“SM夫婦”プチョンを行く!岩崎友彦監督『ややこしい関係』舞台挨拶/第17回プチョン国際ファンタスティック映画祭2013レポート(1)
韓国・富川(プチョン)市にて、7/18(木)-7/28(日)の日程でプチョン国際ファンタスティック映画祭が開催された。
7/19(金)、Fantastic Short Films部門で岩崎友彦監督の『ややこしい関係』が上映された。2013年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアターコンペティション部門にて、『ami?amie?つきあってねーよ』で同性愛と男女の友情について、遊び心溢れる映画的飛躍と全肯定主義の清々しい作風を印象付けた岩崎監督が撮り上げた短編だ。
穏やかな夫婦生活を送る俊夫と早苗。早苗の前に俊夫の暴力的な人格・郡司が現れ二人の関係はややこしいものとなっていく。岩崎監督の持ち味である全肯定主義が貫かれたアクロバティックな展開が韓国の観客を楽しませたようで、始終笑いが起こっていた。
上映後の舞台挨拶には主演も務めた岩崎監督、妻役の西入三咲さんが華やかな浴衣姿で登場。
岩崎監督は韓国語で『SM夫婦』という大胆なタイトルがついたことについて、
「映画祭の方がつけたんですが、私も驚きました。元のタイトルは“Complex Relations”、『ややこしい関係』です。SMについて描いているかは当たらずとも遠からず。タイトルで誤解があるかも(笑)」
「多重人格のパターンとして、社会的にうまくやっている人格、その反動として半社会的な人格、半社会的な性格を形成したトラウマになった時期の退行的な人格。どれをキャラクターのベースにするか、かなり思案しました」
「実際のドキュメントでは、治療の方法としてバラバラになった人格を一つ一つ統合して、最後は一つの人格にしようとします。それを踏まえた上で非常に楽観的な結論になりました」
衝撃的なビジュアルのシーンも淡々と演じた岩崎監督に、観客から「恥ずかしくなかったか?」という質問が寄せられた。
「どういう風にしたら効果的に見えるかカメラマンや演出のアドバイザーも含めて、みんなでワイワイ相談しながらやりました。監督なんですけど、演技的にみんなから駄目出しされたり、大変なことが多かったです」
と飄々としたコメントで観客を笑わせた。
本編では大胆なシーンも披露した西入美咲さん。
「普段は貞淑な妻でもドSな性格だったりと、誰しも女性、男性に係らず色々な部分があると思います。自分の色々な部分を出せるのが楽しかったですね。Mの部分を演じるのは恥ずかしかったけど、Sは楽しかったです!」
舞台挨拶が終わる間際、『ややこしい関係』に俳優として出演した谷洋幸さんが観客の前に飛び出した。谷さんはシンガーソングライターで4月にiTunesから新曲をリリース、東京・大阪・名古屋のツアーを終えたばかりと自己紹介。
「来月韓国で初のライブをやります。8/23にソウルのTungsten Hall、釜山のJazz Catです。
よろしければ観に来てください!」とアピールし、観客からは歓迎の拍手を浴びた。
(Report:デューイ松田)