業の公演を観て素晴らしい劇団だと思ったらお笑いの事務所で(笑)。ブルース・リーを目指すつもりがお笑い芸人になってしまった。そして相方はなぜか江頭2:50(笑)。

原:江頭さんのあのスタイルはブルース・リーなんですか?

初めて公開する話として、江頭さんが履いてるあのタイツは、元々コンタさんが選んで買ったものだと明かした。江頭さんの体の細さに下半身がピッタリとしてる方が面白いんじゃないかというアイディアだったと言う。

コンタ:よく考えると、タイツに上半身裸って『燃えよドラゴン』の地下の麻薬工場のブルース・リーと同じ(笑)。それが頭の何処かにあって、エガちゃんのあの格好に辿り着いたのかもしれません。

最後に一言と振られ、コンタさんはBGMがフランク・シナトラの『マイ・ウェイ』に変わったことを突っ込みを入れつつ、自身の10年前の離婚話に言及。

コンタ:辛いことは一杯あったりしたんですけど、僕の中に常にブルース・リーは居てくれた。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!と伝えたいですね。

多くのファンの思いを代弁する形で献花式の締めの言葉とした。

ロビーには、献花式に登場した岡村さん所蔵のブルース・リーのサングラス、『ドラゴン危機一発』の撮影当時に利用されたクレジットカードのサイン(男性用衣料 との注記あり)の他、コンタさん所蔵のブルース・リーの直筆アクションイラストを展示。写真を撮る人、グッズを買い求める人、映画の話で盛り上がる人など、ファン達はそれぞれのブルース・リー祭りを楽しんでいた。

遺品展示は当日限定だったが、引き続きシネマート心斎橋にて映画『李小龍 マイブラザー』『アイアム ブルース・リー』の上映が行われている。この機会に是非、世界中のファンを魅了し続ける偉大なるアクションスターの足跡に触れていただきたい。

(Report:デューイ松田)