8 月 9 日(金)公開のこの夏一番の超大作『パシフィック・リム』。本作は太平洋(パシフィック)の深海から突如出現し、地球を絶滅の危機に陥れる未知なる“KAIJU”と、人類の英知を結集し生み出された人型巨大兵器“イェーガー”との壮絶な戦いを、ハリウッド最先端の VFX を駆使して描いたSFスペクタクル。世界中で熱狂的な支持を集めるギレルモ・デル・トロ(『パンズ・ラビリンス』『ヘルボーイ』シリーズ)が監督を務めた渾身の作品です。

日本のアニメや特撮文化を愛してやまないギレルモ・デル・トロ監督が公開を前に来日し、昨日 7 月 28 日(日)に、今オスカーに最も近い日本人女優の菊地凛子さん、本作にてハリウッドデビューを果たした芦田愛菜さん、3名による記者会見を実施しいたしました。さらに同日夜には、本作に登場する怪獣“ナイフヘッド”のゆるキャラ“ないふへっど君”と一緒に歩くプレミア・レッドカーペット・イベントにも登場!海から現れる巨大生命体が登場する本作のイメージにぴったりの海をバックにしたステージでは、<約15メートル>もの巨大水柱が吹き上がり、イベントは最高潮に盛り上がりました!!

〈来日記者会見〉
【日時】7 月 28 日(日)14:00〜
【場所】パーク ハイアット 東京 39F ボールルーム(東京都新宿区西新宿 3-7-1-2)

■登壇者:ギレルモ・デル・トロ監督(48)、菊地凛子(32)、芦田愛菜(9)
■司会:赤坂泰彦(53)

◆来日記者会見
MC に呼ばれ、5 年ぶりの来日となるギレルモ・デル・トロ監督、菊地凛子さん、芦田愛菜さんが登壇。それぞれ一言ずつ挨拶を行った。

監督:僕は 1964 年に生まれ、「鉄人 28 号」「鉄腕アトム」「マジンガーZ」や円谷さんの「ウルトラセブン」「ウルトラマン」を見て育った。この作品は日本に対する、私がメキシコで生まれ育ってずっと見てきた日本文化、日本のアニメ、日本のいろんな映画、そういった日本に対するラブレターです。どうぞ受け止めてください。
菊地さん:監督の日本への愛情がたくさん詰まった映画です。
芦田さん:Hello my name is Mana Ashida.Please enjoy the film.
芦田さんはこれからのハリウッドでの活躍が期待されるような流暢な英語で挨拶を行い、会場からは拍手が起こった。

Q.監督はハリウッドきっての親日家で、日本の特撮やアニメ等の文化に造詣が深いと伺っているが映画は具体的にどのようなところを参考にされましたか?
監督:日本文化は非常に独創的なもので、特にイメージの部分、クリエイティブな部分ですが、美を愛する心、儀式を愛する。
怪獣とロボットを作るにあたって、怪獣を愛している部分など共通する部分がある。

Q.本作ではカナダのトロントで数ヶ月に渡って大規模な撮影が行われたかと思いますが、これほどの超大作にヒロインとして出演されていかがでしたか?
菊地さん:今までのキャリアの中を通して、SF 映画に自分が一人のパイロットとして出られることが想像もつかなった。子供の頃から親しみのある怪獣が出てきたり、ロボットが出てきたりする作品を才能あふれる監督と一緒に撮れたことは夢のようですし、この映画を観ると自分が出ていることを忘れて子供に戻ってしまう。全てが初めてで、全てが自分にとって大切な時間でした。

Q.愛菜ちゃんは、初めてのハリウッド映画ということで、日本の撮影現場とアメリカの撮影現場で違いはありましたか?
芦田:楽屋が一人一台のキャンピングカーでびっくりしました。「用意スタート!」というのが「アクション!」というのでびっくりして緊張したんですけどかっこよかったです。
そこで監督がすかさず「アクション!」と言い会場は和やかなムードに。

Q.今作で一番お金がかかっていると思われるシーンはどこでしょうか?
監督:戦闘シーンがすべて一番お金がかかっている。今回はCGを使っているのですが、実際にロボットの一部を作ってその中にパイロットの方々に入ってもらって、セットを壊したり破壊していたので。愛菜ちゃんが泣きながら走っているシーンでも、実際にセットを作って怪獣が向かってくると振動するようにしていました。一番お金がかかったのは 25 分間の戦闘シーンです。海の中から(戦闘が)始まって宇宙まで(ロボットが)行くというシーンです。

Q.ギレルモ・デル・トロ監督の印象と、お互いの印象はいかがでしたか?
菊地:8 年前『バベル』を撮っていた時にアレハンドロ(・ゴンサレス・イニャリトゥ)監督を通じて、ギレルモ監督に「ぜひ映画に出してください」とお願いをしていた。その夢が今回の作品で叶うのは光栄です。(ギレルモ)監督は 8 年前から自分の事をトトロと言っていて、今と変わらない。撮影での辛いシーンや、集中力が切れた時も日本の文化を非常に知っている方なので、トトロの歌を日本語で歌ってくれたり、励ましてくれたりする愛情深い方。芦田愛菜ちゃんは彼女が出ている作品を見ていたので、こんな素晴らしい女優さんが自分の幼少時代を演じることで苦情が来ないか心配でした(笑)。すごくプロフェッショナルな方でした。
芦田:自分の事をトトロって言ってねと言ってくれて、良い演技をすると「アメージング!」「パーフェクト!」と言って頭を撫でてくれてすごく嬉しかった。

Q.おふたりの起用理由をおしえてください。
監督:凛子はアレハンドロ監督が『パベル』をとっている時に会ったのですが、弱々しさと芯の強さという相反する部分を持っている非常にユニークなパーソナリティだと思った。今回の脚本を書く時は、凛子を頭に浮かべながら書きました。凛子が演じるマコというキャラクターは強いけれども非常に女らしい部分を持っているようにしたかった。女性の強さは男性の肉体的な強さとは違い、精神的な強さであり、凛子はそれを持っている女優。彼女との現場は非常に楽しかった。彼女は真実の感情を出せるので、女優として尊敬をしている。そして、愛菜は天才です。何日も何日も撮影で彼女を泣かせてしまったけれども、今まで一緒に仕事をしてきた女優の中で一番偉大です。本当は彼女は 50 歳で、精神的には僕よりもずっと大人なのかもしれない。

Q. 子供のころから日本のアニメがお好きで、本作も日本の文化への愛が沢山つまった作品ですが、そこまで監督の心を 動かしたのは、日本文化のどういった点でしょうか?
監督:ロボットと怪獣をデザインするのに一年以上かかった。心の部分から始めて、外見を作っていった。押井(守)監督の「機動警察パトレイバー」は本当に素晴らしいと思いました。今回はファンムービーにしたくなかったので、いろいろなものを参考にして、実際に動かすということを想定して作った。例えば、(凛子が操縦する)ジプシー・デンジャーは、エンパイア・ステート・ビルディングと(俳優の)ジョン・ウェインを組み合わせたイメージ。それとシルエットも意識し、100種類くらいあるデザインから、まるで『アメリカン・アイドル』のように毎週10体ずつオーディションをしたんだ。

Q.日本で行きたい場所は?
監督:中野ブロードウェイです。空のスーツケースを持ってきました。 あとはジブリ美術館に行きたい。毎回行っています。

Q.監督を連れて行きたい場所は?
菊地:監督の方が詳しいと思うので中野ブロードウェイに行って、案内してもらいたい。
芦田:監督はあんみつが好きと言っていたので、あんみつを食べに行きたいです。

Q.地球最後の日、人類が一丸となり世界を救うお話ですが、監督が伝えたかったことは何ですか?
監督:2人のパイロットが1つのマシーンに乗って地球を救うというものですが、怪獣は自然界が生んだ非常に大きな敵。互いが信頼し合うことで、世界を救うことができる。地球という同じロボットに乗った我々は、愛情と信頼なくして生き延びることはできないのです。最新の技術を駆使した作品ですが、描きたかったのは、自己犠牲の精神や有機、知性や共和といったシンプルで普遍的なテーマなんだ